「あどけなさと官能」快楽の漸進的横滑り ゆうれいさんの映画レビュー(感想・評価)
あどけなさと官能
【 アラン・ロブ=グリエ監督、1974年発表 】
少女アリスは同居人ノラ殺しの容疑者として逮捕されてしまう。というのも、2人で退廃的な遊戯に興じている最中に起こったからだ。検証のため、アリスはノラ似の女弁護士とともに現場再現を行うこととなる。
劇中、アリスが 溢れる快楽を抑えきれず滑り落ちてゆく と述べるとおり序幕から官能の世界がスクリーンに映し出される。にもかかわらず、いやらしさは感じず、むしろ絵画のよう。
割れたガラス、玉子、海岸、海辺に打ち捨てられたベット、地下牢獄、拷問、赤の絵具、血……などイメージがとめどなく登場し、妄想との境界を曖昧にしてゆく手法はこの監督らしい。
また、アリスのあどけないファムファタールっぷりがエロティックさに拍車をかけている。とても美しい世界を堪能できる。
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