パッドマン 5億人の女性を救った男のレビュー・感想・評価
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一人の発明好きな男が周囲から蔑まれながらも信念を持って貫いた妻への愛が全インドの女性を救う事に繋がっていく過程の面白さと彼の崇高な信念に敬服した作品
アクシャイ・クマール(直近では、KESARI/ケサリ21人の勇者たちの勇猛且つ人身掌握力の長けた指揮官を熱演)演じるラクシュミ・カントが実在する人物であることに驚く。何故なら、妻の体を心配して彼の行うことが逆にインド社会の慣習に反する行いと観なされ、妻とその親族からも絶縁状に近い通告を受けてしまうから。 それでも、諦めない彼の姿は思わず”インドの豊田佐吉か!”と思ってしまった。彼が妻の健康を気遣い作り始めた製品を試行錯誤しながら作る過程が、ハラハラしながらも面白い。(だって、実験だからと言ってハプニングながら、聖なる河(この映画ではナルマダ河)を動物の血で汚したら村八分になるだろう) 彼が、セルロース・ファイバーの存在を知り、大学教授のリベラルな父に育てられた”バリー”との出合いが彼の負の生活を変えていく過程が素晴らしい。”バリー”の活躍振りには胸がすく思いである。 ラクシュミの妻”ガヤトリ”と”バリー”は現代インドに生きる女性を対象的な象徴として描き出している。 特に夫の愛を感じながら、旧弊に縛られる”ガヤトリ”の悩める姿をきちんと描くことで感動的な後半のシーンが生きてくるし、”バリー”がラクシュミに惹かれる気持ちを抑えるシーンも心に響く。 だが、最も印象的なのは、ラクシュミが国連に招かれた際の拙い英語で演説するシーンである。ここは、是非実際に映像で確認いただきたいが、私が特に感銘を受けたのは、(ニュアンスを記載、長かったので覚えきれなかった・・) ”皆、お金を追う、馬鹿だ!” ”インド、トラブルだらけの国、でもトラブルは私にとってはチャンス” ”私のトラブルは女性の5日間の生理” (この言葉、普通の男が口にできるか? 彼の高邁な精神、妻を想う気持ちが凝縮されている、今でも感銘している) ”トライと失敗、トライしては失敗、失敗最高” ”私が作ったナプキン たった2ルピー ラクシュミ頭オカシイと言われる” ”でも、私のナプキンを女性が使えば多くの女性が笑う、女性が強くなれば国、強くなる。偉大な男は国を強くしない・・・” <いつの時代でも偉大な発明家は、国家天下を語る資格があると深く感じ入った作品。> <2018年12月8日 劇場にて鑑賞>
愛する妻のため
愛する妻のためにそこまでできるのか、関心した。製品として完成しても、出身地の人たちは、なかなか認めてくれない。賞を受賞した後、違う人生を選ぶこともできただろうに、そうしなかったのは、自分の原点に戻りたかったからだろう。個人的には、納得のラストだった。
男性は全員、観ませんか。
習慣に捕らわれず、目の前の事実と向き合い、周りに流されず、思考を働かせる。いつの時代も「考える」者が、行動をする。周りに合わせない=異質な者と視られるが、単にその思考に追いついていない。理解しようとしない。慣習にさらされ、幼いころから刷り込まれた知識で、小さなコミュニティで生きてきたのだから、「悪」でもない。
思考を停めた時点で、それ以上の発展はもたらされない。「考えようとしない」ことが、よくない。それを、ラクシュミはわかっていた。
このままもし妻が病気になったら、妹が病気になったら、自分が許せない。
妹がいたはずだが、これまで家の中ではさほど気にしなかった。だが、結婚して初めて、女性の抱える問題を身近に感じた。妻が、2001年には因習となったにならわしに捕らわれている。そこに「ナプキン」という改善策があるのに、病気という危険に直面しているのに、『何もしない』わけにいかない。『守る』と誓ったから。
なんと男気のあふれることか。ただ『守る』という目的のために、世間体も恥も外聞も気にしない。『守る』ために闘った、男の話。攻撃的なヒーローというより、ガーディアン(守護者)みたいな印象です。かっこいい。
インド社会の勉強に!
どんな製品づくりと、やや偏見な構えてたが、ビックリな自叙伝。こういうタイプの作品は、「最強のふたり」に次ぐ秀作!インドの慣習や文化に考えさせられる。テレビ画面で、丁度良い位な、ストーリー。
もっと軽い作品だと思っていたが予想を大きく超えてくる
奥さん大好き男の嬉し恥ずかしラブコメディくらいの気持ちで観たら…医療、宗教、伝統、貧困、雇用、社会情勢までどんどん広がっていく。作ってからが本題だった。クライマックスの演説シーンは、外国語を話すということについて考えさせられたし、話のたたみ方も気持ちのいいものだった。スーパーヒーローになぞらえて明るくポップにしたのも良い。途中非常に辛い状況になるが、その分スッキリした。手のひら返しでいいじゃないですか。
インド映画の底力
インドはこんな映画も作れるのか!と衝撃&尊敬。日本では難しいだろうなー。 女性の体について、日本でもまだまだ公にし辛い風潮や、宗教的に憚る意識、男性の無理解などはあり、異国の話、過去の話としてではなく、現代の私達自身の問題として、上映、観賞する価値が充分にあると思う。 身内の健康に関するミクロの視点から、女性の自立に関する全世界的問題へと、一人の男の志が、大きく世界を動かす力になっていくストーリーも、爽快でいい。 パリーとの関係が、男女でありながら恋愛を介さないバディの様であるのも、新しく現代的な感じで良いなぁと思っていたが、やはり最後は、仄かに色恋の香を漂わせてほろ苦く終わってしまったなぁ。まあそれもまた良し。 歌や踊りや笑い、娯楽要素をふんだんに盛り込みながら、大切な社会的メッセージをしっかり届ける力が、インド映画にはありますね。 その威力に感服!
良い映画。
愛する妻のためナプキン開発に挑み、結果的に多くの女性を救う物語。 実話ベースで同じくインド映画の「ダンガル」に近い雰囲気の作品かな? もしかしたら映画を通して、女性差別など、古い因習(というか迷信)に縛られる人々の意識を改革しようという流れが、インド映画界のトレンドになりつつあるのかもしれない。 主人公のスゴイところは、安価なナプキン製造機を開発したことではなく、それを女性の自立へと結びつけたところなんだよね。
インド女性の価値観
個人評価:3.7 フィクションの設定と思いきや、実話の映画化という事でビックリ。 インドの貧困層の生理用品の実情を世界に教えてくれている。 またインドの女性の価値観の違いを、生理期間中の女性を描きながら、うまく伝えている。 インドの女性は恥よりも死を選ぶという、必要以上の気高さ。宗教観から来る価値観だと思うが、その偏った考え方をコメディ作品を通して、中和したいという監督の考え方も伺える。 ただインド映画特有の歌と踊りが少なかったのが残念。
10億分の1の頭脳
先進国ではまずありえない問題ですが、発展途上国やそれにも満たない文化レベルの低い国では、女性の生理に対する不衛生な状況は、当たり前の問題なのでしょう。 インド映画は、これまで三作ほどしか観ていませんが、そのどれもが、自国の社会問題を積極的に取り入れているため、ちょっとした勉強にもなりますし、素直に心惹かれるものがあります。 自分も、欲に走らず、目的を見失わずに生きていけたらと、心から思います。
社会的価値が高いのに映画としても最高!
本当に全人類に見てほしい!国も社会的立場の高い低いも何も関係なく。でも特に男性!!!これだけ映画が世界中で作られてきた中で、未だかつて誰も撮らなかったであろうストーリー。 2001年のインドが未だこんな状況だったなんて信じられない。 こんな優しい男性、いるんだな。 教育を受けていなくても、人として大切なことをちゃんとわかってる。 それと同時に改めて感じられる無知の恐ろしさ。 最後のスピーチは本当に最高!資本主義だからお金は大切なんだけど、人として本当に大切なことを改めて考えたいと思えた。 少々ツッコミどころはあるけど、それも目をつぶれる、社会的価値の高いレアな映画だと思います。 女優さん達もやっぱり美しい!! やはり恐るべし、インドパワー。
再現ドラマで十分!!
何故こんなに評判が良いのか分かりませんが、退屈でつまらないです。主人公は教員住宅に住んでいますが、仕事をしている描写もないので、昼間から暇すぎます。大層なサブタイトルですが、本当に粗筋以上のものはなく、再現ドラマで十分だと思います。国連での演説シーンは、TEDやジョブズが好きな人にとっては、そこだけ繰り返し観る価値があると思いますが、妙にアメリカのビジネスマンが好みそうなプレゼンをするので、このシーンだけ違和感を感じますし、このアメリカナイズされた人物だと適当な所で事業を売却して終了の様な気もします。音楽だけ無駄に軽快で、一本の映画としてはつまらなくて残念です。
最高?普通?最悪?…最高! 彼こそ、本当のヒーロー!
インドから、ヒーロー映画がやって来た!
え? どんな特殊能力を持っている?
いえいえ、彼は至って普通の男。
でも、正真正銘のヒーロー。
インドで安全で安価な女性用生理ナプキンの開発と普及に貢献したアルナーチャラム・ムルガナンダム氏の実話に基づく物語。
…と、ただ言ってしまえばそれだけ。
しかし、本当に苦労の連続だった!
きっかけは、妻だった。
毎月訪れる女性の“アレ”。その時妻が汚い布を使ってるのを知って、ラクシュミ(物語や人物は一部脚色)はショックを受ける。
ちゃんとしたナプキンを買おうとするが、驚くほど高価。
それでも妻の為にと友人から金を借りてまで買うが、逆に妻に咎められる。
こんなのに大金を使うなら、食費や生活費に。こんなのに大金を使うくらいなら、今まで通り布でいい。
納得いかないラクシュミ。ならば、作ってしまえ!
友人からクリーンな綿や布を分けて貰い、見よう見まねの自家製ナプキン。
早速妻に使って貰おうとするが、妻はこれに酷くショックを受ける。と言うのも…
インドでは女性の生理について触れるのはタブー。
“恥”であり“穢れ”。その間は家にも入れない。
ましてや男がその事やナプキンに触れるなんて…。
また、この当時(2001年)のインドに於ける女性のナプキン使用率は僅か12%。汚い布や紙や葉っぱを使い、時にはそれらが原因で感染症や不妊になる事も…。
ただ妻の身体を思い、良かれと思って始めた事なのに…。
妻からOKを貰うまで、ラクシュミは試行錯誤を繰り返す。
密かに身内に使用して貰おうとしたり、医学生にリサーチしたり。
発明あるある。自分で実際に使ってみたり。(どう使ったかはご想像にお任せします)
が、ある失敗で、ラクシュミのやってる事が村中に知れ渡り…。
フレンドリーで真面目で、家族を大事にする立派な男だと思っていた。本当は、頭のおかしいイカレ野郎だったのか。
村中からは、ヘンもヘン、大変態。
身内からは、恥も恥、大恥。
まるで殺人でも犯したような大罪人扱い。
こういう場合、妻だけは唯一擁護してくれるものだが…、その妻が夫を恥じている。
こんな恥と辱しめに晒されるくらいなら、死んだ方がマシ、とまで…。
村中、身内、妻からも見放され、ラクシュミは村を出ていく…。
自分の家族や人生や幸せをメチャクチャにしたナプキン。
もうナプキンなど二度見たくもない!…と、普通は思う所だが、ラクシュミは諦めない。
よりいいナプキン開発を続ける。それこそ、何もかも犠牲にしてまで。
どうして、そんなにも拘る…?
拘りたいからだ。
ここで諦めてしまったら、これまでの事は何だったのか。
それに、妻一人も守れない男なんて男じゃない。
確かに、男が女性用生理ナプキンを作る。
非難や軽蔑の格好の標的だろう。
でも、それがあるという事は、それを作った者が居るという事だ。
偶々それが女性用生理ナプキンだっただけ。偶々それを作ろうと思い立ったのが男だっただけ。
それの何処がおかしい? 何処がヘン?
寧ろ、女性の身体の自然的な現象を恥や穢れとし、そんなのには汚い布でも使ってればいいといった風潮の方こそおかしい。
誰かが、これじゃダメ、これじゃおかしいと気付く。
誰かが始めなければ。
諦めず、失敗や試行錯誤、苦労を続け、やっと理解してくれる協力者が。
ある大学教授の息子のパソコンから、ナプキンの原材料を知る。
その大学教授から、ナプキンを作る製造機を購入するよう薦められる。
原材料は購入出来ても、さすがに製造機までは購入出来ない。
ならば…
自家製ナプキンの時同様、製造機を作ってしまえ!
ラクシュミは元々工房務めの腕のいい職人。
製造機の原理を自分なりに分かり易く理解し、見事作ってしまう!
そして、最大の転機が訪れる…。
自立した都会的な女性、パリーとの出会い。
出会いのきっかけは勿論、ナプキン。
ナプキンを自分でも作ったというラクシュミに好奇心と関心を持つ。
彼女の薦めで、開発したナプキン製造機を発明コンペに出品。
すると…、何と見事、大賞を受賞!
やっと彼のやって来た事が認められた!
特許を取り、会社やブランドを立ち上げて世界中に売れば、億万長者に。
めでたしめでたし。
…と、本来はなるのだが、
ラクシュミはそんな億万長者になれるチャンスを捨てる。
もし、そんな事をしたら、せっかく安価を目指して作ったナプキンの値が上がってしまう。
自分はそんな金儲けの為に作ったんじゃない。
ただ、多くの人の安全の為に、安く買える為だけに。
バカが付くほど私利私欲の無い男なのだ。
ラクシュミはまた地道にナプキンを使って貰うよう各地を歩いて回る。
が、やはりまだまだ抵抗や偏見が付いて回る。
そんな時再び力を貸してくれたのが、パリー。
ラクシュミは発明家。物作りには長けてても、物を宣伝したり売ったりする事までは…。
ましてや女性の性に関するもの。
女性で尚且つ社交的なパリーの存在が物を言う。
何でもかんでも一人では出来やしない。
サポートしてくれる人物が必ず居る。
ラクシュミにとってパリーは、その名の通り、導いてくれた“妖精”。
ラクシュミ、つまりムルガナンダム氏の功績は、安全で安価なナプキンの開発だけではない。
それを作る為、女性に働く場を与えてくれた。
インドと言えば他の映画でも触れられていた通り、男尊女卑社会。
女性の社会に於いての地位や立場は著しく低い。
そんな女性たちに自立の場を。
本当に二重に頭が下がる。
いつの時代も前例の無い何かを始める時は必ず非難の的。
それを切り拓く。
自分の為じゃなく、誰かの為。多くの人の為。愛する人の為。
功績が認められ、ラクシュミに国連でスピーチの依頼が。
たどたどしい英語でスピーチするラクシュミ。
ユーモアも交え、しかし熱く、感動的なそのスピーチは、ラクシュミの人柄や全てを物語る。
やはりインドは世界随一の娯楽映画の帝国。
インド映画としては比較的短めの140分(他国の映画だったら充分長尺)の中に、主人公の伝記/サクセス・ストーリーを軸に、笑いや感動、社会的な問題を織り交ぜ、全く飽きさせない。本当に面白い!
監督は新鋭らしいが、とてもそうは思えない手腕。
主演アクシャイ・クマールの熱演も素晴らしい。
切なさも。ラクシュミとパリーの間に仄かな感情が。
ラクシュミは妻を心から愛している。パリーも一時のただの高ぶった感情と言うが…
別れの後、ラクシュミの人柄や想いを語るシーンが涙を誘う。
演じたソーナム・カプールもインド美人。
妻への愛が始まりだった。
それが多くの女性の為となり、自立の場も与え…
誰にも真似出来ない苦労の連続とその乗り越え、功績、決して諦めなかった信念…
彼をヒーローと呼ばずして誰をヒーローと呼ぼう。
本当のヒーロー。
その名は、パッドマン!
あっという間の140分
夏にインド周遊旅行に行ったこともあり、思わずレンタルしましたが想像していたよりずっと良かったです。インドの映画は長いものが多く途中で飽きることもありましたが、本作はストーリーが面白くてあっという間にエンディングでした。少し現実的でない部分もあり、やはりフィクションも入ってますがそれでもいい話でした。最後は、やはりモトサヤで、ラッキーすぎない男だったことが良かったです。都会の女性までゲットしてたら作りすぎになるところでした。
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