劇場公開日 2018年12月7日

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「一人の発明好きな男が周囲から蔑まれながらも信念を持って貫いた妻への愛が全インドの女性を救う事に繋がっていく過程の面白さと彼の崇高な信念に敬服した作品」パッドマン 5億人の女性を救った男 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0一人の発明好きな男が周囲から蔑まれながらも信念を持って貫いた妻への愛が全インドの女性を救う事に繋がっていく過程の面白さと彼の崇高な信念に敬服した作品

2019年9月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

 アクシャイ・クマール(直近では、KESARI/ケサリ21人の勇者たちの勇猛且つ人身掌握力の長けた指揮官を熱演)演じるラクシュミ・カントが実在する人物であることに驚く。何故なら、妻の体を心配して彼の行うことが逆にインド社会の慣習に反する行いと観なされ、妻とその親族からも絶縁状に近い通告を受けてしまうから。

 それでも、諦めない彼の姿は思わず”インドの豊田佐吉か!”と思ってしまった。彼が妻の健康を気遣い作り始めた製品を試行錯誤しながら作る過程が、ハラハラしながらも面白い。(だって、実験だからと言ってハプニングながら、聖なる河(この映画ではナルマダ河)を動物の血で汚したら村八分になるだろう)

 彼が、セルロース・ファイバーの存在を知り、大学教授のリベラルな父に育てられた”バリー”との出合いが彼の負の生活を変えていく過程が素晴らしい。”バリー”の活躍振りには胸がすく思いである。

 ラクシュミの妻”ガヤトリ”と”バリー”は現代インドに生きる女性を対象的な象徴として描き出している。

 特に夫の愛を感じながら、旧弊に縛られる”ガヤトリ”の悩める姿をきちんと描くことで感動的な後半のシーンが生きてくるし、”バリー”がラクシュミに惹かれる気持ちを抑えるシーンも心に響く。

 だが、最も印象的なのは、ラクシュミが国連に招かれた際の拙い英語で演説するシーンである。ここは、是非実際に映像で確認いただきたいが、私が特に感銘を受けたのは、(ニュアンスを記載、長かったので覚えきれなかった・・)
 ”皆、お金を追う、馬鹿だ!”
 ”インド、トラブルだらけの国、でもトラブルは私にとってはチャンス”
 ”私のトラブルは女性の5日間の生理”
 (この言葉、普通の男が口にできるか? 彼の高邁な精神、妻を想う気持ちが凝縮されている、今でも感銘している)
 ”トライと失敗、トライしては失敗、失敗最高”
 ”私が作ったナプキン たった2ルピー ラクシュミ頭オカシイと言われる”
 ”でも、私のナプキンを女性が使えば多くの女性が笑う、女性が強くなれば国、強くなる。偉大な男は国を強くしない・・・”

 <いつの時代でも偉大な発明家は、国家天下を語る資格があると深く感じ入った作品。>

 <2018年12月8日 劇場にて鑑賞>

NOBU