ナチスの愛したフェルメールのレビュー・感想・評価
全6件を表示
芸術家ってめんどくさい(苦笑い)
天才贋作家で名高いハン・ファン・メーヘレンの半生を描いた作品。
ドイツ占領下。ゲーリングに贋作を売りつけ、戦後に売国奴から英雄となったメーヘレン。
彼の人妻に対する愛憎、自らの才能と評価に対する絶望とプライド、そして芸術家らしい(?)繊細さと傲慢さをしっかりと描いた人間ドラマです。
やや冗長に感じられたのが残念なところ。
過去と現代の切り替えがあるドラマが個人的に苦手な事も、評価を挙げ難くなっている点です。
また、サスペンス好きの私としては、ナチス相手の緊張感が観られると期待していただけに、少々残念に感じてしまいました。
私的評価は普通にしました。
贋作画家、メーヘレンの物語
地味で、単調ではある。
邦題には”ナチスの愛した”とあるがナチスはほとんど出てこない。出てくるのは最後の20分ほど。
贋作画家、メーヘレンの物語。
自分のミューズであるというヨーランカへの想いと、絵を酷評した彼女の夫への復讐心。
個性がないと言われた彼の絵。
親ナチでもなく、ナチスへの反抗でもなく、ただただ絵を酷評されてその復讐のために贋作を製作しはじめたというのが、何というか、人間らしくて良い。
売ったら破いてやろうと思っていても、実際にそれが本物として高く評価されているのを目の当たりにしたら出来ないのは分かる気がする。
美しい女性は存在自体が男を狂わせてしまう
リゼ・フェリンがとにかく美しい
観終わった後、彼女の美しさだけが残されていて他に何も思い出せないほど
いつまでも凝視し続けたい美しさとはこのこと
時制を編集して行きつ戻りつする物語の展開は、監督の意に反して前半は観づらく主人公の行動に共感を呼ぶことが出来ていない
結果として私達観客は彼の心情に同情もなく突き放して最後まで観てしまうことになった
なので死刑を免れたカタルシスも、罰金の重さへの落胆と罪の意識の沸き上がりもおこらずエンドロールを迎えてしまうのだ
本作を楽しむ為には、西洋絵画に興味を持っていて、大規模な美術展があれば美術館に足を運んでいる程度には一般的な知識をもっていることを観客に期待している作品だ
それならば様々なシーンで唸ったり感嘆したりすることができ特に中盤は意識を集中して観ることもできる
しかしそうでないならば、リゼ・フェリンの美しさを堪能するのみになってしまうだろう
例えばリゼ・フェリンが初めてモデルを務めるシーンはフェルメールの赤い帽子の女を模してある
これは贋作ではないがこれから起こる物語を予兆させるシーンだ
元もとその絵はフェルメールの作風とは少し異なる趣があり本当に彼の作品かと論議もされているものだ
こうした仕掛けが理解できないままになってしまうからだ
音楽が妙に現代的で映像とそぐわない
これはおそらく意図してそれを選択したのだろう
ゲーリングとのパーティシーンのダンスミュージックはそれがハッキリとわかる
つまりフェルメールの300年前の時代とこの物語の舞台である第二次大戦の頃との時間の違い
それは真筆の作品とつい最近描いた贋作との違いを音楽として表現しようとしたものだと思う
しかしそぐわない
意図は分かるが興ざめな音楽だ
映画作品としては正直成功しているとは言い難い
しかし西洋絵画が好きなこと、そしてリゼ・フェリンの美しさに星半個づつオマケしてしまおう
美しい女性は存在自体が男を狂わせてしまう
本作の物語で誰が一番悪いのか?
美術評論家?
とんでもない、彼もまた犠牲者だ
本当に悪いのはリゼ・フェリン演ずる彼の妻だ
彼女の美しすぎる美貌と細い肢体、そして薄いピンク色に輝く白い滑らかな肌
それが罪だ
正にファムファタルだ
全6件を表示