楽園(2019)のレビュー・感想・評価
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存在しない村社会的共同性を攻撃する滑稽さ
『悪人』『怒り』の原作者と同じと聞いて、納得できる感じがした。何というか、尻切れトンボの感じが全部共通している。
本作のテーマは村社会的人間関係の閉鎖性ということであり、社会問題となった山口・周南5人殺害事件を連想させる。
現実問題としては、日本の村社会的共同体はもはやほとんど崩壊しており、地方の集落の多くは都市部と同様島宇宙化が進んでいるし、物理的にも限界集落化して消滅寸前なのである。
部分的には旧来の閉鎖的関係が盲腸のように残存する地域はあるし、それが都市部から地方への移住ブームと衝突する結果、村八分などという事態が新聞ダネになったりするが、それはもはや現代の課題とはなりえないはずである。
課題になるとしたら過去の残存遺制としてであるし、そんな遺制に直面したら引っ越せばよいだけだ。それができない場合には、個人の特殊事例の問題が残るくらいなものだろう。
前述の山口・周南5人殺害がそれで、そこでは犯人の人間関係のとり方に大きな問題のあったことが報道等で指摘されている。
ところが本作の前提としている社会認識は、この消滅寸前の村社会的遺制がさも現代社会における大問題ででもあるかのように正面から大仰に取り上げる。
面白半分に見ていくと、何やら集落内の犯罪や揉め事の責任をすべて弱者、少数者、異端者に押し付けてきたのが村社会的共同体である、と言いたげなのだが、
前近代の話ならともかく、現代日本においてそんな問題が本当に社会の大きな課題だと思っているなら現実認識を大いに誤っているとしか言いようがない。
その一例が、集落の多数の人間が犯人と疑わしい人間をリンチにかけようとするシーンで、小生は現代においてそんなことがあり得るとはまったく思わない。
また、山口・周南5人殺害事件における犯人の妄想らしき事柄をすべて実際に生じた出来事として描いているほか、中国からの帰国子女問題をそれにからめてしまったため、どうにも現実味がない。フィクションとしてはリアリティが希薄すぎるため、悪い冗談にしか思えない。
要するに、作者たちは過剰な修飾で村社会的共同体を攻撃したがっているが、倒錯論理で在日朝鮮人殺人者を擁護した『怒り』と同様、実体のない、どこかで聞いた絵空事を描いているだけだから苦笑いしか浮かんでこないのである。
初めに記載した「尻切れトンボ」の感想は、恐らくは作者たちの頭の中の攻撃対象が実際には存在しなかったことから、振り上げたコブシの置き所がわからないという中途半端さからくるのであろう。はっきり言って、バカバカしい。
最後に少女が「これではいけない」と歩み始めるようなのだが、そもそも前提自体が大いなる勘違いの産物なのだから、どう考えたって外国人参政権とかフェミニズムとかのデタラメな社会運動wにシャシャリ出て、社会に害悪をもたらすとしか思えないのは小生だけだろうか。
後味が悪かった
【鬱鬱しい考察系サスペンス映画。】
・2019年公開の日本のサスペンスドラマ映画。
・長野県のとある集落で少女失踪事件が起きてから12年後、同じ場所で再び少女が姿を消す。12年前に誘拐された少女と一緒にいた女性と、12年越しに疑惑をかけられた集落で孤立した青年、同じ集落に暮らす養蜜家でとある出来事をきっかけに村八分にされた男性、その3名が軸となり人間の鬱々しい行動が描かれていく、という大枠ストーリー。
[お薦めのポイント]
・鬱鬱しい中に見出す少しの希望に考えさせられる
・サスペンス要素に引き込まれて最後まで観てしまう
・人間の恐ろしさを学ぶ
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[物語]
・サスペンス要素の部分においても、人間が成長する哲学の部分においても、決して安易な答えを用意してくれていません。その辺が好き嫌いを分けそうですね。私は観てよかったとは思いますが、「目に見える結論」が欲しいタイプなので、若干のモヤモヤは残ります。
・また、負のオーラが凄いです。報われなさといいますか、終始鬱鬱しい。そのダークな雰囲気こそが、サスペンス要素を盛り立ててくれており、かつ、村八分を行っていく人間の恐ろしさをリアルに感じさせてくれているのかもしれませんが。
[演出]
・私は登場人物たちが生活する「空間」にリアリティを感じて、より物語に没頭できたかなぁと思いました。孤独な青年の住む部屋、養蜜家の男性の住む家、集落のお祭り、などなど、田舎な部分やキャラクターの性格をよく表してくれる「空間」に全くの違和感を抱くことなく、いや、むしろそれに強烈なリアリティを感じたからこそ、物語もよりリアルに感じることができたのではないかなぁと思いました。
[映像]
・際立って感じたことはありません。
[音楽]
・大きく目立たずも、黒子となりダークな雰囲気づくりを担ってくれている存在だと思いました。
[演技・配役]
・佐藤浩市さんが泥を食べる凶器のくだり。綾野剛さんの弱弱しさ、一方で内に秘めている(かもしれない)恐ろしい部分を想起させてくれる感じ。とにかく演技が素晴らしいなぁと思いました。杉咲花さんはその2人の間で役柄的にも「淡々」とされていて、2人を際立たせてくれる大きな役割になっていました。そんな中で、ちょっとだけ笑顔になるシーンもあるのですが、それ以外が終始淡々としている分、とても可愛らしく見えて素敵でしたね。
[全体]
・全体的に鬱鬱しい映画ではありますが、最初はサスペンス要素に惹かれて「犯人はいったい誰なんだ?」と物語を、途中からは単純に「え?この人たちどうなっちゃうの?」と人間に焦点がうつっていく、非常によくできた物語だなぁと思いました。
・楽園の意味とは…犯人はいったい…と結論が欲しくなってしまう身としては終わり方は非常にモヤモヤします。笑 考察していくことに事意味がある、という視点で考えるとそれがまた良いですが。いずれにせよ好き嫌いが分かれそうな映画だなぁと思いました。少なくとも、私は観てよかった、と思いました。ありがとうございました。
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#全体3.5 #物語3.6 #演出3.5 #演技3.5 #配役3.5 #映像3.4 #音楽3.4
75点
個人的2019年邦画ランキング2位の作品。
瀬々監督も仰っていましたが、もっと評価されてもっと広まっても良い作品だと思います。
主演3人も演技派を揃え、伝えたいテーマも、映画の空気も、それぞれの演技も、本当に素晴らしい。
テーマは、この世界で人間をやっていると誰しもが体験したことあるような、自分の保身のため、全体の秩序のために誰かを犠牲にしてもしょうがない。みたいな。
この世界は真っ直ぐに生きている純粋な人が馬鹿を見る、非条理な残酷な世界であることを、ある一つの街を舞台に、幼少期から環境に恵まれずに育ってしまった綾野剛と、妻を無くし故郷のために懸命に尽くしていた佐藤浩一。
その二人を取り巻く周りの人々の軽率な憶測とか、声をあげることを恐れて身の保身のために周りに流される様とか、、、いかにも人間臭いし日本人くさい。
私は本当にこの作品が沁みました。
是非。
誰が犯人?!ってそういう問題じゃない。
犯人でもない人が、疑われて死に追いやられてしまう。ちょっと目立った行動をすると反感を買い、最後には殺人犯になってしまう。
人間の怖さと、現代の日本が抱える問題が
誘拐事件を軸に繰り広げられる。
小学生の女の子が行方不明になる。
一緒に帰宅した子は無事家に帰宅。その子は何年もどうして私だけがって悩み続け、何でお前だけが生きてる?なんて言葉を浴びせられて
あの誘拐事件のことが彼女の人生からずっと離れずにつきまとう。
信頼していたある男性が
犯人なんじゃ?と村人たちに疑われる。追いこまれて油をかぶって火をつけて死亡。
こんなことがあっていいのか?と
彼女は立ち上がる。
あー、書いてたら眠くなってきちゃった
片岡礼子はいつもながら素晴らしかった
村、怖い
若者が村からいなくなったり、寂れていくのにブチブチ言うのに新しい事はしたくない、お爺ちゃん達!あーやだやだ
そして始まる猛烈な嫌がらせ…怖すぎます。幽霊よりずっと怖い
スーパーがっかりポイント
杉咲花がこんな村なんて!感じで看板持ってワーッ!てなって、それを見たお爺ちゃんが「誰でも良いから犯人を決めたかった…」とか告白?謝る?したから冤罪かと思ったら…杉咲!お前!重要な証言隠してるじゃあねえか!
お爺ちゃん、やっぱりアイツが犯人だよ謝り損だよ(笑)
そして、杉咲花が罪の意識を感じてたのは何に対して?友達を守れなかった事だとしたら「は??」なんですけど…
こういう映画はだいたい面白いと思ってたけどこれは駄目でした。
田舎の集落の気色悪い感じが見ててすごく不快。 で、結局何が言いたい...
田舎の集落の気色悪い感じが見ててすごく不快。
で、結局何が言いたいのかはよくわからない。
いろいろ詰め込みすぎてどのエピソードも中途半端になってしまった気がする。
豪士と善次郎どちらかひとつを掘り下げた内容にした方が良かったんじゃないかな。
楽園とは?
重苦しい。
好きじゃない
それぞれ
色んな人から見る角度の模写がラスト出てきて
ここでこうなってこうなってたのかぁってなりました。
結局彼が犯人だったのでしょうか?
小説を読んだらもっと細かく分かりますかね?
なんだが、みんながみんな抱えているものがあって
人間模様を描いた作品だなと思いました。
犯人か分からないのに犯人だと決めつけて
連鎖反応でもうみんなが犯人だと思い込んで
追い詰めてしまう人間たちの心理。
何がきっかけで人間が犯罪を犯すかなんて
分からない気がする。
自分は絶対犯罪者にならないと思っていても
どんなことが起きるかわからないと思う。
そしてこれ、実話を元にしたお話と聞いて
ゾッとしました。
面白い面白くないというよりは
最後まで見入ってしまう作品でした。
村八分っていう意味をこの作品で知りました。
日本人の方が、カタコトの話し方の演技をするって
なかなか難しいなと思いました。
カタコトになるのは、その国ごとに独特なクセがあると思うので、それを表現するのも難しいですよね。
楽園ってなんだろう。
あったかな?楽園なんて。
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