劇場公開日 2019年10月18日

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「それぞれが抱える闇」楽園(2019) むっしゅさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0それぞれが抱える闇

2019年10月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

吉田修一の小説を映画化した作品は原作共々すべて見ている。「悪人」「怒り」「パレード」「さよなら渓谷」「横道世之介」など。どれも小説に忠実で優れた作品だと思う。

今回の作品は原作未読ながら、杉咲花を始めとした主演陣の好演はもとより周りを固める芸達者な面々に支えられ、実に見応えのある作品だった。

ただ、綾野剛・杉咲花の話と佐藤浩市の話の絡ませ方が取って付けた感あるなぁと思っていたら、エンドロールでふたつの短編小説が表示されていたので、なるほどそういうわけかと納得。違和感あるわけではないが予備知識を得てから見るとまた違った楽しみ方になったのかなと。

それぞれが抱える闇、閉塞感、行き場を失いもがき苦しむ。そしてあるとき何かがはじける。「限界集落」と言われる場所で起こる人々の諍い。近年、SNSによる無責任な誹謗中傷が取りざたされているが、SNSでなくとも同様なことが昔から今に至るまで起きている。そして悲劇に繋がることも多く。

実に考えさせられる問題。吉田修一の小説の多くは本当に苦しい。若干の救いも見せてくれるが、やはり苦しい。

むっしゅ