劇場公開日 2019年10月18日

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「人生の楽園って…❓」楽園(2019) bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5人生の楽園って…❓

2019年10月20日
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最初から最後まで、暗いフィルターがかかったようなストーリー。吉田修一の原作ですが、いつもの緻密な構成と展開ではなく、人の業や妬み、恨みを持て余したような、イヤミスの作品でした。

過疎が進む限界集落に潜む、昔からのしきたりや新しい者を拒む、閉鎖的な村社会が舞台。

稲穂がこうべを垂れる田んぼに続くY字路に、人生の岐路がある。誰もがどちらに進むかで、人生の選択を強いられる。タケシにも、善次郎にも、選択したその先に楽園はなく、ささやかな幸せさえも許されなかった。

自ら絶つ命と、生きたいのに生きられない命、その対比も含めて、それぞれの命の重みと楽園とは何かを強く訴えてきます。

その重さを醸し出しているのは、やはり綾野剛、佐藤浩市、柄本明などの迫真の演技力だと思う。そんな俳優陣の中でも、友達の失踪事件のトラウマを断ち切れないツムギ役の杉咲花は、若いのに、その期待に十分応えていたと思います。

ps. 隣に、小学校の低学年の子どもを連れて観に来てた父親がいたけど、この作品に子どもを連れて観に来る父親って、何考えてるか、呆れてしまった。

bunmei21