劇場公開日 2019年8月24日

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「歌に救われるムーラボらしい作品、即興劇と思えない仕上がり」無限ファンデーション たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5歌に救われるムーラボらしい作品、即興劇と思えない仕上がり

2021年5月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

ちょっと整理をするのが難しいな…。でも、不思議と嫌いになれない。西山小雨のウクレレといいピアノといい、ムーラボに則った作品作りが作る空気が上手い1本。

意外にも鬱な展開が長いので、正直このトンネルを抜けても気持ちよくはならないだろうと思っていた。しかし、西山小雨の歌がとにかく染み渡って、靄が晴れていく。迷える女の子たちの未来と行く末をそっと見守っているという感覚が、不思議と画面を伝わってくる。しかもこれが即興劇と聞いて、にわかに信じられない。それ故の空気感もあるのだろうけど…凄かった。しかし、道中に走るピリピリとした空気はやっぱり怖い。ラストの余韻がグッと来ているんだけど、作品の評価を上げるほどのモノではなかったかな…。
またもや南沙良の主演。ムーラボにとっても稀有なブレイク女優の主演。やっぱり華はあるが、ボソボソで内気な女の子をやらせるには勿体ない気がする。しかし、原菜乃華と小野花梨を置いているだけで厚みが全然違うと思った。片岡礼子もすごいんだけ凄いけど。子役上がりで鍛錬された表現力が即興とは思えない空気感を作る。また、受けの緊張感とかを作っていくので、グイグイ引き込まれる。それがさっきから言うような怖さに繋がっているのかもしれないけど。その辺の支離滅裂な所がやっぱり良くは思えなかった。
結構ムーラボ作品を好んで漁るのだが、これまたファンが多いこともあって好きな作品になりそう。サラッと作品の核を投入するような粗さも、ファンシーな世界観を映すためのピントのズレも、そこに意図した感じがして良い。寧ろ濁すより出していった方が伝わることも多いし。また、歌が作品を装丁した印象が大きい。西山小雨、覚えておこう…。

意外と可愛くない青春モノで、桐島が辞めるくらいの喪失感と希望で周る、高校生の焦燥が臭ってきて堪らない。踏み出す一歩の足りなさは自分にも当てはまる。少しヒリヒリして、ラストに掴まれる…不思議な作品だった。

たいよーさん。