「はつ恋の記憶」ラストレター しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
はつ恋の記憶
通常スクリーンで鑑賞。
原作は未読。
岩井俊二監督作品、初劇場鑑賞!
観たかった理由。福山雅治(ましゃ)が出ているから!
いざ観ると、それだけじゃなかった。(←当然(笑))
誰もが経験したであろうあの頃―甘酸っぱい記憶が蘇って来るような、珠玉のラブ・ストーリーに心が震えた。
手紙の擦れ違いから始まった初恋の記憶と今を結ぶ男女の物語。メールやLINEでのやり取りが主流となった現代、手紙が果たす役割とは。それは暖かさではないかと感じた。
手書きの文字と云うのが、相手の想いをダイレクトに伝えて来るような気がするからだ。それに、届くまでのドキドキだったりは、手紙でないと味わえないんじゃないだろうか。
みんなそれぞれ何かを抱えながら生きている。ある時点から時間が止まっていたり、ままならぬ人生にもがいて苦しんでいる。そんな彼らの心の成長が全編に渡り静かで淡々とした優しい眼差しで綴られていて、じわじわ胸に沁みた。
岩井監督の世界観構築の巧みさと、俳優陣の演技力の高さから来るものだなと思った。特に広瀬すずと森七菜。過去と現在の二役をこなすだけでも大変なのに、見事に演じ分けているばかりでなく、ふたり共自然体なのが魅力的だった。
思春期の経験が後の人生に大きな影響を及ぼすと云うのは言わずもがなだが、何かに迷った時や、壁の大きさに怯んで立ち止まってしまった時、思わずあの頃を振り返ってしまったと云う経験は私にも確かにあったな、と…
原点に還ると言うのか、基礎になった時を振り返ると、新たな気づきがあったりするわけで。過去と向き合うことで、今の自分を見つめ直すことが出来るのかもしれない。それが鏡史郎にとっては未咲との初恋だったのだろう。
[以降の鑑賞記録]
2020/08/10:Blu-ray
※修正(2024/07/02)