37セカンズのレビュー・感想・評価
全166件中、61~80件目を表示
まるでドキュメンタリー
ドキュメンタリーかと思った。主演の女優さんが、演技ではなく、本当に脳性麻痺を抱えてるって知ったうえでこの映画を観たせいだと思う。正直、とても面白かったし、とても感動した。でも、思っていた以上に赤裸々だった。今までも、こういう障害者の方が主役のドラマや映画って、たくさんあったけど、健常者との違いとか、障害者だって、普通の人間なんだよ…みたいなテーマが多かったように感じる。思わず同情したくなるような表現が多かったように思う。それに比べると、この作品は、もっと赤裸々な部分が表現されていたように思う。
親子の関係とか、リアルな性体験とか、父親や姉の存在とか、障害者でなくても起こりうること。それをリアルに描いてる。ただ、主人公マユって、とても周りの人に恵まれてる。母親がウザいのは分かるけれど、とても心配してくれているし、大東駿介くんや渡辺真起子さんや板谷由夏さんも、とても良い人。このまま大東駿介くんと恋に落ちるのでは…と思ったけど、そうならなかったのも、とてもリアルに感じた。そんなに世の中、上手くいかないんですよ…みたいな感じです。映画って、どこか、ご都合主義みたいなところがありますからね…。障害者としてではなく、一人の女性としての素敵な経験談だったと思います。
ユマに負けてられない!
序盤の入浴シーン。下品な表現かも知れないが「つかみ」として抜群の効力を発揮している。事前情報無しで観賞する人、何かしらがひっかかって鑑賞する人、思い入れを持って鑑賞する人…それぞれがこのシーンで、この先ユマに起こる事をしっかりと見届けてやろうという、気持ちになるのだ。
youtuberアイドル漫画家のアシスタントa.k.a.ゴーストライターとして日常を過ごすユマに次第に芽生え始める自我。エロ漫画雑誌編集長の藤本との出会いでユマのそれは加速する。それからというもの、ユマはただひたすら危うく、それでいてフレッシュであり、観客の我々も目が離せない。
ただ、やはり冒頭の入浴シーンが忘れられない我々にとって、気になるのは母の存在だ。明らかに母からみたら逆行するユマである。しかし、決してそれは反発ではなく、母への愛情、感謝を持ち合わせながらも自身の思いに向けて邁進するその先にあるものは、全ての人間を揺さぶりながらも暖かい気持ちにさせるのだ。
「障害モノ」??ふざけるな!!
彼女を「個性」と言わずして何と言う?!
さあ2020この先彼女を上回る演技できる人いるだろうか??
“寄せる”
障碍者がテーマの作品は、古今東西積極的に作られている。勿論、そのどれもが社会の生きづらさを抱えたままスポイルされてしまう現実を突きつけられる骨太の内容が描かれている。そして鑑了感の何とも言えない後味の悪さや、社会に対する批判を覚える気持が心を支配してしまうのである。では、本作ではどうだろうか?
まずは、本作の最大の成功点は、主演の女性の抜擢であることは誰もが疑う余地がない。なにせ、主演に併せてストーリーも修正された程だから、それ程監督も彼女に対するインスピレーションが捗ったのではないだろうか。ストーリー展開も、2部構成のような建付けであり、彼女を取り巻く様々な問題や悩みが巧みに描かれ、そのスマートで解説を必要としない演出が端的に形成されている。冒頭からの入浴シーンの件は、何より今作品の覚悟を観客に試すかのような、一種の挑戦状であることは疑いようがない。通常ならばそのシーンを撮る事の必要性に疑問を抱くかも知れない。センシティヴであり、居たたまれない恥部の場面なのだから。
しかし、監督は逃げない。それは観る人に拠っては抵抗感を抱く画作りであっても、作品中の世界を自己解釈の差し挟む余地をさせないよう強烈なメッセージ性が存在しているからである。自分の世界には障碍者がいないモノだという生温い近視眼的見え方に陥ってる眼球を「外して煮沸して磨いて再度取り付けろ」と言わんばかりの強引なパワーを突きつけているのだ。主演の女性、その母親の生活に疲労困憊しているその裸体には、目を背けるなという強さが存在している。その後の学生時代からの健常者の友人による搾取は、100%の悪意だけではない微妙さも感じ取れるがこれも又社会の縮図であろう。そんな世知辛さ故の過保護を通り越しての共依存を表現する母によるハンバーグ切り分けの演出も又、さりげないが丁寧な意味のあるカットである。そんな環境のブレイクスルーを目論む展開の流れは、映画ならではの外連味を感じ取れる大胆なベクトルである。彼女自身が男性的な性欲を意図している訳では無い事は当然描かれている。しかし周りは彼女を単なる欲求不満として片付けてしまう裁量の狭さを的確に映し出す。愛情と性欲は決して切り離せない。ましてや彼女にとってそれは、人間として又は女性として見紛う事無い自然の摂理なのだ。それを否定したりましてや色眼鏡でみる事は人間性の欠如を宣言したい。主役に対する感情移入も甚だしい自分が席に座っている。また、彼女のアニメ声のようなか細い、しかしチャーミングなトーンも今作では重要なファクターであろう。風俗に初体験を求め、そして図らずも粗相をしてしまう件も大変心が痛いシーンだ。そしてこのどん底の居たたまれなさからの話は場面転換してゆく。リアルからファンタジーへの昇華だ。
偶然出会ったセックスワーカーの女性や介護士の男との交遊の中で、彼女の化学反応は急速に加速し、周りの戸惑いとの軋轢の中で遂に“冒険”を決意する。他のレビューではこの件はリアリティに欠ける、鼻白む展開だと言う人もいるが、今作に於ける展開の白眉はここである。彼女にとっての長年の“宿題”である父親との邂逅を描く事に躊躇いなど無意味だ。そこに話の穴や辻褄の合わなさを指摘しても野暮なだけである。パスポートはセンターに行って自ら取得したと想像すればよい。父親が亡くなってからの悄然
からの、存在さえ知らされていなかった双子の姉の出現は、絶望の中での一筋の光を綺麗に組み立てているので違和感なく高揚感を与えてくれる。勿論、父からの手紙にあったイラストのアニメ映像が伏線であることがここできっちり回収されるニクい演出だ。
クライマックスでの、冒険から戻った彼女が描いたイラストを観た母親の大粒の涙は、背景のガラスから差込む太陽の効果が抜群に利いていて、これ以上ないカタルシスを観客にもたらすのである。タイで姉と会い、そして自分を呪った37秒の無酸素状態を、そして、姉から実は逢うのが恐かったという告白も、この冒険によって「私で良かった」と言わしめた自己肯定の取得によって転換できた歓びを、観客である自分も共感以外に思い浮かばないのである。ラストでのこの冒険の先導役であったエロ漫画編集長の粋なご褒美も又、心擽られる展開である。
絶賛の作品だが、唯一、自分が残念だと思ったのはエンドロール中の挿入歌。これだけの冒険譚なのだから、もっと余韻を感じさせる情緒的な、『めでたしめでたし』感を付与してくれる曲が用意されていれば百点満点だったのにと思ってしまったのは、些細な事かも知れないのだろうか・・・。
普通に傑作!
まず、日本映画であって、ハリウッドのテンポやストーリー性を感じたHIKARI監督に拍手。女性ならではとよく表現するが、むしろ女性監督でなければそこまで突っ込めないだろうシーンもあった。
そして主演の彼女の素の姿、彼女の持ってるもの、それを引き出せたこと。マイノリティがマイノリティでない映画と言える。取り巻く登場人物に悪い人が居なく、ちょっと説明が足りない部分もあったが、そこは話のテンポを崩したくなかったと割り切れる、是非おすすめの映画!
これは人間の成長を描いた作品である
決して障害者を使ったお涙頂戴物語ではない。
生きている人の生々しい画が辛いし見てられない前半から、ある出会いから抑圧されていたもしくは、自ずからしていた生き方から脱却し、自分のルーツを知り受け入れていく後半はタイの美しい風景と相まって、彼女の心が晴れていくそんな描写でした。
お母さんとわだかまりは消えたかな。ほんと良かったラストでした。
差別はあるということ
多面的な魅力のある映画。
入浴シーンごとに、全然違う映画を観させられているような気にさせられる。
映画の前半は、障害の現実。
中盤は、いい仲間との出会い。
後半は、ロードムービー。
入浴の困難さ、親子の依存、車椅子移動の難しさ、リハビリ、搾取的な労働。
主人公が画面に現れた時に、観客にもう少しの理解があれば、描く必要があったか?丁寧に描かれるほど、自分の無理解や差別を浮き彫りにしていく。
しかし、そのシーンがまるまるなかったら映画として成立するのか?
なぜ感動するのか?
自分の差別心を突きつけてくるような映画だと思った。
やはり日本は島国だよな
体は障がいでも心や能力は健常者以上の人の人権映画。初めから終わりまでよかった。海外は能力優先みたいな気がするが。日本はまだまだ男女感や障がい感は世界から見て後ろから数えた方が早いだろうな。大人の老若男女みるべし。
障がい者の優しい心が伝わってくる秀作
過去には『ヴァージン・フライト』や『セッションズ』といった映画で障がい者専門の娼婦、男娼を扱ったものがあった。さすがに愛まで求めてしまうのはご法度らしいことは今作でも同じだった(キス禁止)。
この内容がずっと続くのはいやだな~と思っていたら、そうはならず、ユマの自立心、家族愛などが中心となっていくのです。いまや漫画もコンピュータ時代であることも驚きでしたが、アシスタントをしていたユマは自分の作品を作ってみたいと道を見つけようとします。エロ漫画描くためにはセックスを経験しなきゃ・・・と忠告をもらい、そっちの方向にチャレンジするユマ。しかし、思い通りにはならない。そして、偶然出会った娼婦の舞と交流が深まっていく。
家を出てみたい。父親に会ってみたい。心は動く。そんな繊細な、折れそうなまでな心が観客席にまで伝わってくる。タイにまで飛んだのも唐突ではあるけど、心地よかった。観終わってこんなに爽やかな気分に浸れたのも久しぶりでした。
俳優はみんないい!主人公以外で最も気に入ったのが板谷由夏でした!
世界へ
評判を聞いて鑑賞。
重たいテーマなのに、どこかポップで元気になれる。
赤裸々で全てをさらけ出してる映画で、1シーン1シーン、胸が締め付けられそうになります。
親子の演技が素晴らしく、本当の親子に見えて、その分感情移入してグッと来てしまいました。
中盤からのいきなりの急展開は多少戸惑いましたが…
知らない世界に足を踏みこんでも、誰かが助けてくれる。
何より、主人公の強さ。
単純に感動とか泣いたとかではない、不思議な感覚になる作品でした。
観てください
割とタブーなテーマですかね
良い意味で生々しく,良い作品だと思います。
只,親切心(又は友情)だけであそこまで(長期間・遠くに)
出来ますかね?? あんな”無償の親切心?”が有りえるのですか?
それとも裏に隠された何か理由を読み取れって事ですか?
女優陣
神野三鈴,渡辺真起子,良かったですなー
板谷由夏, きれいですねー
そして
佳山明ちゃん 良かったですねー
映画館で観てください
温度差
前半、バストを露わにするシーンがあったため、セクシャリティーにフォーカスを当てた作品かと思いきや、途中、リハビリを抜け出してタイに行き、双子の姉妹に会うシーンはまるでファンタジー。リアルなのかファンタジーなのかはっきりして欲しかった。主演の女優さんが好演しているのにもったいない。
躊躇しないで
ずっと気になっていながら、障害者映画という事で鑑賞を尻込みしていた自分が恥ずかしい。もっと早く観れば良かったです。
主人公エマの自己発見と成長の過程を描いた作品ですが、演じた佳山明さんの、まるで演技とは思えない自然さに圧倒されました。この原石を見つけだしたHIKARI監督の大ファインプレーです。
日本映画がしばらく忘れていた「何か」を思い出したような気がしました。
ユマの大冒険の物語
人間が最も好む異性の匂いは、無臭だそうである。免疫力が強ければ無臭になる。つまり健康ということだ。フェロモンだ何だというのは香水を売りたい商売人の宣伝文句に過ぎず、異性に対して健康に勝る魅力はないのだ。病気の美男美女よりも健康な十人並みのほうがよほどモテるだろう。
自分の遺伝子を残すための相手に優れた遺伝子を選ぶのは人間だけではなく、多くの動物の行動に見られる。そういう動物の生態からして、身体障害者は異性を求める場合に大きな不利を背負っている。もちろん本作品の主人公ユマも例外ではない。そしてユマ自身がそのことを悟っていることは、作中の漫画によって表現される。ユマは自分を客観視できる大人なのだ。
身体障害がある生物は、動物の世界では長く生きていけないだろうが、人間界には人権に関する自由と平等というヒューマニズムがある。日本国憲法第13条にも「すべて国民は、個人として尊重される」と書かれてある。本来的には国家権力が個人を尊重しなければならないという、権力に対する縛りではあるが、日本国民全員が互いを個人として尊重しなければならないという覚悟も求められている。
憲法の権力に対する縛りはいまや風前の灯となっていて、政権は憲法を無視して個人を蹂躙しようとしているが、少なくともまだ個人は他の個人を尊重する姿勢を持ち続けることができる。聖書に「人を裁くな、自分が裁かれないためである」(マタイによる福音書)と書かれてある。正義の味方になって他人を断罪することは、自分に跳ね返ってくるというわけだ。しかしSNSには正義の味方が溢れていて、弱い人を糾弾する。
それでも世の中には優しい人間が存在する。強い人だ。世間の価値観やパラダイムに流されなければ、自分の価値観だけで生きていける。世間から軽んじられたり、貶められたりしている人にも優しくできる。世間からどう思われようと無頓着な強い人が、弱い人に優しくできるのだ。
本作品で渡辺真起子が演じた娼婦の舞がそういう人間だ。繁華街のオカマたちもそうである。アウトサイダーにはそれなりの強さと優しさがある。そういった他人との関わりの中で、ユマは彼女なりの優しさを体得していく。それは強さを体得することでもある。
本作品は冒険の物語だ。それも大冒険である。ユマは思い切って出掛けた先で素晴らしい人たちに出会い、助けを獲得して冒険に出る。冒険物語の主人公が成長して帰ってくるように、ユマも大きく成長する。人生を肯定し、自分を肯定する。わたしはわたしでよかった。
脳性麻痺の人間がそうやって自分を肯定するまでに、どれだけのつらい思いがあっただろうか。映画は大人になってからのユマの話だが、ここに至るまでの苦労と葛藤は並大抵ではなかっただろう。そこに思いを馳せるとこちらが泣けてくる。絵葉書のシーンや旅先のシーンは回想シーンでもあると思う。
新人で初主演の佳山明の奮闘に、神野三鈴、渡辺真起子、大東駿介などが渾身の名演技で応じる形でリアリティ豊かに物語が膨らむ。それもこれも、作品の世界観にキャストとスタッフの全員が共感していたからだろう。その一体感が作品を通じて伝わってくる。脚本、監督のHIKARIは恐るべき才能の持ち主だ。本当にいい映画だった。
凄い!
この間の「ザ・ピーナツバター・ファルコン」の主人公の一人「ザック」と同じく主演者が本当に脳性麻痺で肢体不自由なんだけど、こちらは半分は本人のノンフィクション的なストーリー。
元々はたまたまNHKのダイジェストみたのがきっかけだった。
フルストーリーを観たくて鑑賞。
ストーリー、カメラワーク、ストーリーの間に挟まる風景の綺麗さ、女性監督ならではの主人公の撮り方の斬新さ。
そして半分実話のような話し。しかも主人公はオーディションで選ばれた素人さん。
どえらい映画を観た。
良作揃いの今年の映画の中で間違いなくNo.1!まだ二月だけど💦
気合の入った素晴らしい作品
大変素晴らしい作品でした。まず、このような素晴らしい映画を鑑賞出来たことを感謝したいと思います。
自分がこの映画を語るのに相応しいのか少し迷うくらい複雑な内容でした。なので、映画の主題には深く触れずディテールを中心に語りたいと思います。
全体的に安っぽさのない重厚な映像が印象的でした。
最初のヌードのシーンで映画の本気度が伝わってきました。正直言って目を背けたくなるような映像だったことを告白します。しかしその自分自身の醜さを自覚できたを嬉しく思っております。そんな覚悟でこの映画を観ているのか?と軽く笑われたような感覚を覚えました。
いきなりタイに飛ぶシーンには驚かされました。映画としては面白かったと思いますが、少しリアリティにかけていたと感じました。あとずっと旅に付き添ってくれる親切すぎる知り合いも。
最後まで鑑賞した感想は、これは家族の物語なのかと気づかされました。最初は人の生き抜こうとする力強さが主題かと思っていたのですが、少しずつ話が(違和感なく)ズレていくような形で家族へフォーカスが当たっていきます。
今年度の泣カデミー賞✨
素晴らしい
素晴らしい
本当に素晴らしい映画‼️
何て健気で、何て素直な優しい心。
観賞中、ただただ強く願った。
もう我慢しないでいい、喚いてもいい、叫んでいい、暴れ回っていい!!
自由を味わって欲しい!
君の自由を!
素敵な素敵な、君の人生を。
全166件中、61~80件目を表示