劇場公開日 2020年2月7日

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「「ガール・アドベンチャー」」37セカンズ andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「ガール・アドベンチャー」

2020年1月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

試写会にて。
脳性まひの若い女性が主人公だが、上映後監督も語っていたけれど「障害者であろうと、健常者であろうと、全く根幹は変わらない」。女性が羽ばたくために冒険の旅に出る、ガール・アドベンチャー・ムービーといったところか。
あまりにも過保護な母親と暮らし、「親友」の漫画のゴーストライターをしているユマ。この親友(褒めてるんですけど、萩原みのりはこういう役が似合うね...)は完全にユマをいいように「使って」いて、そしてそれを当然と思っている、嫌な存在。
割と唐突にアダルト漫画の世界に飛び込もうとして「人生経験なさすぎ」と突っ返されるユマ。2シーンしか出番がない板谷由夏もこういうのが似合う。
彼女の冒険はここから始まる。色々な人と会い(ちょっと会う人が典型的過ぎないかとは思うが)、挫折を経験した先で出会う人びと。
都合良すぎる展開や、「ここの辻褄は...?」と首を捻る場面もいくつか散見されるのだが、ひとりの女性がもがきながら新しい一歩を踏み出していく様は、感動というか、気持ちが良い。自身の手で自分を発掘し、あまりにも過保護な母親の気持ちを、受け止める。ヒステリックだった母も娘を受け入れる。ある種、理想的な親離れ映画かもしれない。
HIKARI監督の映像は非常な美しさであった。斬新、というのではないが、正統派映画の美しさ。そして監督自身がネアカタイプなのか、基本、この映画は明るい。決定的な崩壊がない。もっと強いコントラストがあった方が、と感じるところもあるのだけれど、それは私は根暗というか、捻くれているからだろう...。
オーディションで選ばれた主演の佳山明さん、映画の最初と最後で見せる表情がまるで違うのがとてもよかった。彼女自身にとっても冒険だったのだろう。表情の付け方が大変巧い。表情の説得力の凄さを感じた。Seeing is believing.
渡辺真起子氏の女性像は痺れる。家出したユマに彼女がかける台詞が個人的にいちばんの泣きポイントだった(そこなの?と言われそうだけど)。神野三鈴さんはなんでもできる凄さを感じた。色々な彼女の演技見たけど「何にでもなれる」感が強い女優さんだと思う。単に過保護なだけではない、複雑な母親像。
芋生悠さん、ファーストルックが紀伊國屋ホールで大変色気のある役だったので同一人物と気づきませんでした。大物になる予感がする。

andhyphen