「正統続編。MCU全作を観てからどうぞ。」スパイダーマン ファー・フロム・ホーム s kさんの映画レビュー(感想・評価)
正統続編。MCU全作を観てからどうぞ。
エンドゲームからの正統続編。
トムホのスパイダーマンとしては2作目であり、MCUのフェイズ3最後の作品でもある。
本作は、青年的学生的な悩みを抱えたピーターが、ヒーローとしても人間としても成長する物語だ。
あくまでも、単体作品ではなく、色々なものの続編である為、何となく映画を見ようと思って手に取る作品ではない。
まぁ、そんな事言う必要もないと思うが……。
関連作品を鑑賞の上、この作品を観ると、何よりも主人公ピーターの成長を感じる事が出来る。気持ちは作中のハッピーのようだ。
例えるなら、久しぶりにあった親戚の子供に対して、
「まだ子供だと思っていたけど、こんなに大きくなったんやなぁ……」と思う気持ちにも似ている。
ただ、その気持ちを味わう為には、MCU作品をほぼ全て観ておく必要がある。
むしろ、その下地がないと、正直面白さが半減どころか激減してしまう。もしも、MCU関連作品を一切見ずに、何も知らずにこの映画を観た場合、情報不足に次ぐ情報不足の為、20点程度の映画に落ちてしまうだろう。
まぁ、全ての関連作品を追って来た我々への、長めのCパートみたいなものだから、特には問題ではないだろう。
作品としての魅力は、何よりもキャラクター達の生き生きとした描き方だと思う。
等身大の悩みを抱えたり、ヒーローとしての苦悩や責任について向き合ったり、また復讐の意思を秘めながら善人の皮を被って近づいたりと、それぞれのキャラクターが生きていると思える演技を見せてくれる。
特に、本作のヴィランであるミステリオ役のジェイク・ギレンホールが善人の皮を剥がすシーンは観ていて心地良さすら生まれる程だ。
また、過去作へのリスペクトシーンも多々あり、ピーターがラボを使ってスーツを作るシーンは、誰もがハッピーと同じ気持ちを共有出来ただろう。
特に主演のトムホとヒロインのゼンデイヤが、とにかくめっちゃ可愛い。3次元では余り萌えるタイプではないが、本作はめちゃくちゃ萌える。
だだ、本作は素晴らしい映画であると同時に、勿体ない描き方をしている箇所がいくつもある。細かい所を上げるとそれなりの数になってしまう為、
大きく3つ。本作についてのモヤモヤについて語りたい。
1・ピーターの恋心描写
時系列を考えると、お前ちょっと前までリズ好きだったんと違うんか?
MJに既に惚れているピーターから話が始まる為、何故・どうして・どこに惚れたのかが語られない。いきなり惚れている。幾ら何でもおかしい。後半に、MJがスパイダーマンと疑っていたからピーターを見つめていた的な台詞があるのに、そんな描写を最初に入れていない。学校内で気がつくと目が合う的な描写カットを2〜3シーン入れるだけでも良かったのに、そんなシーンはない。ピーターの思春期感はすごいが、逆に恋心まで浅はかになってしまうのは如何なものか。
2・ドローンのホログラム装置について。
衛星軌道にある攻撃用ドローンを利用するのは良い。何でそのドローン全てにホログラム装置がついているのか。実にご都合主義だ。
ミステリオ自身の技術なのだから、ホログラムのメカ自体は独立しており、攻撃用ドローンとドッキングする等であれば納得もいくのだが……。攻撃用ドローンに、あそこまで高性能のホログラム照射装置がついているのは、正直解せない。
3・ミステリオ問題
これが一番問題だと思うのだが、ミステリオの時点でヴィラン確定なのです。
マーベルコミックスの中のB級ヴィランじゃん。最近だとゲームのCMにも写ってたし。
見た目と名前の時点で「あぁー、こいつ絶対に裏切るわ」となってしまう。何ならメガネが出てきた時点で、騙されて奪われて攻撃ドローンが悪用される……ってところまで読める。読めてしまう。
せめて途中まで、ミステリオではなくベックとして扱ったり、途中までの彼のスーツヴィジュアルを映画オリジナルのものにして、悪役宣言をした後にミステリオの衣装やデザインに収束させる……などをすれば、作品としてのファンへの喜ばしい裏切った展開は、2〜3倍にも面白いものになっていただろうに……。
とまぁ、誰もが観終わって後に、思った感想を書いたが、細かい所を圧倒する面白さが、本作にはある。
何度も、ピーターの成長を感じたいと思える。そんな映画だった。
最後に1つ。
ピータームズムズのワードセンスは凄い好きだけど、せめて何処かでスパイダーセンスと言ってあげて欲しかったなぁ。