「エンドゲームの疑問点をいきなり肯定してしまうとは!」スパイダーマン ファー・フロム・ホーム Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
エンドゲームの疑問点をいきなり肯定してしまうとは!
恐るべし、ケヴィン・ファイギ(マーベル社長/MCUのプロデューサー)。
唯一、「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019)で疑問だった点。サノスの指パッチンを解消した世界で、ピーター・パーカーが5年ぶりに学校に戻ってネッドと再会するが、同級生の半分は5歳年上になるのではないか?という疑問だ。それをいきなり冒頭で肯定したうえ、つじつまを合わせてしまう。
本作は、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の23作目で、第3フェーズの最終作。
「アベンジャーズ/エンドゲーム」が一応の一区切りだと思ったら、その余韻を楽しむ作品になっている。トニー・スターク(アイアンマン)の喪失感で悲嘆に暮れるピーター・パーカー・・・という設定だ。
トム・ホランドが演じるスパイダーマン(=ピーター・パーカー)の登場は、「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」(2016)、「スパイダーマン ホームカミング」(2017)、「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019)に続く4作目になる。
MCUとの登場キャラクターのクロスオーバーとしては、元S.H.I.E.L.D.長官のニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)と、同じく元副長官マリア・ヒル(コビー・スマルダーズ)。また「ホームカミング」で、ピーターのお目付け役だった、ハッピー・ホーガン(ジョン・ファヴロー)も再登場する。
そのジョン・ファブローは、ちょうどTOHOシネマズの幕間CMで、実写版「ライオン・キング」(8月公開)の監督として、マジメな顔でインタビュー登場する。MCUファンなら思わず、"ハッピーだ!"と笑ってしまう。
さらにエンドロール後のオマケ映像では、クリー人のタロスとソレン夫妻が出てくるので、ここは「キャプテン・マーベル」(2019)を先に観てないと意味が分からなくなる。
ところで新ヒーロー(?)、"ミステリオ"(=ベック)役としてにジェイク・ギレンホールが、MCU初登場する。予告編で、なんとも格好悪いヘルメットをしているなぁと思っていたが、それも含め、本作を見ればいろいろと納得である。
本編のみならず、オマケ映像まで含めて、タヌキに化かされたかのような、多重トリックのストーリーで、MCUとしてはあまり進展しない。スパイダーマン・スーツが複数出てくるので、フィギュアやキャラクターグッズ的には面白いかも。黒い柄の"ステルススーツ"が新しい。
ピーターとMJ(ゼンデイヤ)のラブストーリーはいまいち盛り上りに欠け、申し訳ないがMCUとして本作はスッ飛ばしてもなんら問題ない。
同じマーベル原作でも、キャラクターごとに映画化権は異なるため、本作は"ディズニー"ではなく、"ソニー/コロンビア映画"である。ソニー映画のスパイダーマンシリーズとしては、ヴィラン(悪)役の「ヴェノム」(2018)、アニメの「スパイダーバース」(2019)が面白すぎるので、MCUとは別に、どう棲み分けるかが問題だ。
初回はIMAX3Dで観た。画角はシネスコなので、3D版ということ以外、IMAXで観る意味はあまりない。しかもIMAX GTテクノロジーでないと、左右プロジェクターの字幕ズレが、もれなく付いてくる。
「ホームカミング」の上映時には、オープニングのIMAXカウントダウン数字が、"蜘蛛の巣"デザインだったが、今回は何もない通常版である。
今回は特別チューニングされている、"4DXエクストリーム版"が注目である。最高強度の4D効果はどれ程のものか、楽しみである。
(2019/6/28/TOHOシネマズ日比谷/シネスコ/字幕:林 完治)