「マーベル苦手でも楽しめた」スパイダーマン ファー・フロム・ホーム erimakiさんの映画レビュー(感想・評価)
マーベル苦手でも楽しめた
もともとヒーロー物全般が苦手、MCU作品は特に最初の印象が最悪だった。というのも入り口がアベンジャーズ(2012)でどのキャラにもなんの知識も愛着もない私にとっては微塵も魅力を感じず、アクションも凡庸に思えて、何で世間ではこんなに盛り上がっているのだろうと「周りが熱狂すればする程自分は冷めていく」の法則を元に嫌悪すら抱いたけど我慢して(笑)魅力を理解しようと時系列通りにシリーズを踏襲した結果、特にインフィニティウォーからのエンドゲームの流れで自分も無事に熱狂していた次第です。
さて、今作はあのアバターをも超える興行収入を叩き出して稀代の名作となったエンドゲームの続編とあり、どうせ小ぶりな出来になるんだろうと高を括っていた。内容に関しても、宇宙をも巻き込んだ壮大なスペクタクルであった前作までとは打って代わり、話の主軸となるのがいち学生いち青年のラブストーリーとあって随分スケールダウンしたものだと「申し訳程度に練って適当に作った作品何でしょ、どーせマーベルのブランドで儲かるんだし、ふんだ」と全く期待していなかった。
ところがどっこい、あのアベンジャーズ嫌いなおじさんはどこ吹く風、今作も無事に熱狂してまいりました。何が面白かったのか?上映終了後の熱狂冷めやらぬ内に近所のカフェに駆け込んで熟考したところ、主に以下の点かなと感じました。
・革新的な映像
・コメディ映画も真っ青な笑いのセンス
・的確なキャラ立て
・シンプルなストーリー
凄い月並みな意見でスイマセン。
映像に関してはスパイダーアクションはいい加減飽きたよと突き放すなかれ、序盤に展開されるベネチア(?)での戦闘シーンでは、水上に高く突き出した塔があったり橋や船が行き交っていたりと水の都と言われる所以であるその街並み自体が新鮮であり、従来の大都会とは一風変わったロケーションを縦横無尽に立ち回るスパイダーマンはまた一味違った趣がある。終盤には大量のドローンを使った空中戦、最新の3D技術で展開される敵の幻影内での空想アクション、どこを切り取っても何かしら新しい試みが行われている印象を受け、それがまたこちらを飽きさせぬ要因となり、素晴らしかった。だからIMAXか最低でも映画館推奨なのは皆意見が一致するところではないか。
アクションとコメディという一見相反する要素を適度に配置していくことにより、お互いがお互いの要素を引き立てる重要な役割を担うことはアベンジャーズファンなら周知のところ、今作でも健在です。
ジェイクギレンホールが大当たりのはまり役であったのは誰も異論がないのではないか。したたかさ、ずる賢さ、執着心、復讐心と行ったこのキャラを象徴する負の感情が、あの面長の顔に光る鋭い眼光に憑依していた。
個人的にここがこうだったら・・・
ピーターとMJとの間にギクシャク感やわだかまりをもっと燻らせてもよかったかなとも思う。割とすんなりとMJがピーターの協力者になった故。ピーターが中盤にトニースタークの後継であることへの葛藤、壁に突き当たり、それに追い討ちをかけるようにMJに見放されるようなフラグがあったらさらに終盤への布石となって感動がましたのではないかと素人ながらに考えた。
・まとめ
正直行ってこのシリーズに宇宙の話が持ち込まれた時から(いやそれ以前から?)パワーバランスも世界観もクソもなくなっているがもはや何でもありという世界できちんと楽しませてくれるってのは逆に凄い。普通はどっからどこまでがキャラクターのピンチに当たるのか許容範囲が伝わらなくなり、ストーリーが破綻すると思われるからだ。