「瞬間風速はなかなかのもの」ターミネーター ニュー・フェイト tabletapさんの映画レビュー(感想・評価)
瞬間風速はなかなかのもの
『ターミネーター2』が傑作であの結末が最高と思っていて
本作があくまでもパラレルワールドの物語でサラ・コナーをもう一度舞台に立たせるための作品だと割り切れないなら視聴しないほうが良い
新規視聴者が見ても理解できる作りにはなっているが
一方でターミネーターシリーズファンからしたら物足りなさを感じるだろう
女サイボーグ、サラ・コナー、サラ・コナー二世、の強い女三銃士はなかなか面白かった
作中で老サラ・コナー登場シーンは非常に良かった
また、女サイボーグもアクションシーンが良い、特に『攻殻機動隊』を彷彿とさせられるシーンもあり、良い
座標の示す先で出会うキャラクターも事前情報無しなら喜べるだろう
こうした一部シーンの瞬間風速は非常に良い
一方でスリラーとして非常にお粗末と感じざるを得ない展開はいただけない
『ターミネーター2』のように絶望的に強い敵を撃退しつつ、スカイネット破壊に動くような
追われるものが追い詰める所謂『逃亡者』型展開を期待していたが
追われて、ただ追跡者を撃滅することを目的とするような展開では些か厳しい、また、紙一重で撃退する死闘感が薄い、T-800の鋼鉄の肉体を駆使した闘いとは全然違う
そして結末も、想像していたオチの中でかなり微妙だと思っていたベターなオチで残念、ターミネーターシリーズの終幕としてはとても勿体ない
またジョン・コナーとT−800の物語に対して最悪の形で続編を作っているのはファンによっては怒り狂うだろう
セリフも「地獄で会おうぜ、ベイビー」などの名ゼリフを言わせることないため気が利かない印象
またRev-9のいろいろな説明不足はかなり白ける
初襲撃はまるで銃に変形しているように見えて、何にでも変形できるかのようだし(実際は紙袋への変形なので従来と同じ程度の変形能力)
内骨格との分離は良いアイディアだが、単純に増殖したように見えてしまった
キーボード融合は操作を高速にするためとわかるが、データセンターで融合して操作してるシーンはまるでエヴァMark9だが、ちょっと何をやってるか分からない、データセンターなのでストレージに接続して足取りを追跡しているのかと思ったが、逃走先に当たりをつけて周辺地域から送られたリアルタイム映像を解析して発見してると2回目で理解した
こうした説明不足は視聴時に何でもありの白け感を感じてしまった
『ターミネーター3』などは存在しないが
『ターミネーター4』は未来でのターミネーターシリーズの描写をしたことで、作品世界に深みを与え
『ターミネータージェニシス』ではオリジナルの展開を踏まえた上でシュワルツェネッガーの活躍シーンを演出し、それなり以上に良い作品として仕上がっていた
しかし本作はどうだろう、個人的にはTVドラマの文脈で作られたような印象を覚えた、もう少しなんとかならなかっただろうか…