劇場公開日 2019年11月8日

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「サラ・イズ・バック」ターミネーター ニュー・フェイト ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5サラ・イズ・バック

2019年11月11日
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⚠️末尾でネタバレあります。⚠️

公開2日目で観てまいりました。

T2の"真の続編"との触れ込みの本作。
リンダ・ハミルトン演じるサラ・コナーのカムバック映画として非常に満足度の高い映画でした!
映画始まって冒頭"ある衝撃の展開"から始まります。ここから怒涛のアクションを経て中盤に至るまでは、ビジュアル・展開共にT2の続編として充分な説得力と牽引力を持っていました。

キャスト陣の演技も素晴らしく、特にリンダ・ハミルトン演じるサラ・コナーは完璧でした。劇中世界で28年間生きてきたとしか思えないサラの貫禄は、スクリーンで見るに足る魅力に溢れていました。これでアクションまでやってのけますからね、リンダのストイックさは健在でした。

グレースを演じたマッケンジー・デイビスの深みある演技も光ってました。彼女はかつてマイケル・ビーン演じたカイルを思わせる造形。その憂いを秘めた表情は、彼女の内に秘めた想いを見事に表現していました。新キャラクターながら、ドラマに厚みを持たせています。

シリーズとしては、数あるT2以降の続編の最大公約数を狙ってきたなと。
まさにベストヒットターミネーターと言える内容で、ファンサービス満点の展開は前作ジェニシスとも似た印象を持ちました。
これを、前作と違ってオリジナルキャストでやっています。

ただしストーリーの焼き直し感は強く、新機軸の要素もさしたる魅力を感じなかったのが正直なところ。
特に後半の飛行機内でのアクションシーンは荒唐無稽で呑み込み辛く、カメラワークも含めて本家キャメロン作品との差を大きく感じました。
ネタバレになるので詳細は避けますが、その後の展開も脚本の粗が目立っていました。世代交代劇として丁寧にドラマを構築して欲しかったですね。

色々ネガティブな事も言いましたが、そもそもターミネーターシリーズが一作目で完成しているだけに、何を作っても"蛇足"にしかなりえないのは運命と言えるかもしれません。
その中でリンダのカムバックを果たし、T2から地続きの世界を見せてくれた。この事が作品最大の成果と言えるでしょう。

⚠️以下、よりマニアックに踏み込んだ内容となります。
⚠️ネタバレも含みますのでご注意を。

Rev-9。
せっかく新ターミネーターを生み出したんであれば、もっと魅せ場を作って欲しかったなと。鎖でバラバラになったり女性キャラクターのキックで怯んだり。主人公補正での弱体化も気になりました。内骨格と液体金属を纏ったメカならば、T800とのガチンコバトルでも剛性の高さを見せて欲しかったですね。

それとスカイネットに変わるAI、リージョン。これがスカイネットと名前以外何が違うのか不明瞭で、現時点では呼称が変わったようにしか思えなかった。続編を見越して現時点ではボカしているのだろうか?
いずれにせよ、AIが普及しつつある現在ならではのターミネーターとして、もう少し踏み込んだ内容にして欲しかったことは確かだ。

単なるシンギュラリティの末の審判の日なのか、あるいは別の経緯で生まれたのか?
興行収入が伸びて続編が作られれば、これらも明かされるかもしれない。

ジョイ☮ JOY86式。