「定番の展開は楽しめた。ただ、 審判の日をマクガフィンにしないで」ターミネーター ニュー・フェイト LittleTitanさんの映画レビュー(感想・評価)
定番の展開は楽しめた。ただ、 審判の日をマクガフィンにしないで
公開日に観ました。
過去作ファンとして、老いたサラ・コナーの格好良さに興奮もしましたが、大団円を予想できてしまう定番感も感じました。
正直、本作は長所も短所も、この定番感にある気がします。
要点を3にまとめます。
1. 長所: 不可能を跳ね返す痛快さ
第1作は、反乱軍のリーダーになるサラ・コナーが狙われる。
不死身のT-800から、ただひたすら逃げまくる展開。
逆転は絶対に不可能に思えるが、カイルの自己犠牲と、プレス機の圧力で、からくも勝利。
カイルの子ジョンを妊娠したサラが、強い決意のもとに、立ち込める暗雲に向かう姿が感動的。
第2作は、少年に成長したジョンが狙われる。
T-800より進化して、破壊しても再生する液体金属型のT-1000から、必死に逃げまくる展開。
1作以上の圧倒的不利に絶望しかけるが、T-800を溶鉱炉に落として勝利。
サイバーダイン社の研究や資料を破棄したため、コンピュータの反乱を防ぎ、そもそもの問題を解決した、完結編としての続編。
しかし、なんだかんだ理屈をつけて、キャメロンの手を離れ、シュワちゃん以外のキャストを変え、派生作が誕生。
個人的には楽しめた作品もありましたが、正直第2作で味わった興奮に及びませんでした。
そこで、遂に登場したキャメロン製作総指揮の正式な続編。
シュワちゃんは重要なキャストだけど、やはり主役はサラ・コナーと実感できる出来栄え。
カイルの子を身ごもってから、彼女に芽生えた決意が、本作でも見事に爆発してました。
登場のシーンが圧倒的にカッコいい。
比較的序盤に"I'll be Back."をサラに言わせるオシャレさ。
対象者がジョンに代わる革命家。
反乱軍が送り込むのが、ロボットではなく、強化した女戦士。
と、新たな設定もあるが、大筋では第1・2作をなぞる展開。
ただ、絶望的な追っかけっこの演出は実に上手い。
T-1000同様液体金属製だが、分身もできるREV-9。
女戦士が戦える時間に限度があるため、とにかく窮地に落ちまくる。
しかし、ジョンを殺したT-800との合流もあり、遂に反撃を決断。
かなり苦戦するも、女戦士の自己犠牲で勝利。
少女時代の女戦士を見まりながら、今度は殺さないと決意する。
やはり、アクションの演出などが素晴らしく、個人的にはかなり楽しめました。
2. 短所: 残念ながらパターンが見える
ただし、悲しいことに、終盤になるにつれ、どうせ助かるんだよな。
1作ではカイルの自己犠牲に悲しみ、2作でも終盤まで予想のつかない展開にハラハラしました。
でもさすがにこれだけシリーズを観続けてくると、女戦士とT-800の自己犠牲も予想内の範囲だし、大団円になることも分かってしまう。
なので、中盤まではかなり興奮してましたが、終盤になるほど定番感あり、ハラハラ感が萎えてきました。
演出のうまさにキャメロン効果がみられましたが、予想できすぎてしまう終盤はちょびっと残念でした。
3. 審判の日って結局"マクガフィン"
第2作で解決できた筈の審判の日。
ところが、派生作品や続編を作るために、なんだかんだ生じることに。
本作でも、スカイネットはなくなったけど、レギオン(リージョン)は誕生。
コンピュータ(AI)の反乱は、ある意味必然なので、皆危機感を持てとのメッセージかもしれませんが、何だか続編を作るためなら、前作で描いた苦労を帳消しにして、人類の危機を気軽に復活させているようにも思えました。
登場人物が行動の動機づけとなる対象は、マクガフィンと呼ばれます。
大金だったり、美術品だったりしますが、登場人物が頑張って行動する目的になりさえすれば何でもよく、本質的な価値はどうでもよかったりします。
なので、第1・2作で感じた「審判の日」を防ごうとして熱い思いも、同じ展開の作品を繰り返し見せられると、こちらの思い入れも低下してきます。
結局はAIの反乱て防げないし、続編を作るために道具になってる気がします。