「ほぼメキシコ映画。でもインドネシアの香りもするある意味実に今風なSFアクション大作」ターミネーター ニュー・フェイト よねさんの映画レビュー(感想・評価)
ほぼメキシコ映画。でもインドネシアの香りもするある意味実に今風なSFアクション大作
1995年、コナー親子とT-800の活躍で回避された「審判の日」。あれから25年、メキシコシティの街にあの球形の閃光が2つ現れる・・・以降の話は野暮なので割愛。物語の鍵を握るのは工場に勤めるメキシコ人ダニー。何者でもないはずの彼女がなぜ新たなターミネーターREV-9に狙われるのか、そしてダニーを守るために現れた強靭な身体能力を持つ女性グレイスは一体何者なのか、そして颯爽と現れて彼女らを助けるサラ・コナーはなぜこの起こるはずがない事態を知って駆けつけたのか、そして彼らの前に現れたT-800は敵か味方かといったてんこ盛りの具材をスピーディに綴った脚本はこの手のジャンルはお手の物、デイヴィッド・S・ゴイヤーの手腕かと。『T3』とは全く違う手口で『T2』を茶番にする手口は意外なところで『ザ・レイド』をワンカットで茶番にした続編『ザ・レイド GOKUDO』と同じ手口。顔面にマシンガンを叩き込むゴアなシーンを筆頭にアクションシーンも『ザ・レイド』リスペクトが滲んでいて、『ザ・レイド』を鑑賞しながらこの一作で未来のアクション映画は劇的に変わると確信したことが今まさに現実となっていて感動しました。
『ボーダーライン』2作や『LOGAN ローガン』のようにメキシコからの越境を介した現代批判もしっかりドラマに取り込んでいるし、なぜか自身の主演作に必ず匂わせるラテン臭がマックスで漲っていて、見た目ほぼメキシコ映画になっている点も特徴的。そして何よりいつも強い女性を執拗に追い求めるキャメロン趣味もここに来て百花繚乱。闘うヒロインを3名も投入し、ある意味絶望的とも言えるいかにもSF的な結末に立ち向かう凛々しさを活写。非常に清々しい作品となっています。
自分も今観に行こうと思います。ジェームズキャメロンさん、アーノルドシュワツエルネッガーさん、リンダハミルトンさんが21世紀の世界に伝えるメッセージがあります。デジタル化に伴うリスクもテーマにしています。