「アクションは見応えあるが人物描写がやや雑」太陽は動かない アラカンさんの映画レビュー(感想・評価)
アクションは見応えあるが人物描写がやや雑
原作小説は未読で、WOWOW の全6回のドラマも見ていない。それでも十分に楽しめた。訳ありの子供をエージェントに育成し、組織を裏切らないように胸に爆弾が埋め込んであって、毎日連絡を行わないと爆弾が爆発して死ぬという設定は面白いが、折角育成したエージェントを連絡ミスだけで失ってしまうというのは、実は非常に効率の悪いやり方であり、地中や海中での1日以上の活動が出来なくなるなど不都合が多く、組織的には大損だと思うのだが、取り敢えず緊張感のある縛りにはなっていた。
テレビドラマの続編という流れらしく、登場人物の描写が主人公以外はかなり雑であったのが残念だった。時節柄、ソーラーエネルギーに絡んだ国際的な利権を巡る話であったが、仮に発電効率が 100% のソーラーパネルを発明したとしても、それで世界を支配できるというのはかなり行き過ぎた話であると思った。日本企業が関わるのは蓄電技術だけというのもかなり肩透かしで、蓄電は大規模なバッテリーを構築すれば誰でも実現できてしまう訳で、秘密めいたものは一切ないはずなので、プロジェクトの重要な役割ではあるものの、技術が盗まれるといったたぐいの立場ではありえない。
主人公の生い立ちや若い頃のエピソードもやや雑だったように思う。折角東京から転校して来た女子生徒の話が出て来たと思ったら、その後の進展がなく、回顧もされないのは可哀想だった。こうした使い捨てのエピソードがある一方で、重要人物の行動動機の描き方が浅く、アクションシーンでもどこにいるのか分からないような画面を見せられたのにはちょっとイライラした。
役者は丁国人や 47 国人の比率が高く、それぞれ重要な役割を持っているのだが、どういう意図を持った飼い主に雇われているのかが全く分からないままやり取りが続くので、何がしたいのかが良く分からないといった状況に置かれて疎外感を味わった。もう少し丁寧な脚本が欲しかった。日本語の台詞も喋らせられていたが、もう少しネイティブな日本語で喋ってくれないと、折角の決め台詞も良く聞き取れないという惜しむべき状態に陥ってしまうのが残念だった。
ブルガリアのロケや沈み行く船の中でのシーンは見応えがあったが、やはり注目すべき人物がそれぞれ誰なのかのナビゲーションが不十分なため、ウッカリすると肝心な人物の生死さえ不明になってしまう危うさが気になった。
役者は藤原竜也は良かったが、その分相対的に竹内涼真は少し弱かった。外国人俳優には是非もっと日本語のトレーニングをお願いしたかった。音楽はかなり頑張っていたと思ったが、エンディングの歌謡曲がまた雰囲気をぶち壊していた。アクションシーンの演出の巧さには感心したものの、やはりやや説明不足ではないかと思った。
(映像5+脚本3+役者3+音楽4+4)×4= 76 点。
見る前にレビューを見てしまったので全然集中できなくて困った。まさにレビュー通りの進行にそれだよな。そうだそうだ。なんで貨物船の中に乗り込んでこれるんだ。スマホは防水なのか、衛星電話か。顔認証はしないのか・・・。まぁ面白かったですけど。
ほんと、単なる連絡ミスが起きそうな設定にハラハラしていただけだった。