「舞台のアイデアが全て」search サーチ hashikun54さんの映画レビュー(感想・評価)
舞台のアイデアが全て
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話が全て、誰かが開いているPCや携帯電話などのデバイスの画面の中だけで進行していく。
つまりすべての画像・動画・音声は一度コンピュータを経由したものである訳で、ということはすべての画像・動画・音声が加工し放題ってことじゃないか!
となると失踪した娘を父親が探すのがストーリーの骨子だけど、娘は本当に失踪したのか、主人公の男は本当に失踪した娘の父親なのか、そもそも娘は実在したのか、そのレベルをさえ覆すどんでん返しをいくらでも仕込める!
この設定を考えた人は天才だ!
これは歴史に残る不条理ものの名作に違いない!
・・・と、おおいに期待して観に行ったんですけどね・・・。
何一つ不条理なところがなくて本当にがっかりした。
制作側はむしろ不条理を嫌って話の解りやすさのために腐心したようで、どんでん返しはない訳じゃないがこういう特殊な舞台装置でなくても普通にできるものだけ。
何なら『デバイスの画面の中だけで進行する』っていうアイデアを、制作側は持て余したんじゃないかと思う。
登場人物はみんな、いちいちストーリーがちゃんと端末のカメラに撮られるよう行動していて不自然にさえ感じた。
都合のいいときに限ってPCをシャットダウンし忘れたり。
電話をかけるのに端末を顔から離して自撮りで話したり。
挙句どこの誰とも知らない人が見ているワンセグのニュース番組、なんてのに至ってはもはや反則だろ。
結局、『デバイスの画面の中だけで進行する』という舞台装置以上に面白いものは私は見出せなかった。
だいたい、娘の遺体と対面もしないうちから葬式の手配はしないだろ。
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