劇場公開日 2018年10月26日

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search サーチ : 映画評論・批評

2018年10月23日更新

2018年10月26日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにてロードショー

ついに成功作が現れた、PCモニター上だけで展開する緊迫スリラー!!

SNSや動画配信ツールなどをマルチに使い、PC(パソコン)のモニター上だけで展開する物語ができないか? いかにもデジタル・ネイティブの考えそうなことだが、こいつがなかなか難しい。2013年のロシア産ネットスリラー「デス・チャット」を始めとし、恐怖映画製作の才人ジェイソン・ブラムによるゴーストホラー「アンフレンデッド」(16)や、俳優イライジャ・ウッドの趣味性だけで成り立っているサスペンス「ブラック・ハッカー」(14)など、先の試みに挑んだ作品は少なくない。が、どれも奇抜な発想にドラマが遅れをとった印象だ。

だが今度の「search サーチ」は、この荒手を巧みに操った、初めての傑作といっていいのでは? 一人娘のマーゴットを男手一つで養うデビッド(ジョン・チョウ)。だがある日、マーゴットは父にFaceTimeで勉強会に行くと伝えたきり連絡を絶つ。デビッドはツイッターやFacebook、InstagramなどあらゆるSNSサイトを使い、娘の交友関係を洗い出して行方を追うも、やがて事態は失踪事件へと発展、警察に捜索願を出すことになる。

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映画はこうした事件の経過を、スカイプ通話やショートメッセージ、Google検索やYouTubeなどを用いて追っていき、我々はそんなデビッドの肩越しにPC画面を覗くような緊張のステージへといざなわれる。最後に物語は思いもよらぬ結末へと向かうのだが、その結末もネット文化に由来する仕掛けが施され、徹頭徹尾この大胆な設定を活かした作りに驚かされるだろう。

このように作品は先進かつ先鋭な外皮でくるまれているが、物語は母親の死をきっかけに、ぎこちなくなった父娘関係の修復が芯にあり、これがじつに感動的な音色を響かせてくる。どんなに革新的な手法も、ベースとなる物語に共感性がなければ観る者の興味を半減させてしまうだろう。またネットの脆弱性や快適さの裏にあるデジタル依存の落とし穴など、そこにお定まりな社会的メッセージを見出すこともできるが、映画はそうしたテクノロジーを批判する立場にはない。ただ新たな視覚表現を駆使して極上のスリラーを見せてやるぜ!という、作り手の前のめりな挑戦心がそこにあるだけだ。

監督は27歳の新鋭アニーシュ・チャガンティ。当たり前のようにPCに触れてきた世代の感性もさることながら、本作をプロデュースしたのは「ナイト・ウォッチ NOCHINOI DOZOR」(06)「ウォンテッド」(08)のティムール・ベクマンベトフ。氏は冒頭の「アンフレンデッド」でも製作を担当し、よほどこの手法を専売特許化したいとみえる。だがここまでこのスタイルを極めてしまっては、次回作でそれが超えられるのか不安になる。そんな完成度を誇る成功作だ。

尾崎一男

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