「これは面白い!」search サーチ テツさんの映画レビュー(感想・評価)
これは面白い!
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父親のデビットはある日行方不明になった娘マーゴットを捜索するため彼女のPCからマーゴットについて調べ始める。するとそこには知らなかった娘の姿が…という物語
この物語は全編PC上の中で物語が進行するというのがこの映画の特徴であり、鑑賞者も捜索する父親の視点で物語が進行していく。
オープニングでは家族の過去のあらましや思い出、母親の死までが軽やかな音楽と共に写し出され、PC やインターネットの明るい部分、良さが写し出される(後半の暗い部分との対比として)
YouTubeやTwitter、Facebook など身近なSNSやサイトが出てくるので入り込みやすさもあり、徐々に娘の隠された姿を知っていく父親もリアルな感じ
その後、マーゴットが行方不明になり彼女のPCから彼女の行方を探るのだが、知らなかった交遊関係ややり取り、通ってなかったピアノのレッスン、引き出されたお金…などマーゴットが失踪した理由についての謎はどんどん深まる。事件に巻き込まれたのか、自らの意思なのか、原因はなんなのか?マーゴットの行方は?というのが明かされる様々な情報と共にサスペンスフルに展開していき、推理サスペンスとして非常に見応えがある。
ある意味現代のネット社会の暗い部分や厄介なモノも顔を出しており、ネットに上げられたままの写真、気軽に繋がれるゆえに分からない本当の友人、拡散される画像や言動、ウソかホントか分からない情報や画像の数々…
この辺はインターネットの良くもあり、悪くもある部分を描き出しており、身近な存在のネット社会への意識を向けさせる。
今まで知らなかった娘の姿を知りつつも、娘を信じて真相に迫る父親の奮闘がPC画面というある意味一人称視点的で写し出されるので観ているこちら側もハラハラさせられるし、緊迫感にも繋がっている。また、父親が見れる情報しかほぼ出ないのも情報が(観ている側としても)制限され、真相になかなか近づけないのもリアリティになっているかな
同時にこれは親子の物語である。父親は娘のこと、想いを全ては分からない。逆もしかりで娘も父親のこと全てを分かるわけもない。
ある意味、普遍的な親子の「全てわかりあうのは難しい」という観点が現代的に描かれているとも言えるかも?
父親は娘の知らなかった部分に触れ、葛藤し、時に暴走しつつも真相に近づいていく…
知らなかったマーゴットの姿から徐々に真相に迫るのだが、なかなか全ての真相には近づけず、容疑者が浮かんでは消え二転三転する展開が物語をクライマックスまで盛り上げてくれる
ここからはよりネタバレ注意
真犯人は正直最後まで分からなかった。
ちょっとした偶然から新たな真相が見えてくるというのも面白い。
推理サスペンスとしても今までの画像が伏線やヒントになっており、驚かされた。
一度真相が判明して終わった?みたいな展開になりかけたが、まだ謎は残ってたので終わらないよな~とは思ってたらまさかの!アイツが犯人⁉️という感じ
この犯人についても一つの「親子の物語」だよなぁ…
現代のネット社会の明暗の描き出しつつ、親子関係という普遍的な物語を活かし、極上の推理サスペンスに仕立てあげた快作!