永遠の門 ゴッホの見た未来のレビュー・感想・評価
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ゴッホの知識有無関わらず文句なしの映画
絵画通ではないがゴッホは知っているし、絵も写真や本で観る程度の私でもこの映画は注目していたが、期待通りの内容。ゴッホの生涯を知る事が出来、内容もゴッホの絵へのこだわり、世間に認められないもどかしさ、ゴーギャンとの考え方の違い、小学生や先生に批判されたショックで精神科ヘ入院など物凄く中味が濃い。ゴッホ役のウイリアムデフォーの演技が完璧で、出演者の演技も文句なし。また、この映画で一番素晴らしいのは情景が適度のピアノとバイオリンで浮かぶ事と程度のセリフ。これが素晴らしかった。今年の日本の洋画上映のNO.1だと思います。おすすめです。ただ、音楽が心地よく眠ってしまう点はご注意下さい。しかし、この映画はそれでも大丈夫です。
すごくゴッホっぽく思えるけれど・・・
伝記としては一風変わっていて、まさにアーティスティックという言葉がハマるような気がした。それでいて、これまで見知ったゴッホ像をそのまんま見事に表現していたように感じたし、自分の中ではすごくいい映画のような気がするのだけれど、どうも・・・
デフォーの容姿から雰囲気まで、まさしくそれ!と思わせるぐらいだったし、風景とかカメラワークを見ても、リアルなものを追求していたように思えた。しかし、フランス語の台詞があふれかえる中、それが突然英語になってしまう違和感は、自分にとっては結構致命的だった気がする。別に、忠実にその地の言葉である必要はなかったと思うし、全編英語でも問題ないように思うのだけれど。もしかしたら、日本語吹き替えがあったらその方が絵や音に集中して見ることが出来て、もっといい作品に感じるかもしれない、などと他愛もないことを思ってしまった。
ゴッホの事に対しての知識は必要
率直な感想、まずゴッホの事に対してある程度知識がないと難しい。
また映画だけではなくある程度絵画への理解もないとこの作品を本質的に楽しめない気もした。
デフォーの一つ一つの演技などには魅了されたが、デフォーの目に写る視線からのカメラアングルなどは少し酔う。
序盤は台詞が少なく目で、背景や表情などからストーリーを展開させていくため創造力が求められる。
ここで取り残されてしまうと、その後退屈に感じてしまった。
決して作品が悪いわけではなく、自分の知識不足、力不足で楽しむ事ができなかった。
その点からある程度ゴッホの知識や絵画への関心を持った上でこの作品は観賞するべきなのかと感じた。
ウィレム・デフォーがゴッホにしか見えない
主演のウィレム・デフォーが、ゴッホの自画像そのもので驚きます。
映像がとても綺麗で、アルルへ移り住んでからの自然が素晴らしい。
「仕事に出かける画家」の絵が再現されていて、ゴッホが自然を描き続けた理由がなんとなくわかったような気さえしてきます。
なんとなく知っていた彼の生涯が、美しい映像と素晴らしいキャスティングで映画になっているのはゴッホ好きとしてはとてもうれしい
【感想ブログ】https://toomilog.com/gaga_gogh
演技、映像、脚本、どれも素晴らしい
ゴッホの自画像まんまのウィレムデフォーに驚き!
芸術家らしい何かに取り憑かれたようなオーラとその演技に鳥肌が立ちました。真摯に芸術に向き合う姿が良く描かれていて感動的。
他、ゴッホが見たであろう美しい風景とピアノ曲が印象的な、野外スケッチのシーンがとても良かったです。
ゴッホの生まれかわりかと思うくらいそっくり!
ゴッホって、日本人からすごく愛されているけど、意外と彼の生い立ちって知らないかも…!
これまで、なぜ彼の人生があまり知られてこなかったのか…
その理由がなんとなく分かってしまった映画でした。
多分みた感じ、結構精神病んでるように見えてるから、人としてあまり受け入れられなかったんじゃないかしら?
周りの人から疎まれている姿が切ないけれど、彼の人生には絵があったからここまでやってこれてきたんでしょうね。
そして、彼にとって絵を描くことは、安らぎであり、心の拠り所だったのではないでしょうか。
だから、どんな絵を描こうと、絵を描いている間だけは誰にも邪魔されたくないし、口出しして欲しくもないという感じ。
人から貶されようが、石を投げつけられようが、絵に才能がないと言われようが、絵を描くことは、彼にとって必然なこと。
今自分が絵を描いていることは、神から託された運命なんだ的なことを平気出口にできるから凄い!
やっぱり天才って、周りにとやかく言われて気にするような、そんな柔な性格では務まらないのだろう。
天才って、まさにゴッホのような、絵を描くためだけに生まれたような人を言うのではないでしょうか?
それにしても、この映画の雰囲気はかなり独特…。
セリフが少ない。
常にゴッホ目線でカメラワークが、進む。
唐突な場面展開。
などなど、理解に時間を要する。
特にセリフの少なさは際立っていて、多分こうなんじゃないかな?と、常に予想を立てながら観ている感じでした。
また、カメラワークも、ゴッホの視力の悪さを表現しているのか、レンズの曇りやら歪みがあって若干見にくかった…。
これはまさに考えるな、感じるんだと言っているような雰囲気…。゚(゚´ω`゚)゚。
そして、ストーリー展開があっさりし過ぎな感じ。
ドラマチックさを求めるとまではいかないけど、起承転結がもう少しあるともっと盛り上がったかもしれません。
しかも自分で考えないと、答えが見出せないという難解な解釈を求められていく…。
観る前は、もっとセリフが多くてわかりやすいのかと思っていたけど、これは意外とマニアックで大人向けな映画。
そんな難解な作品ですが、映画の中の風景や出演されていた方々が、とても素晴らしかったことは事実!
ゴッホの描く絵の色彩の鮮やかさや、絵のモデルになった人の魅力的な姿は、観ている人の心を魅了してくれます。
まるで、絵から風景が飛び出してきたかのような、幻想的な景色に合わせて、ゆったりとした芸術的な音楽との融合。
この奇跡のようなコラボは、私の心をがっしりと掴んでくれました( ^ω^ )
そして、ゴッホを演じたウィレムデフォー氏の姿が完璧すぎて感動しました。
その痩せ細った姿、寂しげな瞳、絵を愛する姿などなど、ゴッホが生まれ変わって現れたかと錯覚するくらいそっくり!
彼の天才的な演技力が、この映画の世界を存分に引き出していました。
この映画はストーリーを楽しむのではない、そこに映し出される、人、物、風景などを感じとる映画なのでしょう。
素敵な作品をありがとうございました(^ ^)
"Turn your heart away from things visible and turn yourself to things invisible."
Vincent Van Gogh was shot on July 27, 1890 and died on July 29, of
a bullet wound to his stomach. In the remaining 30 hours of his life
he never mentioned the boy anything about the incident
surrounding his death.
Md Ginoux never know Vincent had returned the account ledger to
her having filled it with 65 drawings.
The ledger was found 126 years later, in 2016.
トロントの映画祭で、ジュリアン・シュナーベル 監督自らラスト以降に出てくる黄色いものが見えるまでは、観客に対して退席をしないでほしいと最初のあいさつで説明していた。その後映画の試写が終わり、会見が開かれた。まずMCから何故アートに関する映画を製作したのか?そして、どのように、それを描こうと思ったのか?という問いに監督は、「ヴィンセントが映画の中で、人々に生きている実感を感じさせたいと思っていることが第一に挙げられ、しかも生命は一番大切なもので、私自身も生きている実感を感じていたいためです。それが絵画であったり映画だったりもして、人と分かち合いたいと思っていた。」またこのようにも語っている。「絵画15あれば15通りの解釈がある。だから、ファン・ゴッホの伝記にとらわれた映画作りではなく、こういう事も起こりうるんではないかという映画にしたかった。」と優しく、少し笑みを浮かべながら質問に答えていた。
個人的には、amazon.comでのレビューでもあるように一部の場面で画面が揺れることを指摘する方がおられたが、画家ゴッホの視線に合わせた描写にしたかったのか、彼の狂気そのものを描きたかったのか、気になる部分も存在する。しかも、やはりカーク・ダグラスがゴッホを演じた映画「炎の人ゴッホ(1956)」と比較する人も。こんな古い映画を知っている人がおられるとは...。たしかカーク・ダグラスさんは、現在、認知症と戦っていて、まだご存命のはずでは...?存命なら102歳。
ゴッホの伝記的映画に関しては、アニメーション作品も存在する。日本も含め世界各地から参加した120人以上の画家によるゴッホと同じ作風を用いてキャンバス上に油絵で描いたものを高性能カメラで一枚一枚映写したものを映像化した独特な技法を用いた映画「ゴッホ 最期の手紙(2017)」。そこでも取り上げられたゴッホのアルル時代。彼自身が一番幸せだったとされる地、アルル。黄色を基調とした鮮やかな絵画が多く制作され、本作でも逆光や光のあて具合を利用して黄色を強調した場面は嫌味がなく、むしろ見やすく、またある場面は、青を基調とし、またある場面では、多彩な色で背景もゴッホも描いている。しかし、心の不安を描くときは、彼の頭の中でサウンドスケープ(音風景)のように何回も同じ言葉が鳴り響いていた。
-Why do you always have to paint from nature?
I feel lost if I don't have something to look at.
I need something to see.
There's so much to see.
Every time I look, I see something I've never seen before.
-Yes, but what you paint what you do belongs to you.
-You don't need to copy anything.
-Why don't you paint just what's in your mind?What your brain sees?
"Because the essence of nature is beauty."
ゴーギャンの辛辣な意見でもよき友のアドバイスとして真摯に聞いているゴッホだったが、どうもゴーギャンは違っていたらしい。映画の中では、同じ人物を被写体として2人が競うように描く場面が出てくる。それはお互いの絵画に対してのアプローチの仕方が異なることを暗に示しているのか? 次のゴーギャンの言葉....
You paint fast and you overpaint .
Your surface looks like it's made out of clay.
It's more like sculpture than painting.
有名な事件の後、サナトリウムの牧師とゴッホによる問答の様な会話。牧師役をマッツ・ミケルセンが演じている。個人的には、本年3本目のご登場となる。何故、自分自身を’Painter’というのか?また自分が生まれながらの絵描きだという理由は?
It's the only gift God gave me.
So, God gave you a gift so you could paint this?.... Yes.
But don't you see.....
I don't want to hurt your feelings, but don't you see that this painting is...
Unpleasant.
It's ugly.
Why would God give me a gift to paint
ugly and disturbing things?
.........................................
Maybe He chose the wrong time.
Maybe God made me a painter for people
who aren't born yet.
アルル時代は、郵便配達員を含め数人の友達がいたと聞いているが、彼のいちづな絵画に対する思いが誤解を呼んだのか、この映画でもそれを幾分かは感じ取れる映画となっている。
弟のテオも彼の死後、半年後には亡くなっていて、兄弟そろって仲良く肩を並べて眠っておられています。
Oh, God.
Will you receive your son?
Chicago Readerの記者が端的にウイリアム・デフォーの演技についてコメントをしている。「デフォーは、監督が画家のビジョンと人間性に対してしたように、彼の能力を使い、全面的に取り組んでいます。」この映画に関してもカナダの日刊紙Toronto Starの記者がこう述べている。「忘我的、悲劇的物語。悲劇よりも忘我を描いている。」
実際のゴッホの年齢とウィリアム・デフォーの年齢と大きく異なることを揶揄される方も実際におられるが、「私は常に俳優然としていない者として出てくる俳優になりたい。」と公言している俳優の1人ウィリアム・デフォーという人。いつも笑顔を絶やさない、気を使いすぎる人。エンターティメントの世界で生きている方です。
最後にジュリアン・シュナーベル監督が、こんなことも述べている「彼の絵画人生で、多作だった時期でもあり、また、お金に困窮しているにもかかわらず、死の前日には、多くの絵の具を含め画材を購入している。そんな人が、自ら命を絶つとは考えられない。」昨日の事でも人は、他人の人となりをわかっているようでわかってはいない。まして、150年前に亡くなった無名の画家の事なんて...。映画のラストは、この監督らしい史実を曲げてでも彼流のゴッホを描いた優しさの表れなのかもしれない。そして、ウィリアム・デフォーという外見とは180度違う”気づかい屋さん”と敢えて言わしてもらえる人柄も映画に反映されている。
ゴーギャンの手紙で締めくくられ、
I am the Holy Spirit.
I am sound of spirit. で幕は下りる...........
デフォーさんゴッホが愛おしい
デフォーさん登壇のジャパンプレミアで鑑賞。映像美が素晴らしくゴッホの絵に対する想いがとても伝わってくる作品でした。一般的に知られているストーリーですが、デフォーさんの名演技が素晴らしく、もうゴッホ役は彼しかいないです。切ない姿に何度支えてあげたいと思った事か☺️。しばらくゴッホの余韻が残ります〜。後のゴーギャンとのエピソードも素敵ですね。そして弟の存在は大きい。少しの出演でしたがマッツの神父姿もまた素敵でした。監督が2階で鑑賞されていて、ラストは拍手喝采でした👏。
人間を見る目は視野が狭く撮影されている
画家ゴッホが他界する一年前の生活を描いている。ゴーギャンとの決別は思想の違いであり、テオの献身は相変わらず周知のとおりである。この映画はゴッホの目線で撮影しているので、私自身目が回ってしまうようだった。自然を見る目はもっと視野が広く、人間を見る目は視野が狭く撮影されているので、ゴッホの見方でこの映画を見ると、かれの、人間との緊迫感や自然との一体感がわかる。
その当時は、日本の芸術は愛親しまれていて、ゴッホ自体も日本に行ってみたいという様子がよくうかがえる。
至近距離に迫ったカメラが捉えるゴッホの苦悩
酒場で出会ったゴーギャンの勧めでアルルに移り住んだゴッホは弟テオの仕送りで細々と暮らしながら精力的に絵画にのめり込むが閉鎖的な町の中で孤立してしまう。アルルを訪れたゴーギャンとともに互いに刺激し合いながらますます創作に打ち込むゴッホだったがそんな関係も長くは続かず・・・。
台詞がほぼ英語というところに違和感はあるものの、さすがウィレム・デフォー、迫真の演技で不遇に喘ぎ苦悩するゴッホの姿を見事に体現しています。『ファースト・マン』や『アリー スター誕生』と同じく登場人物の至近距離に迫ったカメラが捉えた表情が台詞以上に饒舌。恐らくはCGで作り込んでいるのだと思いますが、さりげなく映り込む背景がゴッホの作品群とリンクしていて何度もはっとさせられます。当然色彩も非常に豊かで、ゴッホのアトリエ"黄色い家"の壁の鮮やかさなど思わず息を呑むほど美しいです。また何気にルーブルに展示されているドラクロワやゴヤの作品も接写されているので西洋絵画が好きな方にはそれも眼福だと思います。
映像だけでなく音響もかなり凝っていてゴッホとゴーギャンが語り合いながら散策するシーンではずっとハエや蚊がブンブン飛び交う音が聞こえてくるし、物語に寄り添う劇伴のピアノの音色も印象的。脇を固めるオスカー・アイザック、マッツ・ミケルセン、マチュー・アマルリックの名演もあって地味な物語ながら圧倒的な貫禄のある作品に仕上がっています。
エンドクレジットが始まって少し後にオマケがついているのでスクリーンでご鑑賞の際は早々に席を立たないように注意しましょう。
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