ナイチンゲールのレビュー・感想・評価
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今も差別は消えていない
大英帝国による収奪の仕組みがアジア、アフリカに築かれた19世紀。
帝国の最果ての地であるオーストラリア、タスマニアで、自らの欲望のままに女を犯し、殺人することを厭わない悪魔のような男がいた。男の外見はりりしいイギリス軍の士官である。しかしその心は満たされず、精神は病んでいる。
男のために全てを失ったアイルランド女、クレアは男を追う。そして、先住民アボリジニの男、ビリーの助力を得て復讐を果たしたクレアは、ビリーと二人、砂浜に逃げ延びる。
クレアが歌う。水平線に日が昇る。前を向いたクレアが、歌の次のフレーズを歌おうとするところで映画は終わる。明るい要素のない物語が、明るい未来を示唆して終わる。
もしかするとクレアとビリーは、その後、幸せに暮らすことができたのかもしれない。しかし、今も差別は消えていない。
今はいい世の中
サムクラフリン。
とりあえずお前のこと嫌いになったわ...笑
嫌な奴だったなぁ。ほんと。
本編内容としては前情報のあらすじから
復讐劇だと思って観てましたけど
序盤、個人的に苦手な描写が多くキツかった。
あぁこりゃ怒り狂うわ
復讐すんだな。理由は十分。
中盤、怒り狂うクレアと案内人ビリー
ふたりの関係、信頼など徐々に芽生えていき
育っていく過程が丁寧でよかった
ただもやもやも多い
いやーやれやなにしてんねん!
おいっみたいな
終盤...。
人間ってほんと欲深く
汚いなぁ。と。
強いもの弱いもの
生まれ持ったもの築き上げたもの
失ったもの失わされたもの
黒人に対する描写も
私は知識不足だったなと
あらゆる面で考えさせられる話だった
物語の最後の行動は正解か不正解か
わからないけど
サムクラフリン
お前は欲の亡霊か
俳優ってすごいな。
ずっと観たかった作品だったので
みれて良かったけど。
もう二度と観ないだろう
そんな色々考えさせられる作品でした。
観るべき映画
オーストラリアの人はこの映画を観てどう感じるのだろうか
クロウタドリの導き
凌辱と殺戮を受けた女は、恨みだけを力に歩み続ける。
この映画、ただの復讐劇にあらず。
バイオレンススリラー、ロードムービー、歴史劇、異民族交流、成長譚。シンプルな本筋にいろいろな要素とドラマが絡み合い、スリリングに面白く仕上がっている。
久しぶりに心の底からキツくなる乱暴描写を観た。
クレア一家に対する暴力的支配も黒人のアボリジニたちに対する扱いも、「差別」なんて言葉では表しきれないほどに凄惨。
クレアの怒りと悲しみに身を浸し、アボリジニのビリーの叫びに耳を傾ける。
この扱いが昔当たり前のように在ったことだなんて。
将校たちが全方面に徹底して悪者でいてくれたのがまだ救いだった。憐れみなんて抱きたくもない。
人間を人間とも思わない言動の一つ一つにショックを受け、ずっと息苦しかった。
一切の慈悲も無いその所業は恐怖感を煽り、ホラー的な苦しみを味わえた。
直接的な暴力描写はそこまで多くはないものの、精神的な追い詰められ方が半端じゃない。そしてナチュラルに表れる残酷描写にもドキッとすること数回。
全編通してシリアスな映画だけど、時折フッと気を抜けるシーンがあったことが嬉しい。
ビリーとクレアの、華麗に伏線回収してみせるショートコントのようなやり取りが面白かった。
徐々に詰まっていく距離と目的の共有化、それぞれの価値観が寄り添っていく様が好き。
切なくやりきれなく、悲しく辛く怒りを抱く作品である。
しかし、たしかな希望を感じられる作品でもあった。
この映画の中で感じる負の感情は、きっと正しいものだと思う。
歴史から学び、間違いを直視して顔をしかめることで、自分の意識にも繋がる。
とても面白い映画だった。
流刑囚とアボリジニの悲劇を重層的に描く
白人はひどいことをしてきたね
イマイチ
失ったすべて。ひとつだけ
イギリス植民地時代のオーストラリアにて、極悪将校とその部下にすべてを奪われた女囚の復讐の物語。
タスマニアは、イギリスでの犯罪者の流刑地となっていた。犯罪といっても、殺人等の凶悪なものでなくとも、ちょっとした盗みで送られた者も多い。主人公のクレアもそのうちの一人。
映画序盤はとにかく目を覆いたくなるような、重すぎる不幸な展開続き。程なくして復讐の旅に出るクレアが案内人として雇ったのは、白人たちに迫害され土地を追い出された原住民のビリー。
映画は、将校一行とクレア達の旅を交互に見せた展開がずっと続くが、女子供関係なく、当たり前のように失われていく多くの命に言葉が出ない。史実がどうかはわからないけど、少なくとも本作で登場する人物で、命で罪を償うべきものなど、将校とその部下くらいしかいないはずなのに。。
黒い鳥の場面等、意外にもファンタジックな展開もあったり、ビリーにも分け隔てなく接する白人老人の存在、それに涙するビリーの姿には、こちらもぐっときた。
クレアの失ったすべてと秤にかけることはできないけれど、個人的感情はなくとも、忌み嫌いあっていたクレアとビリーが、人種を超えて心を通わせたのはひとつの救いか。
気軽にはおススメできない、名作だった。
よかった❗
彼女のうた
残酷な歴史
冒頭から一貫する、目をそむけ顔を覆いたくなるレベルの激しい暴力表現。
レイプ、殺人を当たり前にする、イギリス人将校に旦那と子どもを殺されたアイルランド人の女性が、復讐のため将校たちの後を追いかける話。
イギリス人将校と、部下の軍曹へは、観客とて殺意を抱くレベルの怒りに支配されそうになる。
オーストラリア制作だけあって、重要かつ忘れてはならない無法なオーストラリアの歴史(イギリスへの憎悪、または移民側の反省)を感じられる作りになっている。
せつないし、この後どうなるのか想像がつくという悲しさもあった。
19世紀のオーストラリア・タスマニア島で起こった、イギリス植民者(占領)とタスマニアン・アボリジニー(黒人原住民族)の戦争…というか、原住民への一方的虐殺と強制移住、そして種族の絶滅へ至る「ブラック・ウォー」の時代が舞台。
この時代、タスマニア以前にイギリスが植民地化していた、アイルランド(人)の囚人をタスマニアに流刑にして、イギリス人が労働力として使役していた、という基礎知識は必要。
ポスターのビジュアルが好みで、3月の観たいリストの上位作品だったの...
ポスターのビジュアルが好みで、3月の観たいリストの上位作品だったので初日に鑑賞。
舞台はオーストラリアのタスマニア地方、時代は19世紀。とある事から駐屯しているイギリス軍将校に復讐を誓う女性のお話し。
ダコタ・ファニングの「ブリムストーン」をちょっと想像してたけど、共通項は憎しみの感情と暗いトーンの色彩くらいでした。
主人公クレアがアイルランド人であることに加え抗えない立場。そしてイギリスが支配している地域性と支配から生まれる先住民への差別。これらが生む憎しみの感情は根深い。
前半で見せるクレアの表情の変化は凄まじい感情を感じこの先どうなるのかが興味深く、個人の感情と先住民の感情を交錯させた展開も良かったんですが、、そこからがとにかく長くて、寝不足も響いたのかちょいちょい落ちました😪💤
所々の記憶を辿ると、差別に対して救いがあるシーンもありましたし、スッキリとするシーンもあったんですが、二つの感情が平行してゆく展開は、個人的に焦点がブレたと感じてしまい最後まで乗り切れずでした。
上映スケジュールの関係で都内で鑑賞しましたが、地元の映画館でも上映しているし時間があればもう一度観てみたいと思います。
満員の劇場内から伝わる緊張感
一体どこに救いがあるだろうかこの物語に。オーストラリアでイギリス軍が行った非道な所業について、また、アイルランド人の受難の歴史を調べて、咀嚼しないと僕自身の魂がおかしくなりそうだ。
夫をイギリス軍に殺されたアイルランド人がアボリジナルと一緒に仇を追いかける。ある意味西部劇だと聞かされていたが、とんでもない。この物語には、カタルシスも感動もない。
陵辱を受ける女性たちの心の叫びに、心をえぐり取られ、イギリス人にとって邪魔というだけで殺されたアボリジナルの無残な姿を見て義憤にかられる。
『ナイチンゲール』は、とんでもないバイオレンス映画だって前評判だったけど、ジェニファー監督の前作『ババドック』は、ホラー映画というよりは、お伽話のような内容だったから、映画会社の大げさな宣伝くらいに考えていた。間違いなく、超ハードバイオレンス。
躊躇しながら、相手を殺すシーンなんかは、微妙な間がある上に、何度も振り下ろすから、肉片化する顔も、返り血もリアリズムの極致。
ゲーム・オブ・スローンズでお姫様だった、アイスリング・フランシオシの体をはった演技がもう凄い。
アボリジナルのビリーが叫ぶ『ここは俺たちの土地』『ここは俺たちの国』
現実にはその後も続く虐殺、民族浄化のオーストラリアの歴史。大英帝国の子孫である人たちは、この事実をどこまで受け止めているのだろうか。
コロナ騒ぎもかかわらず、僕が見た回はソールドアウト。その価値は十二分にあった。
追記
アボリジニは差別的なニュアンスを含むので、最近ではアボリジナルと呼ぶのが一般化しつつあるということなので、アボリジナルに訂正しました。
最盛期に約3万7千人いたタスマニア島のアボリジナルは、1876年に純血のタスマニアン・アボリジニはとうとう1人もいなくなってしまった。ジェノサイドされたのはビリーの部族だけはなかった。言葉がでない。
シューラ・ルーン
19世紀イギリス植民地時代のオーストラリアはタスマニア地方で、イギリス軍中尉達に旦那の前でレイプされた上に旦那も赤ん坊も殺されたアイルランド人女性が復讐の為に後を追う話。
出世を目論み北部に中流する上官に直訴する為、3人の流刑囚と2人の部下を連れ先住民ガイドと共に山に入った中尉を追い、旦那の残した愛馬レベッカに乗りガイドと2人で山に入るクレアという展開。
アイルランド人女性の復讐劇という体で、当時のイギリス人、アイルランド人、アボリジニの民族問題をみせていく流れは、非常に考えさせられるし残酷な描写も多々あり胸に響く。
しかしながら、単純にこの作品の展開としてだけで言えば、中盤を過ぎた辺りで急にヒヨッてムダに延ばす感じが怠い。
合流してからはまた面白くなったけど、ここでも急に今までの問題提起をフォローし始める感じがちょっと鼻につく。
とはいえ、非人道的な輩に対抗する違う立場の二人が協力関係を築きながら迫って行く様や、ラストの展開はとても面白かった。
答えはいつも先送り
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