「むごい話だが歴史の一端だ」ナイチンゲール こまめぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
むごい話だが歴史の一端だ
うっすらとオーストラリアでもアボリジニが迫害を受けた歴史があったとオリンピックの時に聞いたような気がした。
こういう実情だったのかと初めて知った。
アボリジニに限らず、権力に酔う輩にとって同じ白人であっても人間とは見ていない。
そんなものどもが、精霊のいる森を、善良な人々を、穢して踏みにじっていくさまは目を覆いたいものがある。
もはやあんな殺し方では手ぬるいんじゃないかと言いたいくらいだ。
夜に悲しい歌を歌うナイチンゲールは夜明けを迎え、崇高な魂を持った戦士も自分の太陽を得た。
立場は違えども同じ地球上で同じ朝日を穏やかに迎えることが、人間同士できるはずなのだとこの映画は訴えている。
映画祭では気分を害して席を立ったものも多かったと言われる問題作扱いだが、問題作などではない。
正面から、見る者へ人間としてどう生きていくべきなのかと問うてくる意欲作だ。
迫害する者、される者、中間にいてどちらも認める者、様々な道を選んでる者をこの作品の中だけで描いている。
ビリーの目を見るだけで泣けてくる。あんなにも悲しみと慈愛をたたえた瞳があるだろうか。
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