劇場公開日 2020年3月20日

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「『デトロイト』のビグロー姐さんと同じく、女性監督による豪州発骨太衝撃作!」ナイチンゲール 佐武雷三さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5『デトロイト』のビグロー姐さんと同じく、女性監督による豪州発骨太衝撃作!

2021年2月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

これは非常に真摯に作られた映画でして、
思わず襟を正して観たくなる、
いや必然的にそうならざるを得ない
壮絶な内容でしたね。


さすがマッドマックスが
産み出された御国というべきか、
令和の時代に突入して尚もこの復讐劇、
しかも近未来とかカーチェイスとか、
ジャンル映画的ご褒美設定もなく
1800年代の植民地時代のキョーレツな
差別描写と非人道的な行いの数々が
これでもかと…。

更にポール・カージーよろしく
[街のダニどもはオレが始末する]的な
痛快無比なリベンジアクションでもなく、
発砲・弾着エフェクトも最小限で、
敵味方関係なくひたすらに無慈悲な殺され方
なので、悲痛さが我々にも
ヒシヒシとのし掛かってくる次第。


早速同監督が撮ったホラー
『ババドック 暗闇の魔物』も観てみましたが、
なるほど、こっちも相当にキツイ。

一応超常現象ホラーの体ですが、
その実シングルマザーの抱える
やり場のない負の感情が、
ババドックとして発露しているように見えるの
で、暗闇の魔物=母親のダークサイド
という生々しさを伴っており、
やはりジャンル映画として割り切って
観られない張り詰めた空気感が今作にも
漂っておりました。

佐武雷三