「歴史を見つめる」ナイチンゲール ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
歴史を見つめる
オーストラリアの流刑者問題とアボリジニ虐殺の問題を題材にした寡作だ。
追跡は、まるで昔観た西部劇のようでもあるし、ビリーが自分を黒い鳥に例えるところは、ダンス・ウィズ・ウルブズを思い出させる。
アボリジニは、アメリカ・インディアン同様、自然とともに生きていたのだ。
イギリスは長い間、アイルランドを侵略したり、搾取を繰り返してきた。
有名なのは、クロムウェルの虐殺だ。
アイルランド人に対する苛烈な扱いも窺える。
日の沈まぬ国は苛烈な征服のうえに成り立っていたことがよく分かる。
クレアは、途中で復讐を思い止まる。
怖くなったと言うが、復讐は復讐の連鎖に繋がるとの危惧もあったのではないだろうか。
ビリーは、復讐を実行する。
仲間を殺害されたこともあるが、母なる大地を奪われたことに対する憤りもあったのだろうか。
日本でもアイヌを追いやった歴史はある。
僕達の国土の成り立ちを歴史として認識することの必要性も感じる。
ありがちな西部劇のストーリーとは違うようにも思う。
国や国境なんて、案外脆弱なロジックで成り立っているのかもしれない。
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