女王陛下のお気に入りのレビュー・感想・評価
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「お気に入り」になっても支配からは逃れられない。
◯作品全体
女王が住まう宮廷そのものが「支配」の象徴で、そこで描かれる支配する/されるの構図は当然のように感じてしまう。多少歪なものであっても飲み込めてしまうのが面白くもあり、恐ろしくもある作品だった。
しかし全体を覆うのは「後味の悪さ」だ。没落貴族のアビゲイルのなりふり構わぬ成り上がり物語として見ていても、ラストシーンが絶望に叩き落とす。
アビゲイルは自身の立場の危うさを常に抱いている。父親に身売りされ、泥にまみれて宮廷にやってきた生い立ちもあって、望むものは「安全」。「安全」のためにサラを追い出し、貴族と結婚したものの、「安全」を守るために女王の妾にならなければならない。頭を掴まれながら足を擦る姿は、男のものを咥えてる姿と瓜二つで、やっていることは違えど精神的な意味合いは何一つ変わらない。これは父親に身売りされ醜いドイツ人のもとに居たときとまったくもって同じだと思うし、状況はなにも変わらないまま物語の幕が閉じる。
出世と保身を望む者の願いは叶えど満足はせず、それに翻弄される女王とサラは引き離され、空虚な時間を過ごす。優雅な舞台で下品な策謀渦巻くストーリーは確かに面白いのだが、行きつく先は心地よさとは程遠く、逃れられない「支配」の渦中で過ごす終わり方で、「後味の悪さ」という印象が一番強く残った。
◯カメラワークとか
・アン女王が強い癇癪をおこすとき(サラのダンスを見て激怒するところや中庭での子どもたちの演奏を聴いているとき)の長回しが印象的。癇癪って突発的なものとして映されるけれど、爆発するに至るまでの心の葛藤が見えれば見えるほど印象に残る。嵐の前の静けさ、とでも言うべきか。表情をほとんど変えないアン女王の心に込み上げてくる感情をカットを割らずに映していた。
・ローポジのカメラや広角のカットがあった。どちらも人物同士の距離感や建物が歪んで見える。アビゲイルの寝室に男性が近づいたときに使われていたのが印象的だった。アビゲイルにとって、男性は自分を無にさせるような存在でしかないんだろう。普通の男女の仲になることを完全に遮断しているような演出に見えた。
・アビゲイルが父親に身売りされたことを初めて話すシーンは、アビゲイルをぼかしていた。いまそこにいるアビゲイルではなく、過去の影の部分にクローズアップするシーンだからだろうか。「安全」に執着するアビゲイルを縁取るぼやけた輪郭線。
◯その他
・自身の野望に対して、多少自分が歪んでしまっても執着する作品って結構ある。撮り方によって悲劇にもできるし、喜劇にもできる。本作は前者だろう。後者としてフッと浮かんでくるのは『ウルフ・オブ・ウォールストリート』。後者のほうが主人公に対して肯定的な目線を送れるのはなんでだろう。悲劇と喜劇の差なのか、男性と女性だからか。
一番の違いは人物の映し方、切り取り方かもしれない。アビゲイルは自身で「安全」を勝ち取ったが、そこに幸福を与えない映し方、切り取り方をしてる。アビゲイルの行いを「過ち」としか映していないのが、どうやっても幸せになれないように感じて、なんだか可哀想だ。
過ぎたるは及ばざるがごとし
一度転落した人生から、這いあがろうと必死に画策し、それが見事に成功したアビゲイル。
ただ、もう同じ目には、とはとのトラウマが、サラを、貶めるに至る。
ラストシーンは強烈。アン女王はサラを追放したことを後悔。アビゲイルは、サラを排除し、女王のまさに、the most favorite になったのだが、これからの人生は、空虚なものにらなるであろう…とみてとれるエンディング。
豪華絢爛英国淑女下剋上大奥絵巻
時は18世紀、隆盛を極めたイギリススチュワート朝。その最後の君主であるアン王女の則近サラと奥女中アビゲイルとの女同士の嫉妬や欲望、陰謀にまみれた骨肉の争いがここに繰り広げられたのであります。
没落貴族の娘アビゲイルはいとこのサラを頼り、城中の大奥の女中として雇われます。しかし彼女は元々貴族の出でありその身についた品格と美貌のために女中仲間からひどい嫌がらせを受けます。
ある時彼女は機転を利かせてアン王女の痛風の痛みを薬草で和らげたことからサラに認められ彼女のもとで働くことに。
新しく則近となった彼女に野党の政治家ハーリーが近づいてきます。何とか戦争を終わらせたいハト派のハーリーは彼女を内通者と利用しようとしました。否応なく政局の渦に巻き込まれるアビゲイルでしたが、彼女にも再び貴族の地位に返り咲きたいという野望がありました。サラやアン王女の信頼を勝ち取り、そして観客をもその美貌で魅了し、隙あらばアン王女に取り入ろうとします。
情緒不安定なアン王女を精神的に支配していたサラは実質的に王女の職務を代行しており、その彼女の多忙のすきをついてアビゲイルはまんまと王女とねんごろの関係になり夜伽の相手となります。
アン王女とサラが夜伽の関係にあることを知った彼女は得意の舌技で王女を見事虜にしたのでありました。
自分の地位を奪われそうになったサラは嫉妬のあまり「shit」と内心つぶやいたとか。せっかく目をつけてやった恩も忘れてこの不届き者めがとハードカバーの書物を絨毯爆撃。攻撃されたアビゲイルも黙ってはおれない。彼女はそのまま王女に泣きつくのでした。
生来の人たらしの才能が実り王女のお気に入りとなった彼女はもう後には引けない。尊敬していたサラとはいまや敵対関係に。サラも何としてもアビゲイルを追放しようとします。逆にアビゲイルは紅茶に毒を忍ばせ邪魔なサラを陥れようとします。そしてサラが落馬して行方不明のうちに王女の親戚マシャムとの婚姻を果たしたアビゲイルは貴族の地位に返り咲くのでありました。
そしてサラの報復を恐れた彼女はサラの夫に横領の嫌疑をかけて夫婦ともども国外追放させることに成功するのでありました。
ついに貴族の地位に返り咲き、王女の寵愛も独り占めにしたアビゲイルでしたが、彼女自身この陰謀渦巻く権力争いに身を投じて、皮肉にも自らが軽蔑していた醜悪で堕落した貴族になり果ててしまうのでした。
心のよりどころであったサラを失った王女の情緒不安定の度合いはますますひどくなり、自分のウサギを虐待していたアビゲイルにも信用ならなくなります。
王女の職務を実質代行していた優秀な則近を失い、スチュワート朝はアン王女を最後に終焉を迎えるのでした。アビゲイルの運命やいかに。
このお話、今宵はここまでにしとうございます。
気立ての良いアビゲイルと冷酷無比のサラという対比で物語は進みますが、後半はまるで立場も人格も逆転。アビゲイルは自己防衛と野心のために狡猾な女性に様変わり、サラは彼女なりに国や王女に対して誠実で自分の職務に忠実であった人物であることがわかる。この前半から後半への逆転現象がとても興味深く見れました。
観客も若くてかわいらしいエマ・ストーンが善で、かつて清純派ヒロインとして活躍したのも今は昔のレイチェル・ワイズが悪という先入観で見ていたのでこのギャップに啞然とさせられます。
この監督初のビッグバジェット作品なだけに衣装や装飾、美術などにふんだんに予算を使い、きらびやかで豪華絢爛な王朝の生活を再現。それらによって作り出された映像美とは対照的に描かれた女同士の醜い争い合いと当時の貴族たちのお下劣っぶりがいっそう際立たせられた。どんなに着飾ろうともその内面の醜さ弱さを覆い隠すことはできない貴族たち。どんなに予算をかけた大作でも人間のお下劣な部分を描かずにはいられないこの監督。夜御須蘭丁毛須らしい作品。
シンプルな関係性
いろいろな人の思惑やたくらみや心の動きがあったが、核心は女王陛下とサラが思い合っていたというシンプルなところだった〜〜。
最初は政治を思うようにしたいからサラは女王陛下を利用しているのかな?と思ったけど、話が進んでいく中で両思いなのか〜〜!と気づいていった。
周囲からの多様な意見に混乱したり、国を担うプレッシャーに圧迫されたり、身体の症状が出たりと、女王の精神状態を考えるとあの子どものようなふるまいも少し納得が行きます。
アビゲイルは狡猾でしたたかだけど、自分を守るために必死なように見える。あとひたすらお顔が綺麗
18世紀のイギリスでは
ほっぺたに星のシール貼るのはやってたの?それはさておきのし上がって行く女性のしたたかさ。衣装も豪華で面白かったけどラストが??大切なものが失われま虚無感か。
鬼才
って、褒め言葉なの?
「鹿殺し」もなんだかなぁ〜だったけど(バリー・コーガン見たさに鑑賞)、これも、すごいっちゃすごい世界。
どーでもいいが、あのくるくる巻き毛のカツラって当時の流行なの?
すごいね笑
王室の内部事情を描く作品。
それが本当か嘘かはわからないけど。
日本じゃ絶対無理なこと。
それが出来る外国はすごいな。
忖度しないで日本もやったら…どーなる?
すごいすごいの連発。
お気に入りになるためにあらゆる手を使うアビゲイル。
お気に入りになっちゃえばこっちのもの。
勝ちは勝ちである。
天罰下したいけどね。笑
立派な刺客にしてあげる
孤独なメンヘラ陛下には、愛と支配の絶妙な使いわけ
腹黒あざと侍女には、おだてて燃料を注ぎ蹴落とさせる
陛下の前でアビゲイルが咳払いしアピールをした時から
潜在的にある女の嫌なレーダーが働いていた気もする
銃を教えている時にサラがアビゲイルに、ぽろっと言う
立派な刺客にしてあげる(殺し屋の素質がある)
はもはやそういう意味だったのか
サラはアビゲイルが目にしたら
燃やしたくなるであろう陛下宛の手紙を書き上げる
弾が入ってないと思って思い違いして撃つと大変と
サラはアビゲイルに忠告していたけれど
サラがまだ戻ろうとしていると勘違いして
手紙を燃やしたアビゲイル、ゆえに手紙が届かないと
痺れを切らした陛下がサラを追放
をあのシーンは指していたのかなと思いました。
アビゲイルのあの涙は
陛下とサラのように圧倒的な関係にはなれず
サラのように支配的に陛下の上に立つこともできず
貴族に返り咲いても常に陛下だけには
慕い慰め忠実でいなければいけない、むしろ縛り付けられ
お気に入りでい続けるためにはと考える日々
と薄々気づいてはいたけれど、、虚しくて流れた涙かな
そしてラストの虚無感
2人の心理を巧みに操る、、
サラは気を張っていた宮殿を離れ一息つき
夫と2人、イングランドを出たくなったのか
人物の表情などワンシーンごとに色んな解釈
考察ができる作品だった、、
かなり面白かった!
女王陛下の孤独
夫も子も居ない老女王陛下・アンの重積と孤独がくっきりと
浮かび上がる映画だった。
まず時代背景からみてみよう。
時は18世紀初頭のイングランド。
主役のアン(イギリス女王)の在位は1702年〜1707年である。
ずいぶんと足を引きずり移動は車椅子と老人のイメージだが、
40歳になるかならないかの年齢なので驚く。
足は痛風を病み、議会の書類を読むのも虫眼鏡を近づけている。
近視なのか弱視なのか白内障なのか知らないが、
書類をみて難儀をしている様子は気の毒になる。
そこにつけ込むのが幼なじみで親友のマールバラ侯爵夫人サラである。
2人の見た目の年の差が酷くはないか?
マールバラ侯爵夫人を演じるレイチェル・ワイズは見た目38歳くらい。
対してアン女王の見た目は昔の人と見積もっても60歳には見える。
レイチェル・ワイズは頭脳明晰で女王とタメ口。
タメ口どころか命令口調。
どっちが女王だか分からん程だ。
イギリスはフランスと戦争中である。
サラは増税して兵力を増やす考え。
対して男ども、大臣たちはフランスとの和平の道を探っている。
サラという女は好戦的で男たちが戦死しようと屁ともおもっていない。
それでアン女王はサラの言いなりになるのです。
男社会で育っている私は、何故イギリスでは女性を最高権力者に置き
彼女の意志で戦争の存続を決定しているのだろうか?
と怪訝な気持ちになる。
女王陛下が最高権力者であるメリットとは?
なんであろうか?
議事録もろくに読めず、内容も把握しない学問のないアン女王。
それが男どもの傀儡女王ではなくて、もっぱらサラの意向を気にしている。
アン女王陛下が、そこらのおばさんにしか見えない。
映画から比較して行こう。
ケイト・ブランシェト主演の「エリザベス」及び続編の
「エリザベス・ゴールデン・エイジ」での
エリザベス一世の在位が1533年〜1603年。
そして、
「ふたりの女王メアリーとエリザベス」
この映画のエリザベス一世はケイト・ブランシェトと同じ人である。
この映画のアン女王はエリザベス一世から100年後。
鉄砲はあるけれど、電気はない。蝋燭の灯りである。
サラが女王を盾に権勢を奮っている時、サラの従姉妹で
没落した貴族の娘アビゲイル(エマ・ストーン)が召使に雇われる。
サラの口利きだ。
下働きだったがある時女王に薬草を届ける。
これが愛風に良く効いたのだ。
次第に女王は命令ばかりするサラに嫌気がさして
アビゲイルを寵愛するようになる。
男たちは巻き毛の長髪のカツラを被り、
マスカラや頬紅で化粧をしている。
アヒルの競争や、裸の男に果物をぶつける遊びに興じている。
男性の主要キャストとして野党党首のハーレー(ニコラス・ホルト)
など若くて美しい男たちが登場するが、
この映画では男たちの影が薄い。
サラとアビゲイルの女王を真ん中にした権力闘争。
綱引き、
これこそが主眼の映画なのである。
そしてアビゲイルは汚い手を使う。
サラに薬草を茶に加える。
白馬にまたがり疾走して家に戻る途中で、
サラは気分が悪くなり落馬。
長い距離を引き摺られて大怪我を負う。
その間にアビゲイルは貴族と結婚を
慌てて決行する。。
もちろん女王が結婚の証人になり多額の持参金を貰う。
しかもサラと夫のマールバラ侯爵が共謀して国庫から金を
横領していると嘘の告げ口をする。
それをキッパリと否定したはずの女王は次の日には考えを変えて
マールバラ侯爵夫妻をイギリスから国外追放にするのだ。
貴族に返り咲いたアビゲイルは女王の世話にも身が入らず、
昼から酒浸り、女王が可愛がっているウサギを踏み潰そうとする‼️
17人産んだ子どもを全員失ったアン女王。
演じるオリヴィア・コールマン。
映画人としては無名な方だったが、この映画で一躍脚光を浴びて、
この役でアカデミー賞主演女優賞を獲得。
その後も「ファーザー」や「エンパイア・オブ・ライト」でその実力を
確かなものとしている。
このアン女王、見た目も呆け者のようで精神不安定で自信がない。
側近のサラやアビゲイルに依存してしまう。
しかし馬鹿ではなく
【フランスとの戦争をやめて和平へと舵を切る】
呆け者なのか賢いのか判然としないが《女王陛下の孤独と重積》だけは
痛いように浮かび上がる。
そして監督のヨルゴス・ランティモス。ギリシャ生まれの50歳。
「ロブスター」
「聖なる鹿殺し」で、カンヌ・ヴェネツィアなどの賞を総なめ。
先行上映もされ1月26日公開の「哀れなるものたち」も既に
ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞を受賞して、
ノリに乗っている。
絶対に好き嫌い別れるけど自分は好き。
女同士のバトルですが少しハラハラさせられてもテンポ良く進むのでスッと見れて良かったです。
最後まで見ると1番おかしく見えた女王が1番人間らしかったのかなと思えるし、唯一共感できる部分があったのも女王でしたね。
女王に共感出来る部分があったか否かで評価は違ったと思うし、正直途中まではアビゲイルの顔面の美しさで何とか見れてた…
お気に入りでいることの難しさ
この映画ねぇ…胸焼けする。
私たちだって少なからず子供の頃は先生、親、友達のお気に入りでいないといけなかったこと。
社会人だったら上司、同僚、取引先の期限をとらなくてはいけない。
上記は完全に自分のため。
どんなに相手を見極めてもパワーバランスって存在するんで結婚相手や交際相手、下手したら友達にだってご機嫌取りは存在する。
エマの時代は上記の全てが生きるためだけど現代人は交際相手や結婚相手のご機嫌取りは出来るだけ省こうと思えば省けると気付かされる。
子供も同じだ。ずっとじゃ無いだけマシか。
とにかく見ると結婚したく無いなぁと胸焼けするんです。
オスカーのオリビアの演技は秀逸でした。
自分を取り合う姿を見てるシーンや、後半の左半身不随感は良かった。
エマとレイティルワイズのキャットファイトぶりも笑えましたけど、すごく心を掴まれる物ではなかったかな。
女たちの「死亡遊戯」
<うろ覚え/思い出しレビュー>
劇場で観ました。
いやー、怖かったー。
まず、アビゲイル?エマ・ストーン演じる彼女の執念と、へこたれなさ。
それから、レイチェル・ワイズ演じるレディ・サラ。もう、存在そのものが怖い。変な薬盛られて、馬で遠出したと思ったら口から泡吹いて半・落馬状態になって引きずられて、娼館の人に拾われて、あわや娼婦デビュー?というところで知り合いの貴族に迎えに来てもらう、、
え、、、不死身(・・;)?笑
そのサラと凌ぎを削るアビゲイル。チャラチャラした感じの貴族と形だけの結婚をして、初めて迎える夜。ベッドの端に腰掛け、後ろ向きに手だけを動かし、いかにサラの報復を逃れるかで頭が一杯のアビゲイル。
え、、初めての夜がこれ(・・;)笑
観ていて、目がポーン( Д ) ゚ ゚になりそうなシーンが多々ありました。
女王役の方も味があってよかったです。
これは見ようによっては、ちょっとしたスポ根かもしれない。女王の寵愛(と「親友」の地位)をめぐる、二人の女の命をかけたバトル。
亡くした子供の数だけ(=17匹ぐらい?)ウサギを飼っている女王の姿が不憫で、でもわらわらと群れる物言わぬウサギ達の姿は、やや不気味でもある。
読みが浅い
ラスト、え、これで終わりという感じがして、奥深さが自分にはわからなかった。結局レイチェルに権力闘争には勝ったけど、女王の我儘には一生付き合わなければならないというエマの諦観の表情。女王も調子付いてきたエマの本性がわかり、改めて力関係を見せつける。もう一度レイチェルの逆転勝利が見たかった。しかし、いつどこにおいても、狡猾な権力闘争はあるんだろう。
有益な味方は危険な敵となる
Amazon Prime Videoで鑑賞(字幕,レンタル)。
宮廷に渦巻く女の戦い。女王の寵愛を得るため、ふたりの女が火花バチバチ、愛憎ドロドロの争いを繰り広げました。オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ、実力派女優陣の演技合戦に魅せられました。
人間って滑稽な生き物だな、と…
醜い権力闘争の果てに何を掴んだのかというと、それは虚しいものだけだったのではないかなと思いました。なんだか「仁義なき戦い 頂上作戦」のラストに抱いた感情と同じでした。
ラストシーンも意味深でした。
お互いの本当の心とその将来についてふたりともが悟り、その先に待っているのは救いの無い真っ暗闇、みたいな。
※修正(2024/01/22)
アクセサリーがカワイイ
映像がとても雰囲気があって、オシャレ!!
アクセサリーに目がいった。ピアスがどれも美しい。欲しい!ドレスもどこか今っぽい。サラのブラックドレスカッコイイ。レースで傷を隠していた感じも素敵。乗馬スタイルもかっこよく、美しい。
アナグマ女王陛下の演技が、いい。気持ち悪いオバチャン感があって。見てて、うわぁーて思った。
エマ ストーンの役は、悲しいな。。あたしもその立場なら、エマストーン的なわたし、いい人でしょ~で女王に近寄るだろなー。薄っぺらい。
サラと女王陛下の、泥風呂での、2人の中でお馴染みのやり取りを見ちゃったとき、この中に割って入れんやろー、と思ったけど、、
薄っぺらい近づき方だけに、座を奪ってからのエマストーンは、辛かったな。
「あなた親切すぎるよね」・・「愚かさに通じる」
映画「女王陛下のお気に入り」(ヨルゴス・ランティモス監督)から。
う~ん、評価が分かれる作品だな・・が第一印象。
私のメモ帳はほとんど汚れず、字幕が出るたびにメモした
意味がわからない、タイトルだけでも記録に残しておく。
その1 ここの泥は臭い
その2 思い違いや不慮の事故が怖い
その3 なんと言う装い
その4 ささいな障害
その5 居眠りして滑り落ちたら?
その6 化膿を止める
その7 それは残して気に入っている
その8 夢に見たあなたの目に刺すのを
数少ないメモから選んだのは、どの時代にも通じる人間ドラマとして
「あなたは親切すぎるよね」「よく言われます」「愚かさに通じる」
この愛憎入り混じった感情が、私には重たかったな。
最後は終わり方も、よくわからなかったし、
「不思議なエンドロールの文字」だけが印象的だった作品。
受賞歴は、第91回 アカデミー賞(2019年)
第76回 ゴールデングローブ賞(2019年)
第75回 ベネチア国際映画祭(2018年)
あとで、他の人のレビューを読んでみようかな。
淋しがりやのうさぎ
国の統治者を王ではなく
女王に据えていたイングランドにおいて
もし女王を傀儡〈かいらい〉とし
政治を取り仕切っていた者がいたとしたら…
もしその者が同性でセクシャリティを越えた絆で
結ばれていたとしたら…
そんな発想の着眼点から生まれた作品。
(史実に基づいた事実ベースのお話でしたっけ?)
本作『女王陛下のお気に入り』で
子を亡くした孤独を埋めるかのように
女王・アンは17匹のうさぎを手元に置き
寵愛〈favorite〉していました。
【うさぎ】とは“ 孤独 ”の象徴だけではなく
“ 性 ”や“ 献身 ”のシンボルでもあるそうです…
昼間は理知的な言葉で女王をたしなめ
夜は夜で秘密の情事をかさねて… 《性》
「飴と鞭」と言いましょうか
いわゆる「ツンデレ」でもってして
思い通りに女王を操るサラ。
最初はただ純心に女王の孤独に寄り添い
力になってあげたかった… 《献身》
没落貴族の出戻りみたいなかたちで
宮廷侍女になったアビゲイル。
一見、野望が芽生えたアビゲイルが、サラを陥れ
女王の寵愛を勝ち取ったかの様に見えますが
それも一時的なもので、実は女王自信
それも承知で、もしかしたら以前から
幾数人、幾数回の愛憎劇を経て
寵愛対象の交代も定期的に行ってきた
そしてこれからも行っていくのかもしれません…
怖いですねぇ…(ここ淀川さん口調で)
さて率直なわたしの感想はですが
洋画時代モノではありきたりかも知れませんが
どのシーンを切り取っても
【まるで西洋の「ゴシック絵画」のような舞台美術!】
今思えばタイトルはもちろん
8つからなる各章のサブタイトル
スタッフロールなど至る所の字幕フォントが
「ゴシック文字」でしたよね!
…ぐらいかな?
※歴史考証では、イングランドには18世紀頃に
かなり遅れてゴシック様式がブームになったそうです。
そもそも最初から
「この作品はわたしの好物な“ゆりモノ”に違いない!」
と、勝手に決めて観賞に望んだわたしが悪いのでした…
ファンの方々にこの場を借りお詫び致します。
変人たちのキャラ祭り
やってる事は単純な女たちのドス黒い権力争いなのに、
頭が悪いからか、台詞が全く入って来なかった。
戦争中の国の身の振り方、
増税など国内の情勢で揺れる
宮中の話なのは分かるのだけど、
のの舞台となってる時代の事や宮廷のしきたりなど
知らなすぎて、映画に入って行けなかった。
二人が女王を巡って、
嫉妬や執念にまみれて争う構造は面白かったけど、
歴史に知識がないので、
もっと簡単にしてほしかったな。
3人誰に感情移入するかによって見方が変わると
思う。
成り上がるために手段を選ばずに生きるのも、
彼女にも良心があると思うから苦しいと思うし、
女王を我が物にするために、必要な嘘もあったろうに
自分の気持ちを正直に言う事が彼女にも伝わるはず
と思って生きるのも常に不安だったと思うし、
子どもを何人も失くして、
誰かに甘えていたい、自分勝手でいたい、
わがままでいたい女王の気持ちも分かるけど、
疑心暗鬼だったろうし、
難しい話ではあったけど、
最後は「あれ?これ自分の学生時代の話か?」
と身近に感じられた。
エマストーンが良い!
とにかく映像が独特。広角の映像が多用される際立った、変な映像だった。ストーリー的には、女王に群がる権力争いとしか言えない内容だ。しかし、観た人によって恐らく全く違う感想になるだろうと思う。それくらい主題を絞りきれない映画だった。それくらい色々な要素を詰め込んでいる様に感じた。このシンプルなストーリーに、無理なくグッと詰め込んでいるので、大変見応えのある映画だったと思う。
めちゃくちゃ際どいジョークがどんどん出てきて、すごく面白かった。そのお陰で、暗い映画ではないと感じた。エマストーンがとにかく良い。この人の演技が上手く説明できないが、本当にツボ。ただ顔が好みなのかも。もうすでに良い味が出始めている。他の役者さんもとても良かった。印象に残ったシーンは女王の部屋の前で泣くところだろう。この映画では、取り乱す人がとにかくいない。みんなクールに動揺し、クールに最大限の嫌味を言う。イギリス的だ。その中で、数少ない感情を全面に出したシーンだ。どんな選択をすれば、状況を打破できるか。迷う時間などない緊急事態で、的確かつ大胆に決断して、見事に希望を繋いだ。
この映画は良い人が一人も出てこなかった。そこもリアルで面白かった。照明も本当に当時の灯りの中にいるかの様で、暗かった。昼は日光、夜は沢山のロウソク、実際にそれくらいしか照明を使ってないのではないだろうか。
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