女王陛下のお気に入りのレビュー・感想・評価
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煌びやか
今年度アカデミー賞最多ノミネートの今作といったところでかなり多くの人が観ていた。制作会社の「フォックスサーチライト」は個人的に一番好きな制作会社なので普通に期待していた。
物語としては18世紀のイングランド王室を舞台に女王と彼女に仕える2人の女性の入り乱れる愛憎を描いていた。
煌びやかな衣装やセット、今作出ている俳優陣の高い演技力によってスッとすぐに物語に溶け込むことができた。また、アビゲイル(エマストーン)とサラ(レイチェルウイズ)両者ともに物語を見ることができ何回でも楽しめると個人的に思う。
エマストーンは「アメイジングスパイダーマン」などで清純派ヒロインをかなりしているイメージがあるが、個人的にだが今作のように嫌な女を演じることが上手い役者だと確信した。だが、俳優陣で一番よかったのはアン女王を演じたオリビアコールマンである。彼女は他の作品をみたときには大柄なイメージはなかったのだが、今作はかなり大柄であり、弱々しい一面を見せながらも、横暴な所もあり、役作りを徹底的しているなと思った。
ストーリーについてだが、8パートほどに分かれており、小説でも読んでいるように軽々と進んでいった。今作を語る上で絶対に外すことができないのはラストシーンであるが、3人の悲壮感や虚しさ、女王とアビゲイルとうさぎのあわさった画面を含めて丸く終わるよりも、結局誰も得しなかったや、この世にハッピーエンドなことなどないと強調されたり、女王の存在感がたっぷりと味わえたのでよかったと思う。
今年のアカデミー賞は「ローマ」、「グリーンブック」のどちらかと考えていたので今作を観てますます作品賞が楽しみになってきた。衣装やセット、役者をみるだけでも楽しいので是非みなさんのお気に入りにして下さい。
何だかんだ分からない
昔の王室系映画な割に結構品が宜しくなく、
じっくりと観入った割に微妙な映画でした。
それぞれの台詞や演技は素晴らしかったですが。
最近(実話からの)「ヴィクトリア女王」を観た後だから
余計に変に感じただけかもしれませんが。
ブリティッシュの腹黒さ
もともとレイチェル・ワイズではなくケイト・ウィンスレットにオファーが来ていたという本作。確かにこの役では、ややミスキャスト感がしなくもない。
アン女王の権力を利用した愛憎劇にフォーカスした作品だが、実際はアンとサラの政治的価値観の違いによる決裂が大きいだろう。アンは和平推進派に傾き、サラは戦争推進派だったので王国を巻き込んだ政治的奔走をもう少し入れ込めば、作品として厚みが出たのでは。
予算を抑えるため、ほとんどが王宮内の出来事で、2時間引っ張るのは正直観客はしんどいだろう。ただ塗れ場シーンが割と出てくるので、何とか持つか、という感じか。装飾、衣装、美術は素晴らしく見る価値はある。
アカデミー賞10ノミネートだが、
主演か助演、美術賞、衣装賞の3部門くらいにとどまるだろう。このスケール感、クオリティで作品賞、監督賞はとって欲しくない。
音楽も不気味感を煽るのはいいが、少し間延びしすぎる感がある。9部門をとった割にはやや期待はずれかもしれない。
17回妊娠して誰一人成人になれなかったのだから、気が狂う気持ちも分かる。
3女優の競演が強烈
史実なんてもには全く知らないけれど、複雑な思いが絡み合う女の駆け引きが実に面白い。
その目的は本当に利己的なものだけなのか、それは単に相手を利用しているだけなのか、そこには本当に愛はなかったのか、様々な裏腹めいた思いで、心がざわついた。
歴史大河のごとくたくさんの演者が見事な衣装で画面を彩っていたけれど、正直、主要3女優のことしか目に入らないくらいの強烈なオリビア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズだった。
女は怖い
そこまでやる?!と思ってしまう。権力を持ち始めると人間性まで変わってしまうのねと寂しい気持ちになる。女王陛下ともなると周囲にいるのはそんな人ばっかりで、本当の意味で人を信頼できないんだろうな。かわいそうというか、気の毒というか。
最後のオーバーラップ…怖
これは…監督の変態性と宮中の女性たちの愛憎劇に女優陣の快演が絶妙なバランスを保って、作品を昇華せている、稀な作品。ラストの涙と郵便屋、そして、オーバーラップをどう捉えるかで、意味合いがかなり違ってくる。久々に唸りました…
不条理なウサギのカゴに閉じ込められた王宮
映画マニアが大好物の"フォックス・サーチライト"作品。昨年は、「シェイプ・オブ・ウォーター」も「スリー・ビルボード」も"サーチライト"だった。今年も本作が、アカデミー賞最有力候補のひとつ(最多の10部門ノミネートしている!)。
ヨルゴス・ランティモス監督はよく、映画ライターたちに"鬼才"に分類される。自分の常識で測れない人を、容易に"鬼才"と紹介されるのは困る。結局、"鬼才監督"は何人もいて、無価値になってしまう。
ヨルゴス・ランティモス監督の作品は、いやらしいほど"不条理"で、けれど"知的なセンス"が溢れる。設定が常識的な観点からはズレている。登場人物はいたって真面目で、人間の本質的な反応をさらけ出す。だから、その滑稽さに自然と笑ってしまう。
またランティモス作品には、世界的に著名なトップ俳優たちが出演することを心から望んでいる。
「ロブスター」(2016)では、コリン・ファレルとレイチェル・ワイズが出演。「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」(2018)では、ニコール・キッドマンが出ていた。本作にはエマ・ストーンとニコラス・ホルトの出演が話題となった。
本作は、ランティモス作品にしては相当ハードルを下げているように感じる。今回は脚本にランティモス監督自身が絡んでいないのと、伝記モノというのが分かりやすい。またテーマが"女同士の嫉妬心"というのに理解しやすさがある。
歴史上の人物には"不条理"な人が多い。"英雄"や"功績を残した人"は、やはり常人とはズレていて、滑稽である。
18世紀の英国女王アン(オリビア・コールマン)と、彼女に使える2人の女官サラ(レイチェル・ワイズ)とアビゲイル(エマ・ストーン)の愛憎劇。アンが女王即位した1702年は、"生類憐みの令"の徳川綱吉将軍の江戸時代。アン女王は、イングランドとスコットランド両国を合併して、現在のイギリスの元となるグレートブリテン王国の最初の君主である。
スペインやフランスと戦争を繰り広げていた時代だが、実際はアン女王に仕えた女官サラ・ジェニングスが戦争を進言していた。そこにサラの従妹アビゲイル・メイシャムが現われ、アン女王の愛を勝ち取るため、狡猾な女性の争いが繰り広げられる。
やはりエマ・ストーンの華やかさと大衆的な魅力が出ている。賞レースも3人の女優の奪い合いとなる(もしくは、3人ともまとめて敬遠される)。
さて、オープニングの20世紀フォックス・ファンファーレが、"おやっ?"と思うほどちっちゃい。本編を見ると腑に落ちるのだが、どうやら"ウサギの鳴き声"で歌っている?
そして劇中にもウサギが出てくる。劇中でアン女王は17匹のウサギを飼っているが、これは6回の死産、6回の流産を含め生涯に17回妊娠したが、一人の子も成人しなかったという事実に基づいている。実際には当時のイギリスにウサギを飼う習慣はなかったという(ウサギは食用)。
ウサギは人間と同じく1年中発情しているというイメージから、多産・豊穣・性のシンボルとして選ばれる(バニーガールもそう)。また生命と復活の象徴からキリスト協会の復活祭"イースター"では、卵(イースターエッグ)を運ぶ、"イースターバニー"の名前で登場する。
王宮の中で外界を知らずに暮らす人々=カゴの中で飼われるウサギたち。ウサギを踏みつぶそうとするアビゲイルのシーンは自分自身への諧謔であり、エンディングへ向かって、"ウサギ"と"人間"が重なっていく。不条理な世界に閉じ込められた人々を描く、ランティモス監督のいつもの視点がここにある。
ちなみにアン女王の寵愛を失ったサラは、夫である初代マールバラ公ジョン・チャーチルの妻でサラ・チャーチル(Sarah Churchill)とも呼ばれる。そう、ウィンストン・チャーチルは子孫である。また直系の子孫にはダイアナ元王太子妃もいる。
アン女王と正反対に2男5女に恵まれ、その血統はウサギのごとく脈々とつながっていった。
(2019/2/15/TOHOシネマズ日比谷/ビスタ/字幕:松浦美奈)
風変わりに味付けされたイギリス版 " 大奥 !? "
戦時下の財政難を議論する絢爛豪華な王室で、全ての権力を有するはずの女王アンが最も不自由で孤独で惨めに描かれている。
すったもんだの愛憎劇の結果、アンの「 お気に入り(favourite)」を勝取ったアビゲイル(エマストーン)は、次第にアンに対する愛と忠誠心をないがしろにしてゆく。
目を患ったアンは、皮肉にもこれまで見えていなかったアビゲイルの本性を悟ってゆくが、最後の最後で自尊心に目覚めるラストシーンが印象的だった。
コメディータッチながら、時代を問わず人間の普遍的なテーマを描いた良作だと感じました。
ブラックとエロと人間臭さと。
ほとんど予備知識無しに鑑賞。最初は戸惑ったものの、ブラックコメディなんだと気づいてからは結構楽しめました。ドロッドロの大奥ものでもあり。クセがあるので観る人を選ぶ作品かも知れないけど私は嫌いじゃないです。格調高い英国王室モノを期待するとエロチズムに驚くかもですが、18世紀の調度品や衣裳、魚眼レンズを使ったユニークな映像などはかなり楽しめます。アカデミー賞最多ノミネートで注目されてますが果たしていくつ受賞するのかな。
生々しい女性の狂騒
アカデミー有力候補と言われてた為、気になって観に行ってしまった。けど、結論映画館で観る必要はないかと。
華やかな雰囲気とか素敵な衣装とか、出演女優さんの演技のクオリティの高さなど色々素晴らしいと思ったけど、それが一層生々しさが増して、謎のベッドシーンとか結構気持ち悪い。
女王陛下のお気に入りになる為にどんな事も厭わない女性の強欲さや、権力争いなどが滑稽に描かれていました。
吐き気
なんとも薄気味悪く恐ろしい。女性の間で繰り広げられる心の奪い合い。異性の立場では共感することはなかなか難しい。その舞台設定に関わらず、政治の大義やイデオロギーにはフォーカスされず、人の情念の変移が埋めつくす。三者の関係をしっかりと捉えていくシーンの数々。サラウンドに耳に伝わってくる音がドロドロの人間模様と対比的に響く。ラストはホラー感も漂う。うさぎが意味するところについて考えてしまう。
圧巻の演技に脱帽
3女優の圧巻の演技に脱帽。権力を奪い合う女の駆け引きに怖さを感じたほどで時間が過ぎるのも忘れてスクリーンに釘付けになった。特にエマストーンは抜群で体を張った妥協を許さない演技には感服。オスカー女優になって益々凄みを増した印象で彼女無しには語れない評判通りの傑作です。
2019-29
権力って恐ろしい
アカデミー賞最多ノミネート
と言う言葉だけで、なんとなく観に行くと、人によっては、はい?ってなりそうな人を選ぶ映画
明白な白黒とか、起承転結とか、勧善懲悪とか、その手のものじゃないとって方はもやっとしてしまうかも
あと人間関係に疲れている時に観るのはオススメ出来ない映画
権力が絡むと、人の欲望はこうも面倒くさいものになっていくのかレベルのかなりのドロドロ劇が展開される
最初は、それほど狡猾に見えなかったアビゲイルも、後半には、最初から狡猾だったのかってなるし、どこまでが友情でどこまでが権力欲なのかなって思ってたサラも、後半には、やはり権力ありきなのかなってなる
そして結局、3人の誰の肩も持てなくなってくる
正直、今の気持ち的にこの手のドロドロを楽しく観る状態じゃなかったから、だんだん気持ちが落ちてきてしまった
ラストシーン、アビゲイルのウサギへの態度に気づいた女王を見たとき、何か展開が?と期待してしまったから、少し「はい?」ってなりかけたけど、エンドロール見ながら、これってそういうことよね。。。とあとから怖さがじわじわとくる
子供っぽかろうが、病に力を奪われていようが、権力のトップに君臨する女王であるアンをなめてはいけない
詰めが甘いぞ、アビゲイル
ブラックコメディ監督が描く、英国版“大奥”
殿を女王に据え変えた、英国版“大奥”。
寵愛を求める女性同士のバトルが国家の存亡と絡み合う、息もつかせぬ物語。
ブラックコメディ監督が、宮廷舞台劇ならではの重苦しさを見事に払拭。
欠点を抱える主人公3人の複雑な人物像が愛おしくも虚しく、誰もが心寄り添える。
女王陛下の奪い合い
LGBT寄りで官能的に進む話にもなりそうな雰囲気を醸し出しながら、Y・ランティモスの毒と変態性が程良く味付け!?されているのが良い。
本で自分を殴打するシーンは「籠の中の乙女」でのビデオデッキを思い出す痛々しさ。
本作では脚本を書いていないから、ただの雇われ監督にはならないかと不安にもなったが要らぬ心配で。
どう足掻いたって、女王陛下の絶対的な権力の前では成す術ナシ!?
女優の演技は見事だが?
イギリス版大奥と言っていい歴史映画。脚本、主演、助演女優
の演技は見事でなるほどアカデミー賞にノミネートされても
納得できる。どうすればアン王女に気にいられるか。レディサラと
アビゲイルの駆け引きは見応えがあったし、アン王女のように
権力を握った女王の苦悩も肌で感じ観て良かった。ただ、私は
3.5点にしたのは監督のこの映画で観客に伝えたい事がはっきりしないし、映画のようで海外ドラマシリーズっぽい内容である事、もう一つは
観た後の余韻がなく疲れやすい。私は映画を見るときは観た後の余韻を
重視しているがこの映画は残念ながら余韻がなかったのは残念。オリビアコールマン、エマストーン、レイチェルワイズの演技は見事です。
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