「豪華絢爛英国淑女下剋上大奥絵巻」女王陛下のお気に入り レントさんの映画レビュー(感想・評価)
豪華絢爛英国淑女下剋上大奥絵巻
時は18世紀、隆盛を極めたイギリススチュワート朝。その最後の君主であるアン王女の則近サラと奥女中アビゲイルとの女同士の嫉妬や欲望、陰謀にまみれた骨肉の争いがここに繰り広げられたのであります。
没落貴族の娘アビゲイルはいとこのサラを頼り、城中の大奥の女中として雇われます。しかし彼女は元々貴族の出でありその身についた品格と美貌のために女中仲間からひどい嫌がらせを受けます。
ある時彼女は機転を利かせてアン王女の痛風の痛みを薬草で和らげたことからサラに認められ彼女のもとで働くことに。
新しく則近となった彼女に野党の政治家ハーリーが近づいてきます。何とか戦争を終わらせたいハト派のハーリーは彼女を内通者と利用しようとしました。否応なく政局の渦に巻き込まれるアビゲイルでしたが、彼女にも再び貴族の地位に返り咲きたいという野望がありました。サラやアン王女の信頼を勝ち取り、そして観客をもその美貌で魅了し、隙あらばアン王女に取り入ろうとします。
情緒不安定なアン王女を精神的に支配していたサラは実質的に王女の職務を代行しており、その彼女の多忙のすきをついてアビゲイルはまんまと王女とねんごろの関係になり夜伽の相手となります。
アン王女とサラが夜伽の関係にあることを知った彼女は得意の舌技で王女を見事虜にしたのでありました。
自分の地位を奪われそうになったサラは嫉妬のあまり「shit」と内心つぶやいたとか。せっかく目をつけてやった恩も忘れてこの不届き者めがとハードカバーの書物を絨毯爆撃。攻撃されたアビゲイルも黙ってはおれない。彼女はそのまま王女に泣きつくのでした。
生来の人たらしの才能が実り王女のお気に入りとなった彼女はもう後には引けない。尊敬していたサラとはいまや敵対関係に。サラも何としてもアビゲイルを追放しようとします。逆にアビゲイルは紅茶に毒を忍ばせ邪魔なサラを陥れようとします。そしてサラが落馬して行方不明のうちに王女の親戚マシャムとの婚姻を果たしたアビゲイルは貴族の地位に返り咲くのでありました。
そしてサラの報復を恐れた彼女はサラの夫に横領の嫌疑をかけて夫婦ともども国外追放させることに成功するのでありました。
ついに貴族の地位に返り咲き、王女の寵愛も独り占めにしたアビゲイルでしたが、彼女自身この陰謀渦巻く権力争いに身を投じて、皮肉にも自らが軽蔑していた醜悪で堕落した貴族になり果ててしまうのでした。
心のよりどころであったサラを失った王女の情緒不安定の度合いはますますひどくなり、自分のウサギを虐待していたアビゲイルにも信用ならなくなります。
王女の職務を実質代行していた優秀な則近を失い、スチュワート朝はアン王女を最後に終焉を迎えるのでした。アビゲイルの運命やいかに。
このお話、今宵はここまでにしとうございます。
気立ての良いアビゲイルと冷酷無比のサラという対比で物語は進みますが、後半はまるで立場も人格も逆転。アビゲイルは自己防衛と野心のために狡猾な女性に様変わり、サラは彼女なりに国や王女に対して誠実で自分の職務に忠実であった人物であることがわかる。この前半から後半への逆転現象がとても興味深く見れました。
観客も若くてかわいらしいエマ・ストーンが善で、かつて清純派ヒロインとして活躍したのも今は昔のレイチェル・ワイズが悪という先入観で見ていたのでこのギャップに啞然とさせられます。
この監督初のビッグバジェット作品なだけに衣装や装飾、美術などにふんだんに予算を使い、きらびやかで豪華絢爛な王朝の生活を再現。それらによって作り出された映像美とは対照的に描かれた女同士の醜い争い合いと当時の貴族たちのお下劣っぶりがいっそう際立たせられた。どんなに着飾ろうともその内面の醜さ弱さを覆い隠すことはできない貴族たち。どんなに予算をかけた大作でも人間のお下劣な部分を描かずにはいられないこの監督。夜御須蘭丁毛須らしい作品。
共感そしてコメントありがとうございます😊
見応えありましたね。
監督の当て字に、クスクスでした。
権力を持つとすぐに堕落するアビゲイル。
サラの政治手腕で王朝は維持していたのですか。
17人を産むだけでも大事業そして全員が死んでしまう。
アン王女は悲劇的ですね。
アビゲイルの末路はどうだったんでしょうね?
架空の人物かしら?
今の日本の国会も黒いスーツ姿の中年男性と高齢男性ばかりで気持ちが悪いですよね。彼らの組織が崩壊するのはいいですが、こちらにも多大な被害があると思うと、風通しを良くして二世三世禁止にして庶民を入れたらどうかと思います。
私も映画館で上映されたら行きたいです!女王とおつきの関係性が必ずしも、女王が支配するの一方向でないのが面白いですね。ダンスみたいに支配と服従がクルクル🌀と交代するのが本当に面白かったです