「淋しがりやのうさぎ」女王陛下のお気に入り 野々原 ポコタさんの映画レビュー(感想・評価)
淋しがりやのうさぎ
国の統治者を王ではなく
女王に据えていたイングランドにおいて
もし女王を傀儡〈かいらい〉とし
政治を取り仕切っていた者がいたとしたら…
もしその者が同性でセクシャリティを越えた絆で
結ばれていたとしたら…
そんな発想の着眼点から生まれた作品。
(史実に基づいた事実ベースのお話でしたっけ?)
本作『女王陛下のお気に入り』で
子を亡くした孤独を埋めるかのように
女王・アンは17匹のうさぎを手元に置き
寵愛〈favorite〉していました。
【うさぎ】とは“ 孤独 ”の象徴だけではなく
“ 性 ”や“ 献身 ”のシンボルでもあるそうです…
昼間は理知的な言葉で女王をたしなめ
夜は夜で秘密の情事をかさねて… 《性》
「飴と鞭」と言いましょうか
いわゆる「ツンデレ」でもってして
思い通りに女王を操るサラ。
最初はただ純心に女王の孤独に寄り添い
力になってあげたかった… 《献身》
没落貴族の出戻りみたいなかたちで
宮廷侍女になったアビゲイル。
一見、野望が芽生えたアビゲイルが、サラを陥れ
女王の寵愛を勝ち取ったかの様に見えますが
それも一時的なもので、実は女王自信
それも承知で、もしかしたら以前から
幾数人、幾数回の愛憎劇を経て
寵愛対象の交代も定期的に行ってきた
そしてこれからも行っていくのかもしれません…
怖いですねぇ…(ここ淀川さん口調で)
さて率直なわたしの感想はですが
洋画時代モノではありきたりかも知れませんが
どのシーンを切り取っても
【まるで西洋の「ゴシック絵画」のような舞台美術!】
今思えばタイトルはもちろん
8つからなる各章のサブタイトル
スタッフロールなど至る所の字幕フォントが
「ゴシック文字」でしたよね!
…ぐらいかな?
※歴史考証では、イングランドには18世紀頃に
かなり遅れてゴシック様式がブームになったそうです。
そもそも最初から
「この作品はわたしの好物な“ゆりモノ”に違いない!」
と、勝手に決めて観賞に望んだわたしが悪いのでした…
ファンの方々にこの場を借りお詫び致します。