「女王陛下の終りのない悲しみ」女王陛下のお気に入り kkmxさんの映画レビュー(感想・評価)
女王陛下の終りのない悲しみ
レイチェル・ワイズ様とエマ・ストーンの2大美女対決が見ものか…と思っていましたが、もっさり女王を演じたオリビア・コールマンが持って行きましたね〜!
(よくよく見るとコールマンさんが主演でした、納得)
本作は、アン女王の悲しみ・孤独・切なさが胸を打ちました。
17人子どもを失って、今は誰もいないってキツすぎるでしょ!昔は子どもの死亡率が高いからそういう悲劇もあるでしょうが、しかし17人…そしてウサギに失った子どもの名前をつけている…ホント、胸が張り裂けそうになりました。いや、張り裂けた。
女王の独白は、エマ演じるサイコパス女アビゲイルに向けられたものでしたが、情緒レスのアビゲイルもさすがに切なそうな表情をしていたと思います。
身体もボロボロ、癇癪持ちの女王ですが、なんだかんだと国民の負担を思いやる気持ちがあり、やっぱり優しい人なんだなぁと痛感。
そんな複雑で厳しい役をオリビア・コールマンはビシっと演じていたように思います。レイチェル様大ファンの私でも、本作でもっとも印象に残るのはアン女王でした。
何気に、エマ・ストーンも良かったです。序盤、アビゲイルは周囲から悪意ばかり向けられており、そりゃひどい人間になってしまうよな、と思わずにいられない。徐々に才覚を発揮して、同時にクソな人間性があらわになっていくプロセスは妙にリアル。私はエマ・ストーンにどこか下品な雰囲気があると感じていたので、この役は彼女にぴったりだったと思います。
顔芸も最高で、あの極悪なツラでの史上最悪の手コキは正直笑いました。いやー、役者ですねぇ!
レイチェル様は相変わらず高貴でお美しかったです。レイチェル様演じるサラはカッコいい女傑ですが、レイチェル様は少し憂愁の雰囲気があるので、劣勢になっていく後半の方が個人的には魅力的に思えたかも。
柔らかな光が美しい上質な映像なので気品ある映画になりそうなものですが、悪意と品のなさがそこかしこに噴出するため、いい意味で感じ悪いコメディに思えました。
ストーリーはコントなんですけど、やはりアン女王の悲しみが深く、ラストなどはなかなかに趣深い味わいを残します。なかなかの佳作でした。