「観た人の心の中で完成する作品」この世界の(さらにいくつもの)片隅に コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
観た人の心の中で完成する作品
★が5.0では足りない。10も20も与えたい。
2016『この世界の片隅に』に38分を足して「新作」となった本作。
単なるボーナスカットではなく、「周りの人々のいくつもの片隅」が描かれ、それが効果的に「すずさん」を彩り、様々な感情や女性としての内面まで引き出して、すずせんの身近な人間らしさをより感じさせてくれました。
また、入市被曝した人々、友人のリンさんを空襲で亡くしたなどのエピソード、背後の雑踏の言葉も増してより時代が加わって、「時代」「戦争の悲惨さ」もより強く感じさせてくれました。
音響効果がバージョンアップし、爆撃の迫力も増しました。
新旧二作とも、芯となる「どんな時代においても、懸命に生きていた人々はいた」ことを伝えているという部分は、変わらなかったと思います。
どこかの新聞評にあった「反戦のために作られた」映画ではなく、この中から「反戦の気持ちが湧くことがある」のだと思います。
観た人の様々な心の引き出しにある感情を刺激し、観た人の中で完成する作品でした。
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