劇場公開日 2019年8月16日

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「いつも企画は良いのだが・・・」ダンスウィズミー Hideaki Yamaneさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0いつも企画は良いのだが・・・

2019年8月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

矢口監督作品って作品そのもので凄いという印象が私には無く、個人的に“企画映画”の人という印象が強く、例えば伊丹十三監督の系列の人だと思っています。
今までの作品も面白いのだけど不満も色々と残る作品が殆どで、巨匠だとか名匠だとか職人だとかの印象もなく、でも何故か観たくなる企画の作品ばかりを制作し、つい観てしまっています。(良い意味での)詐欺師的監督の様な気がします。
本作も個人的にミュージカル好きもあって、どうしてもこの企画に魅かれて観たくなりました。
しかし、今までの経験値から大まかな作品予想がつき、今回も予想通りの作品であり、絶賛するほどでも貶すほどでもなく、不満もあるが見所もある、いつも通りの微妙な作品でした。
それと、この監督の作品って全体的に遊びが多過ぎてテンポが悪いのですよね。だから時間が長く感じられます。

あと、これはこの作品に限らずの話ですが、他国に比べて日本映画界ってミュージカル映画が苦手というのは決定的な事実だと思っています。で、こうした状況の中で敢えて日本でミュージカル作品を作ろうとするのなら、監督はプロデュース業に徹して、日本のミュージカル映画の何がダメなのか?何が足りないのか?をもっと研究して、舞台とか音楽業界とか他部門の専門家達の力も借りた方が良いと思うのですよ。これってもう監督個人のセンスだけでは決して克服できない問題だと思います。
総体的に日本のアニメーションが優れているのは、専門分野分けをした集団作業が行われているからであり、映画でもジャンル映画はそれぞれの専門分野の職人を育てなければ洗練された作品は出来上がりませんよ。
とは言うものの、この監督自身が傑作・名作の類の作品を目指している訳でもなく、B級・プログラムピクチャー指向というのであれば十分に成功者であり、私の言う事は大きなお世話以外何ものでもありませんけどね(爆)
しかし、いつも企画は素晴らしいので自身は総合プロデュースに徹して、他は別の分野の専門家に任せてみては如何でしょうかね。

シューテツ