劇場公開日 2019年8月16日

  • 予告編を見る

「見どころのほぼすべてYouTubeで視聴可」ダンスウィズミー ch229さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0見どころのほぼすべてYouTubeで視聴可

2019年8月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

好きな映画はと聞かれれば「ダーティ・ダンシング」です!と即答する程度にはダンス映画やミュージカル映画への興味は深い私なので、ツイッターのプロモーションで目を引き、YouTubeで関連動画を視聴し、これは是非観に行かねば!と思い公開2日目に映画館に赴きました。

前半で見せるダンスのシーンは期待に違わぬもので、三吉彩花がロングスカートをなびかせて踊る姿がたいへん美しく映える。

ああいいなぁ、やっぱりダンスはこのくらいスラッとしたスタイルでロングスカートの似合う美人のお姉さんがハマるよね。キャスティング素晴らしい。スカートがめくれて見えそうで見えない、からの一瞬下着が見えちゃうカットがあるのも素晴らしい。

だがしかし残念なことに、踊りのシーンが終わって現実に戻った瞬間、共感性羞恥をおおいに刺激させられる。

なにかとてつもない居心地の悪さ。

ミュージカルってこういうことでしょ?って言いたいのだろうけど、せっかくいいものを見たのに、その余韻を味わうことを許してくれない。

せっかく美味しいものを食べたと思って満足していたのに、食べ終わった瞬間「よくそんなもん食えるよねぇ・・・クスクス」と水を差されるようなもの。しかもその料理を作った張本人に。

笑いどころのつもりなんだろうけど、素直に笑えないし、たいへん居心地が悪く不愉快な思いをさせられる。

そして思えば前半での見どころ、オフィスで踊るシーンとレストランで踊るシーン、これはYouTubeで見た。

後半は三吉彩花の衣装もジーンズになっちゃってテンションダウン。

これといった見せ場もないままストーリーを進める展開。まあそんなに尺を使うほど大した話ではないので冗長に感じるし、とにかく筋書きは把握しておかないとな、という義務感で見続けるしかない。

そして結婚式の貸衣装がなかなかに可愛かったので、よしこれだこれだ!とテンション上がるもその場では大したパフォーマンスはなし。

そしていよいよというクライマックスシーンでは、ジーンズから衣装チェンジしたもののその衣装が微妙にダサいし、お粗末なステージの上ということもあり、前半に見せたような日常風景を舞台にした非日常的エンタメというような趣もなく不発。

そしてエンディング、これはまあまあ良かったけど、弾けるような躍動感とまではならず、稽古不足なやっつけ仕事に見えた。

やはり最大の見せ場は、最初のオフィスでのダンスシーンだったかも。

ミュージカル好きな人に恨みでもあるのか、そんな観客をわざわざ映画館におびき寄せて、共感性羞恥によって爆死させてやろうという悪意を感じるし、そうでないならいったい何がしたかったのか、よくわからない映画である。

ダンスシーンのカットだけを切り出してYoutubeで見るのが最高にハッピーな体験だと思われ、映画全体で見ると余計なものまで見せられて幻滅してしまう感じ。

三吉彩花の美しさと頑張りに免じて3点としたが、これで素直に楽しめると思っているなら監督の感性に疑問を感じざるを得ない。

「スウィング・ガールズ」を作ったときの感覚を思い出して欲しいと切に願う。

ch229