「全編通じて素晴らしい。」アルキメデスの大戦 zem_movie_reviewさんの映画レビュー(感想・評価)
全編通じて素晴らしい。
俺が爺さんから聞いた山本五十六と舘ひろしのギャップに萎えたこと、大和が海軍の象徴じゃなかっただろ長門だろ、以外はパーフェクト。文句なしに面白いし、冒頭の坊ノ岬沖海戦の演出、CGも素晴らしい。日本映画、やればできるじゃんです。ドルビーフォーマットにして欲しかったなあ。。。
ストーリー通じても飽きることもなく、かといってテンション高く進むわけでもなく、適度に笑えるところもあり、海軍の会議のシーンも(実際にはもっと人数いたんだけど)掛け合いが面白いし、主人公の破天荒ぶりもいい表現でした。ただ、エンドロールになってからなぜか泣いてしまいました。結論はすごく悲しい話です。そして、いくつかの艦首切断事件のことも反映していてここも良かった。
今シーズンでも屈指の名作邦画です。空母なんちゃらより全然いいです。
ぜひ、劇場で観てほしい。戦闘シーンはなくても、これは大画面でこそ堪能できる稀有な邦画です。ぜひぜひ!
ただですねえ、ラストの菅田将暉と田中泯のやり取りだけは違和感満載です。なぜなら、帝国臣民のほとんどは大和なんて知らないのです。信濃のエンジン担当だった爺さんの嫁さん(俺の婆さん)ですら知らなかったんですから。
で、爺さんが言ってた山本五十六。
トラック島に派遣された横須賀海軍工廠の爺さん。島につき、桟橋を降りたら背の小さい(爺さんは175センチ以上あります)おっさんが跛行しながら急ぎ足でやってきたそうです。
「爺さん(実際には名字です)だな?話は聞いてるな?来るのを待ってた。ここのでの船の整備は任せた。好きにやっていいから。頼む。」
誰だ?あの貧相な人?だというのが第一印象だったみたいです。後で聞いたら山本大将と分かって感動したそうです。なんで、こんな若造のことを知っていたのかと。
トラック島に軍艦のエンジンの専門家がおらず、爺さんが赴任して初めて、だったということで、私は、ああ、こんなところに人材不足があったんだ、これじゃ、資源云々以外にも勝ちようがないじゃないかと思いました。
そんなところも絶妙に表現されてました。
そういう個人的事情も含めて面白く、感慨深い素晴らしい邦画でした。