劇場公開日 2019年7月26日

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「あの船は、この国の象徴なのだ」アルキメデスの大戦 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5あの船は、この国の象徴なのだ

2019年8月15日
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鑑賞方法:映画館

なぜ泣いているのですか?と問われた櫂直がそう答えた。

戦艦大和は、美しく、世界最大で、国民の誇りである。
だから、なのだ。
この先に辿るであろう運命を知るからこそ。
国民の命運を担った「依り代」としての。

ああ、そこに田中泯を配役した理由があったのか、と唸った。
まあ、この筋書きはフィクションであろうが、ちょっと胸を打った。
山本五十六をはじめとして、軍人全てが暴走したわけではあるまいという願いと共に。

ただ、あまりにタイトルがキャッチ―過ぎて似つかわしくないと思えた。タイトルにつられ娯楽ものを期待した客には受けまい。それにVFXで見せつけることなく、戦艦大和の最期の悲劇を描いて欲しかったとは思う。まあ監督の得意技だから見せたいんだろうけど。結局、客の想像力を信用していないんだなと感じた。

栗太郎