「美の在処 ~ 理論は論理より先立つ ~」アルキメデスの大戦 野々原 ポコタさんの映画レビュー(感想・評価)
美の在処 ~ 理論は論理より先立つ ~
世界からしても類を見ないほどの
超弩級戦艦たる〈 大和 〉は
我らの誇りを具現化したものであり、我らの希望
そして我らの美の、精神の象徴…
互いに国力を削り合うのが戦争と言うのであれば
実際、余力がまだある内に敗戦を宣言したほうが
利口な判断、論理かも知れない…
でも日本の尊厳を損なわずそれを行うには
新しい日本の礎となる“ よりしろ ” が
理論を成り立たせるために
大和が必要だったのかも知れない…
そんな深いテーマをさらりと提示して
なおかつ、見ごたえのある作品として
山崎 貴 監督が世に送り出した
一種変わった切り口の反戦映画
本作『アルキメデスの大戦』
「論理とは、思考による法則性、
つまり筋の通った “ やり方 ” を意味する」
「理論とは、言葉による法則性、
つまり知識体系を意味する」
と、一般的な辞書に記されていました。
【数字は嘘をつかない】として
〈論理的〉な数式を用いて
粉飾見積りの不正を導きだし、併せて造船所との
癒着を暴いた池井戸 潤的な(笑)
爽快カタルシスのあとの
【大和の存在意義】を戦後を見据えた上で
〈理論的〉に語る
心情カタルシスの、ふたつのカタルシスが
わたしの感性と感情を同時に刺激しました!
また終盤に至るまでの、男の信頼関係や
美しいものを計測、からの図面に向かう姿勢
戦争を止めようとした信念
そして美に魅せられていく感情…
それらを周到に印を踏まえた流れでみせていて
とても好印象に思いました♪
菅田将暉さん、柄本佑さん共に若いのに叙情的で
色気のある演技ができる良い演者さんですね!
そしてなによりもベテラン俳優陣の厚み!
國村隼さん、舘ひろしさん、そして田中泯さんetc.
素敵なおじさま方を拝見できる作品でした♪
19年8月5日 劇場にて鑑賞