「戦艦田中泯」アルキメデスの大戦 うじさんの映画レビュー(感想・評価)
戦艦田中泯
原作の漫画を読んでいない中、
また、映画の事前情報もあまり見ず
あまり好みでない菅田将暉と柄本佑
が出るということもあり、
まったく期待もしないで観ました。
ところ、想像していた物語とは
全然違っていて、かなり面白かったです。
<以降、ネタバレ含みます。>
映画館の予告編では、かなりできのよい
CGで描かれた戦艦大和が米軍航空機の
総攻撃を受けて撃破され沈没するシーン
が繰り返し流されていました。
なので、そのような戦闘シーンが
たくさんあるのかと思っていました。
冒頭で、大和の沈没シーンが
大々的に出てきたので、
出オチになっており、
このあとどのような物語が展開する
のかと心配していましたが、
このあとのシーンは戦闘場面は
全く出て来ず、
池井戸のドラマのような状況が
ばりばりの海軍軍人VS菅田将暉
で繰り広げられます。
映画の構成は、大きく3つくらいに
分れており、第1は、天災数学者の菅田将暉の
変人ぶりのお話で、第2は、彼が山本五十六の依頼によって
いやいや、海軍が不正な見積りをしたらしい戦艦の
再見積もりを、全く情報のない中で
期限内行うお話しで、そのお話しは
少しとぼけた海軍軍人柄本佑とのバディものとなっていて
最初は菅田将暉のことが気に入らなかった柄本佑が
変人だけれどものすごい天才の菅田将暉に次第に心引かれて
いく様子がテンポよく描かれています。
最後の段階は、敵役の戦艦設計技師のえらい人の
田中泯が、その思想をえんえんと語る場面で
映画をいっきょにさらっていってしまいます。
その段階も2つに分れており、
ひとつは、菅田将暉が戦艦の見積りの不正を
暴くのですが、それに対してなぜ不正を行ったのかを
説明する場面で、この理由には納得してしまいました。
そして、最後の段階の2つ目が、田中泯が、不正が見つかって
廃案となった戦艦大和を作ろうと菅田将暉を説得しようと
して戦争に対する独自の理論を説明する場面です。
この説明の理論については、なぜ米軍との戦争に
戦艦大和が必要なのかということであり、
その必要性のためには、ある程度犠牲者が出ても構わない
というものです。
この理論には、一瞬納得してしまいましたが、
戦艦大和の沈没で3000人の兵士が亡くなって
おり、そんな犠牲が出てもいいのかという疑問
は残りました。
先般観た、ゴジラ/キング・オブ・モンスターの
女性科学者が、地球の秩序を維持するために
あえて眠っている怪獣を目覚めさせるという
理論を思い出しました。
また、9.11の陰謀説である、アメリカの
自作自演説も思い出してしまいしました。
※菅田将暉はイケメンの役ではなく、変人の役なので
なんか似合っておりよかったです(ちょっと天才過ぎますが。)
※柄本佑もいつもの似合わない二枚目では
なくお笑い部分を担当しており、よかったです。
※舘ひろしの山本五十六役はどうかと思いましたか
意外と違和感は感じませんでした。
※監督は木村拓也主演の宇宙戦艦大和実写版も
監督しています(一応失敗作と言われています。)。
※監督は、今度の東京オリンピックの開会式の演出も
担当するようなので、戦艦大和が何らかの
かたちで出るかもと思いますが、
平和の祭典で戦争の象徴は出しにくい
でしょうね。