劇場公開日 2019年7月26日

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「気持ちいい」アルキメデスの大戦 まつこさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0気持ちいい

2019年7月27日
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この映画は…率直に言って面白かった!
帝大数学科中退した100年に一度の天才数学者・櫂直(かいただし)が、軍の中で建設予定の軍用戦艦の計画を、予算や戦艦の設計に隠れている大きな穴を数学を使い止めようとするストーリー。
私戦争ものや軍艦系の話は好みのジャンルではないのだけど、大好きな山崎貴監督の作品は必ず観てるので行ってみました。
山崎監督作品は、私の勝手な仕分けで「永遠の0」「海賊とよばれた男」の枠と、「ジュブナイル」「ALWAYS三丁目の夕日」「寄生獣」「DESTINY鎌倉物語」の枠と2つあると思ってて、後者の方が完全に私が好きな作品が多いのですが、今回のアルキメデスは完全に前者。だけど、戦うシーンが重きとしてあるわけではなく、どうやって数学の力で軍人達を納得させて止めるのか…そこがメインとなっているところがまず良かった。
そして櫂直という天才数学者。天才であり変人でもある彼はまずキャラクターがめちゃくちゃ魅力的だった。その頭脳のレベルになるまで物凄い努力をしたんだろうけど、ただの頭良い人がではなく「色んなことを諦めなかった人」という人柄の強さが滲み出ていて、櫂のお世話係兼相方としてつかされた田中は、とても真面目な人で変人な櫂を最初は煙たい目で見ていた彼が、櫂の天才さもさることながらそれを超えたひたむきさに心が動かされて行くシーンがまあいいんだこれが…。良きバディっぷり。
重鎮俳優演じる軍人のお偉いさん達の中に放り込まれた若き天才数学者を演じる菅田将暉。
演技に見えない演技は相変わらずで、櫂直にしかもう見えない、ありきたりな言葉で言えば憑依していましたね…。菅田ではなく櫂そのもの。櫂の考えや頭脳があってからこそ展開していくストーリーや結果はとても納得がいく。
あと、それをも上回る日本政府の闇や時代の闇がゾクゾクして…決して後味の良い映画ではないけど、「天気の子」同様、今の日本を考えさせられるきっかけの映画だったことは間違いないんじゃないかな。
内容的にはなかなか難しい部分もあるけど、引き込まれるストーリーや役者さん達の魅力的な演技力のおかげで不思議と飽きのこない作品でした。櫂直の計算するシーンの黒板使いは迫真過ぎて無茶苦茶カッコよかった。それ以外も見所多数!!!
面白かったよ〜。

まつこ