「キレイな映画。ただそれだけでしたが、」マチネの終わりに セロファンさんの映画レビュー(感想・評価)
キレイな映画。ただそれだけでしたが、
パリやニューヨークが舞台で主演の二人も美男美女。見ていて「キレイだな~オシャレだな~。」と感じましたが、ただそれだけでした。正直、物語の中には入り込めませんでした。
2,3度会っただけの相手に運命を感じて、20年来の婚約者との別れを決めるのって現実的ではないし、ちょっと引いてしまいそう。でもそれをドラマチックな物語にできたのは石田ゆり子の魅力なんだろうなと思いました。
ただ唯一現実的で人間的でドロドロしていたのが蒔野のマネージャーの三谷早苗でした。
蒔野の落としたスマホを拾いに行って偶然蒔野と洋子との関係を知ってしまう。蒔野になりすまして洋子にメールを送り、二人の関係を終わらせてしまう。その時の三谷早苗の葛藤とか罪悪感とかがジワジワと伝わってきました。
洋子目線で見れば人生の一大決心をズタズタにした許せない女ですが、早苗目線で見れば、洋子も許せない存在だったはず。
早苗は人生の全てを蒔野に捧げ、ギター奏者としての蒔野を尊敬し、常に支えてきた。そんな中で洋子が現れ、たった2,3度会っただけで蒔野の心を動かそうとしている。
「蒔野が主役の人生の脇役でいたい」「蒔野が私の人生の目的なんです」そんな早苗にとって洋子はどんな存在だったのだろう。
蒔野だけを見ていた人生に洋子が現れる。蒔野の音楽人生に影響を与えてしまうのでは?蒔野の心が洋子に傾いてしまったら?そんな危機感や焦燥感が渦巻いていただろうと思われますが、後半、早苗の告白によって物語が大きく転換します。
蒔野の再起をかけたコンサート前。この大事な時期に自分に何ができるだろうか。その答えが告白でした。それはつまり、蒔野に必要なのは自分ではなく、洋子だと認める事であり、蒔野との別れを覚悟した上のものだったでしょう。蒔野と、その音楽を愛しているからこその決断であり、ある意味究極の愛の形でもあるなと感じました。
こんにちは
共感ありがとうございました!
あのマネージャーの早苗・・他の映画では素敵な役どころの女優さんなんですが、
「こんな魅力のない泥々の役はやりたくなーい!泣」
とか言いたくなるだろうなぁ(笑)
あと、
“ふと熱愛に落ちる”蒔野たち。
⇒あり得なさそうで、でもああいう
fall in love
ってどこかで僕らの憧れの姿なのかも・・
いい映画でしたね。