「女々しくて、女々しくて、女々しくて、辛いよ…😢」マチネの終わりに たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
女々しくて、女々しくて、女々しくて、辛いよ…😢
有名ギタリストの薪野と、フィアンセのいるジャーナリスト洋子との、40代男女の恋愛を描くラヴ・ストーリー。
ギタリストの薪野聡史を演じるのは、『ガリレオ』シリーズや『るろうに剣心』シリーズの福山雅治。
ジャーナリストの小峰洋子を演じるのは『もののけ姫』『コクリコ坂から』の石田ゆり子。
洋子のフィアンセであるリチャード新藤を演じたのは『るろうに剣心』シリーズや『翔んで埼玉』の伊勢谷友介。
40代の恋愛という、若者のそれとは明らかに違う複雑な事柄を描いた「大人」なラヴ・ストーリー。
ここでいう「大人」とは、「大人が夢見る大人」という感じのものであり、正直リアリティとかはない。
こんな大人いる訳ねぇだろ!
まあ、あくまで映画はフィクションなんだから、リアリティが有れば良いというものでもないしね。本作は一種の御伽噺として観るのが正解。
とはいえ、ある程度年齢を重ねた大人なら、薪野や洋子の様な体験…はなかなかしないかもしれないが、彼らの感情や心情は理解出来るし、共感するところもあると思う。
薪野という男、福山雅治が演じているからカッコいいのであって、実際はかなり女々しい男ですよ!
返信がない洋子に対して、メール送りまくってましたからね💦
でも、この薪野の女々しさ、男なら共感出来ちゃうんだよな〜。この辺りの人物描写はかなり絶妙👍
会って2度目で心中の話題を持ち出す薪野。やはりこの男、ヤバい奴である。
ここが後半の伏線になるかと思いきや、そんなことなかった。
というより、洋子にフィアンセがいるという問題は割とあっさり解決してしまう。というより、問題ですらなかった。そこでもっと拗れると思っていたのだが。
はっきり言って、本作で一番の被害者は伊勢谷友介である。なんか振られたと思ったら、なんか復縁している。そりゃ夫婦仲も悪くなるわ。
洋子がジャーナリストという設定も、後半になるにつれ活きが悪くなる。もっと話に絡めても良い設定だと思うけど。
シナリオは正直ありがちな感じ。出会って恋に落ちて恋敵に邪魔されて別れて…、みたいな。
とはいえ、お約束というのはやはり大事。意外性は無いがしっかりとしたラヴ・ストーリーを観たな、という感想かな。
本作は役者の魅力がかなり作品のクオリティを底上げしていた。
ともすれば嫌味にも映る様なキャラクター設定の2人だが、石田ゆり子と福山雅治の演技のバランスが良かったので、気持ちよく鑑賞することが出来た。
またこの2人の魅力のおかげで、リアリティのない物語にも拘らず、何処かリアルな感じが出ていた様に感じられた。
本作のためにクラシック・ギターの奏法をマスターしたという福山雅治。流石である。
石田ゆり子が英語とフランス語を頑張っていた。健気である。
「マチネ」とはフランス語で朝・午前という意味。舞台やバレエ、オーケストラで使われ、午前の興行をマチネ、夜の興行をソワレというらしい。ふーん。
マキノとコミネ、合わせてマチネ…。駄洒落かっ!?😅いや、まあそれはいいんだけど。
2人の出会いと別れ、そして再会こそがマチネ。いや、そこに至るまでの40数年間がマチネであるというべきか。
映画のラストシーンから人生の後半、すなわちソワレが始まっていく。だから『マチネの終わりに』というタイトルな訳だ。原作が文学作品なだけあって、キザなタイトルですねえ😏
東京、パリ、ニューヨークをロケ地に使う贅沢な作品。ロケ地はさることながら、映像がパリッとクールな感じでオシャレ。何処となく高級感がある。
ラヴ・ストーリーは得意でないので、正直かなり長く感じたが、鑑賞後に嫌な感じもせず、結構スッキリした気分になれた。
男性でも割とイケるタイプの映画だと思います。
最後に一つ、親の離婚で振り回されるのは子供たちですので、ご結婚は計画的に…ということで。
フォローありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
さて、
この作品の構造は至極ありふれたものです。
ただ、マキノとヨウコの役の配置で多くの人に堂々とアピールできるという強みを使っています。
当然内容も悪くなく、特にヨウコの人生の選択、あるいは賭けに対する失敗が痛烈に描かれます。
これが視聴者の心をネガティブに揺さぶります。
妻から真実を聞かされたマキノは激しい怒りに取り込まれそうになりますが、そのシーンは彼のイメージとして描かれます。
これは、彼が大人であるというニュアンスと、みんなの憧れ俳優の言動のカッコよさがそのネガティブさを抑え込んでいるようにも感じます。
ただ、牧野の妻が離婚と断罪を覚悟した背景にあるマキノの音楽に対する情熱の冷めという天秤。
結ばれても彼の命を絞め殺してしまったことに対する罪悪感に対する妻の言動が物語をあるべき終息へと誘います。
ヨウコもまた、女の維持を貫き通して彼からの連絡を絶っていた自分自身の間違いにようやく気付きます。
この気づきこそ、この物語の新しさのような気がします。
最後に偶然公園で出会う二人ですが、何もかも理解して赦せたからこそ再会できたのだろうと余韻を残してくれます。
見終われば素敵な作品だと感じました。