「光るのは、見つけて欲しいからだよ」海獣の子供 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
光るのは、見つけて欲しいからだよ
圧倒的に訴えかけてくる画の質感、スピード感、なにより生命感。女子中学生流花のひと夏の成長期。まるで、のび太が恐竜の子供と出会った時のような、一皮むけた夏。流花は、海と空に出会ったことで、人の痛みを知ったのだ。
流花と海、空が、相対的な存在でありながら実は一体であるように、人間とほかの生き物たちもそうであるように、満点の星空と光放つ海中(どちらも、曜変天目茶碗のような深くきらびやかな世界に見えた)がそうであるように、どこかで自己と他者は同調している気がした。
ラストカットの蟹が、ひざまずき、右手を胸の前に抱えて、流花に「ようこそ」と招き迎えているように見えたのは思い過ごしだろうか。
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