「見方一つで姿を変える作品」海獣の子供 yamatoさんの映画レビュー(感想・評価)
見方一つで姿を変える作品
この映画は主人公、琉花の視点で描かれている。
だから情報も限られる。二人の少年・海、空の背景もそのまわりにいる人間のこともあまりわからない。
父や母の生い立ちや出会いもたぶんまだ聞いてないから出てこない。
そんな彼女が今回みたいな経験をする時、ただただ
目の前に起きる事を感じ、その中で考えるしかない。
だから自分達も余計な事を考えず、主人公と同じように目の前におきる事を見て、ただ感じるのが正解ではないかなと感じた。
実はこの映画最初見た時、原作の知識が邪魔をしてモヤモヤした。
絵も音楽もすごいんだからもう少し情報の出し方、背景とか描き方があるんじゃないか?わかりやすい作品じゃないのはわかってたし、覚悟はしてたけどなんかモヤモヤする。
でもよくよく考えるとそもそも視点が瑠花に絞られてるんだから原作で描かれた他人の情報が出てくる余地なんかない。彼女の経験を同じ知識で追体験してみるしかないのでは?目の前ですごい事が起きたらなんか考えられるか?ただ感じるしかない、考えられるのはだいぶ後!
という感じで見直してみたくなり、ひっかかりをとる為にもう一度映画館に。
ただただ目の前のスクリーンに集中、絵と音楽を感じてみた。
そうしたらこの作品はまったく違う姿に。映像と音楽でゾクッとくる感覚は久しぶり。最後の米津玄師の主題歌もほんと響いてくる。
2回目見て最後の瑠花とデデの会話もなんか感情を重ねられるようになった気がする。
見方一つで姿を変える、見る側に解釈の余地をたくさん残している、そんな映画はほんと久しぶりだった。
あと最後に、ほんと芦田愛菜の演技は良かった。
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