ヒトラーと戦った22日間のレビュー・感想・評価
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歴史を知らずして、未来は語れないな
実話に基づく作品。ラインハルト作戦に則って作られた三大絶滅収容所の一つであるソビボル絶滅収容所で起きた、収容者による反乱・脱走を描いている。
インターネット上の巨大百科事典に寄れば、ソビボルでは、到着から数時間で「処理」に至ったとありますが、映画の中でも、そのような状況が描かれています。几帳面なドイツ人を信用しているユダヤ人もいたように描かれていて、それが逆に、ユダヤ人の運命の悲惨さをクローズアップさせていました。
ちなみに、映画ではそこまでは描かれていませんでしたが、エンドロールの流れている間の字幕で、収容所から脱走しても、多数の人が“地元住民”に殺されてしまった様です。ナチス政権下では、ユダヤ人を匿った側も処罰されるのですが、それでも、逃げても殺されてしまうと言うのは、悲しい運命ですね。
少し物語も入っています(?)が、それでも尚リアル。「え?これヤバいんじゃ無いの?」と言うシーンもあって、案の定、PG12でした。でも、これは、人間の残忍な歴史を教えると言う観点で、子供にも見て欲しいと思いました。
最後ですが、邦題がイマイチですねぇ。ナチスと言えば、確かにヒトラーですが、何でもかんでもタイトルに“ヒトラー”の文字を入れればよい訳ではありません。原題がSobiborですが、そちらの方が内容を適切に表していると思いました。
向き合う勇気
ホロコーストは昔からずっと興味があって夜と霧も病みながら読んだけど人間がどこまで残酷になるのかを私達は知っておいた方がいい。
コンクリート事件で「彼らは人間じゃない」というコメントをたくさん見たけど彼らも間違いなく人間でそれを踏まえた上で対人間に対してどこまでも残虐な事が出来るのが人間だと思ってる。
だからこそ歴史を繰り返さない為に必死に伝える人達がいる。「歴史は繰り返される」という歴史に全力で抗う。
戦後73年。生き証人がいなくなるのはどの国も同じだ。日本だってもう中尉と少尉クラスしかいない。原爆を落とされた日本人も、何百万の大虐殺をされたユダヤ人も必死に伝えようとする。
日本人が原爆の悲惨さを世界に伝えたいと思うなら私達も大虐殺の歴史に向き合うのが筋であり長い平和に繋がる。悲しいから見たくないのも凄く分かる。分かるけどそれでも平和を人任せにせず暗い歴史と向き合う勇気を持って欲しい。
日本人が戦争の悲惨さを伝えたいと思ってると共にユダヤ人も戦争の悲惨さを伝えたいと思っている。向き合おう。
差別の現実
原題は「Sobibor(ソビボル)」で、ソビボルのユダヤ人収容所を
示している良いタイトルです。
邦題の「ヒトラーと戦った22日間」に釣られて鑑賞すると、
ヒトラーは出てこないので、期待外れになります。
戦争映画なので、多数の人が出演し、ドイツ人は同じ軍服、ユダヤ人は
泥まみれの顔に同じ囚人服で、登場人物の見分けはつかないです。
ドラマ的な要素もエンターテイメント的な要素ないですし、実話映画
なので結果は分かっています。
人間関係を描いて分かりやすくなってもいないので、共感も感情移入
もできません。
ひたすら残酷なシーンが続きます。
ユダヤ人収容所としてはアウシュビッツが有名ですが、ソビボルも
ベウジェツも同じユダヤ人収容所です。
ユダヤ人収容所は有名ですが、ユダヤ人収容所で行われていた真実を
映像化したところに、この映画を観る価値があります。
ナチス・ドイツは、国家を持たないユダヤ人とロマ人の資産を軍資金
として没収し、労働力として利用するために、差別し、虐殺したことが
よくわかりました。
国家を持たないユダヤ人とロマ人の資産を没収しても、ユダヤ人とロマ人
に強制労働させても、ユダヤ人とロマ人を虐殺してもドイツはもちろん
他のどの国からも非難はありません。
ユダヤ人が国を欲しがる理由は、国の保護を受けられず、虐殺された
からだと理解できました。
ナチス・ドイツがドイツ人に支持された理由は、軍資金として高い税金を
支払うこともなく、労働を強いられることもなく、ドイツ人というだけで、
良い仕事に付くことができ、高給を手にすることができたからです。
日本人という属性だけにすがっている日本のネトウヨとドイツ人という
属性だけにすがっているナチス・ドイツは似ていると感じました。
ドイツ人という属性だけにすがっているナチス・ドイツは、平然と
ユダヤ人とロマ人を差別し、資産を没収し、労働を強制し、虐殺しました。
日本人という属性だけにすがっている日本のネトウヨは、平然と外国人を
差別し、人を侮辱する暴言を言って、心を深く傷つけ、人に暴力以上の
ダメージを与えています。
ナチス・ドイツも日本のネトウヨも愛国者ではなく、人種という属性に
すがって、差別するだけの不要な存在です。
カール・フレンツェル親衛隊員とグスタフ・ワーグナー親衛隊員は、
ソビボル収容所に到着したユダヤ人をガス室送りにして虐殺するか
ゾンダーコマンドとして強制労働させるかを選別します。
グスタフ・ワーグナー親衛隊員は、ソビボル収容所の建設要員として
派遣されました。
アレクサンドル・ペチェルスキー、通称サーシャは、ソ連の軍人でドイツの
捕虜となり、脱走を行い、ミンクスで身体検査で割礼が判明し、ユダヤ人として、
ソビボル収容所に移送され、ゾンダーコマンドになり、ルカを愛し、脱走の
リーダーになります。
ルカは、女性のゾンダーコマンドで、サーシャを愛しています。
レオ、アルカジイ・ヴァイスパピル、ポリス・ツィブリスキー、
セミュン・ローゼンフェンドは、ゾンダーコマンドで脱走を支援します。
シュモロは、両親と妹をガス室に送られた少年のゾンダーコマンドです。
セルマは、女性の赤毛のゾンダーコマンドで、ハイムを気にかけています。
ハイムは、メガネをかけた男性のゾンダーコマンドで、セルマを気にかけています。
トマスは、少年のゾンダーコマンドで、ナチス親衛隊を殺害するために誘導します。
映画を理解したいという人にはパンフレットの購入をお勧めします。
壮絶!というしかない
この収容所に関する事実を知るのは初めて。
(他の収容所でも同じだろうが)大量殺戮と尊厳を無視されながら生きることを余儀なくされる命。これはネガティヴな意味で壮絶。
これに対抗して集団脱走を図り、殺すことに苦悶しながらも実行するユダヤ人。これもまた壮絶。
反吐がでるぐらい辛い場面も多いが、歴史を直視するのは、後世の人間の勤め。
角砂糖
1943年に閉鎖された三大絶滅収容所の一つソビボル強制収容所の収容者による反乱と脱出の話。
出来事は既知ではあったけれど、これを題材にした作品は初鑑賞で非常に興味深く面白くもあった。
しかしながら、感動させたいのか悲しさを煽りたいのか、ムダに長いシーンが多かったり欲しいものがなかったりと演出や構成がちぐはぐな感じがして没入しきれなかった。
今だからこそ、知るべき史実
改めて、どこまでも残酷になれる人間の恐ろしさを感じた作品だった
第二次世界大戦でソ連側にあったソビボル絶滅収容所(ユダヤ人を絶滅させることを目的に作られた収容所)で起きた実話の映画化
この映画の試写会は、ロシア大使の方と、イスラエル次席・公使からのご挨拶から始まった
その中で「最近の世界情勢として、ネオナチの台頭やデモ行進が増えている
しかも、この映画の舞台となった地域、ウクライナ、ラトビア、ポーランドで増えている
そういう時代だからこそ、いま一度、私たちは、この当時に起きたできごとを知るべきなのです」というお話があった
そう言われてみると、毎年のように、ナチスドイツや、ホロコーストを描いた作品が作られている
それは、私たちが、その時代に起きた事実を軽んじ始めていて、あの時、なんの罪もなく殺されてしまった人々がいたという真実が薄れつつあるということなんだろうと思った
だからこそ、しつこいぐらいにホロコーストやナチスドイツを描いて、少しでも多くの人の心に届けることが、とても大事なことなんだと思った
ナチスドイツが行なっていたホロコーストの中で、ユダヤ人絶滅のために作られた施設である絶滅収容所の中で一番有名なのは、アウシュビッツである
この映画の舞台であるソビボルは、そのアウシュビッツよりもソ連側にあった収容所であり、収容されていたユダヤ人たちによる反乱と、脱走が起きた収容所だった
そのナチスドイツのユダヤ人に対する扱いの酷さは目を覆いたくなる
それを見ていると、世界中の人種の中でも、優秀な人種などいないことがわかる
もしも、本当にドイツ人が優秀ならば、他の人種を下に見ることはないだろうし、絶滅させようと虐殺することもないはずだ
それに加え、彼らに与えられた権力が、彼らをより残虐にしていく
その所業は、とても人間とは思えないものだった
人間は一旦タガが外れると、どこまでも残酷になれるんだなと思った
しかし、その中で希望となるのは、なんとしてでも生き延びようとするユダヤ人たちの強い意志だった
権力を持った人間がどこまでも残酷になれるように
「生きたい」と強く願う人間もまた、どこまでも強くなれるのだ
後半は、涙なしには見られなかった
とても月並みなことしか言えないのが、とてももどかしいけれど
私たちが、このような悲劇を二度と繰り返さないためにも、この事実をたくさんの人に知って欲しいと思った
ソ連側に絶滅収容所があったのも、そこで反乱があったのも、私には初めて知るできごとだった
そういう勇気ある人々がいたことを知れただけでも、とても意義があり貴重な作品だった
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