凪待ちのレビュー・感想・評価
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評価高すぎ
香取慎吾、良かったですか?
私にはあゆみが惚れてた理由も、娘があそこまで懐く理由も、なんだかんだ周囲に助けられる魅力も、彼から感じ取れませんでした。。リリー・フランキーの動機は…?
主人公が違う役者だったらまた違ったのか、作品自体の問題なのか。(脇を固める役者たちはよかった!)
『凶悪』とか最高だっただけに、かなり残念でした。
全てを呑み込んで
言ってる事とやってる事が上手く噛み合わない登場人物たちの行動に晴天の霹靂な事件。
それがご都合主義ではなく、きちんと裏で抱えていたモノが明らかになり繋がっていく展開が素晴らしい。
それでも疑似家族礼賛ってどうよと思いながら始まったスタッフロールの映像。
劇中では震災をさほど主張しなかったのが、二回目の視聴ではガラリと違って見えた。
異常なまでの周囲の優しさ
主人公郁勇が本当にダメな人間。それは誰がみても明らかなほど救いようのないギャンブル中毒。
そんな主人公をそれでも助けようとする周囲の人間の優しさが際立つ。
さらにこの映画はめちゃくちゃ助けてくれた近所のおじちゃんが真犯人というオマケつき。
リリーフランキーは普通の優しいおじちゃんも毒のあるサイコパスもどっちも演じられるからすごい。
歪み…
人生は歪みの連続。登場人物達は震災、DV、離婚、いじめによる不登校、ギャンブル依存症などの歪みが連鎖していき、やがて殺人に至るまで、大きな歪みヘと変化し、抜け出せない状況になっていく。次の展開はどうなるだろうと、胸をずっと掴まれているような感覚で引き込まれた。人の親切を無にし、ろくでなし、いや、人でなしの香取慎吾をどうして、そんなに助けるのか、良い人過ぎるリリー・フランキーは、やっぱり怪しかった。逮捕された時の犯罪者としての表情の変わり様が凄まじかった。そこで終わるかと思いきや、最後は再生していく、そんな展開にならないと思っていた。普段は普通なのに、金を見ると人間で無くなるギャンブル依存症は、死ぬか、医師による治療が必要な病気だ。この映画で本当に恐ろしいと思い知った。。
優しいリリーさんは、超怪しい!(笑)
なかなか凄い映画でした。
私は、ギャンブル依存症者の気持ちが多少理解出来るので、ギャンブルにのめり込りこんでしまい、その先自分の力ではどうしようもできない状況にまで突っ走ってしまう香取慎吾ちゃんの姿はとても理解できました。ギャンブルって怖いね。
でも、その背景には心の空虚感、愛情の欠如、人生への執着心の無さ、みたいなものがあるわけで、単純にギャンブル依存症だからこの人はダメと描かれている映画ではないところがスゴかった。とても考えさせられました。
そして、エンドロール。結婚届が届けられた先は?
…何重にも思いが込められた作りになっており、映画ならではの様々な感情が入り混じった、複雑な感動を覚えました。素晴らしい映画だ!!
にしても、優しいリリー・フランキーさんはさすがに怪しいでしょ(笑) しかも白石和也監督の映画作品でなので、ね。
酒とギャンブルほどほどに👎
亜弓は郁男の何処か良かったのか、、、6年近く一緒に暮らしていたようだけど、仕事もしたりしなかったり?南の島に旅行する為にコツコツ貯めていたヘソクリを黙って持ち出す、その時点でアウト👎まっ何処か魅力があったんだろうが。
それに口論になったからといって、夜クルマから降ろして置き去りにするって最低👎👎👎だったら自分が降りて歩いて帰れっ😤
亜弓のお父さんが船を売ったお金で借金返して、、、残ったお金、全額競輪に使うってアホかっ😤
亜弓の写真集に隠してあったヘソクリ、美波が
「郁男のだから持って行きなよ」美波、なんて健気なんだ。郁男、もらって行くなっ!そこはフツー美波に渡すだろっ😤😤😤
と、郁男に対しての怒りはおさまらない。慎吾くんが嫌いになりそうである。そこまで思わせるって事は香取慎吾の演技が上出来って事だな🤨
なんとか依存症から立ち直ってまともに暮らして欲しい、郁男頑張れ〜!
リリー・フランキーがやっぱりいい❗️襟付きポロにスラックス(シャツイン)しっかり普通の疲れたおじちゃんになり切れている。映画によって全然違うタイプを演じれる、、、リリー・フランキーが出演してる映画は観たくなる☺️
ただ、やはりリリー・フランキーが普通の親切ないい人で終わるはずは無かったか。(そんな気はしたけど)
判らないのは動機。何故亜弓を殺したのか。(私が見落としたのかな?)
組長が一番良い人に思えてくる。但し脚本的にはご都合主義というか手抜きじゃないかな。慎吾君は熱演だけど郁男という人間の内面は全く立体化できていない。
①この映画が成功するかどうかは郁男という主人公の人物造形に説得力があるかどうかに懸かっている。ギャンブル依存性でも、酒飲みでも、自己嫌悪が強い人間でも、共感や感情移入が出来なくても、説得力があれば映画にも説得力が出てくる。しかし残念ながらこの映画ではなくそういう人間の形(表面)しか描けていない。だから後半になればなるほど同じことを繰り返しているようにしか見えなくてダレてくるし、時間も「長~」と感じてしまう。脚本に問題があるのが一番が、慎吾君が悪いというよりも、もっと俳優を本業にしている“役者”を起用すべきだったろう。②犯人もすぐに察しがつく。犯人探しが主眼の映画ではないのでそれはそれで良いのだが、犯人逮捕が余りに遅い。監視カメラにバカスカ写っていたりDNA鑑定が一致していれば、もっと速く逮捕できた筈である。日本の警察は其ほど無能ではない。ここでも説得力が欠けていて映画のリアリティーが損なわれている。③殆どの登場人物の造型も中途半端か類型の域を出ていない。リリー・フランキーの隣人もよくわからない人物造形で退場したら意外に印象に残らない。従い、組長が義理堅い人で良かったねぇ、という印象で終わってしまうのだ。強いていえば、如何にも「小狡くて器のちっせい」同僚を黒田大輔が好演。
香取さんはいい役者である。
香取慎吾さんがダメ男の約を演じました。
恋人が殺されて犯人が身近で1番、親切にしてくれた人が犯人だったので面白かったですがダメ男をあんなけサポートしてくれるのは現実ないから違和感ありました。
荒れた海から必ずやり直せる
年に2~3本の多作家となり、時々作品にムラが出るようになった白石和彌監督。
でも、劇中のギャンブルさながら当たる時は当たる。こちらは当たりの方。
非常に心揺さぶられた!
稼いだ金は競輪へと消える極度のギャンブル依存症の郁男。
足を洗う事を決め、恋人の亜弓とその娘・美波と共に、亜弓の故郷・石巻へ。石巻で暮らす亜弓の父・勝美は漁師をしているが、末期のガンであり…。
勝美の世話してくれている親切な小野寺の紹介で、印刷所で働く事になったのだが…。
印刷所の同僚に誘われ、再びギャンブル。
そんな時、遊びに行った美波が夜遅くになっても帰って来ない。
一緒に捜すが、ヒステリック状態の亜弓と口論に。ギャンブルの事にも触れられ、ついカッとなり、「車を降りろ!」。
無事美波は見つけるが、しかしその直後、亜弓が殺されて発見され…。
白石監督と言えば、サスペンスやバイオレンスの名手。
が、それを期待すると本作は少々肩透かしを食らうだろう。
怪しい人物は何人か浮上するが、犯人は何となく察しが付く。犯人捜しのミステリーや動機も全く語られない。(ある程度予想は出来るが)
本作はサスペンスというより、悲しみ苦しみの骨太なヒューマン・ドラマ。
突然の大切な人の死。
自分のせいだと責める美波。自分が母親と喧嘩し、心配させてやろうと連絡しなかったから…。
勝美も重い口は開かないが、思っているに違いない。自分のガンのせいで娘が帰って来たから…。
でも誰よりも罪の意識を背負っているのは、郁男。
自分があの時、あんな事を言わなければ…。
最も許し難いのは犯人だが、自分にも責任がある。
その事で美波に激しく責められる。
警察からは犯人と疑われる。
職場でも怪訝の目。さらには職場で金が消え、それをギャンブルに使っているとまで…。
この新天地で人生をやり直そうと決めたのに、全てが悪い方向へ…。
さらに悪くしているのは、郁男がこの期に及んでもギャンブルから抜け出せないでいる事。
もはや悲しみから逃れる為…ってもんじゃない。
亜弓のヘソクリを見つけ、賭博場を仕切ってる地元ヤクザから借金をし、強いては絶対にギャンブルなどに使ってはいけない大事な金まで…。
ここまで来ると、異常な病気。
ギャンブルを一切やらない自分には到底理解出来ない。何故こんなにも底無し沼に堕ちていく…?
それは依存症の恐ろしさが分かってない単なる楽観的で傍観者的な考えなのかもしれない。
よくTVなどで依存症の恐ろしさを聞くが、依存症になってしまったら、もう自分一人の力ではどうする事も出来ないのだ。
郁男は何度もギャンブルを断ち切る機会があった。
しかしその度に…。
ギャンブルで失ったものをギャンブルで取り戻そうとする。
それって、借金を借金で返そうとするのと同じ生き地獄。
郁男は自分自身がろくでなしのクズでバカで、どんなに罵られても仕方ない人間である事を充分分かっている。
大抵なら中盤辺りで本当に自分自身を見つめ直し、更正しようとするのだが、郁男は…。
こんな自分などのたれ死ぬべき。
一緒に居たら必ず不幸にする。
去る…いや、逃げ出す。
何もかも捨て去ろうとする。
再出発のチャンスを何度も自らの愚かな行いのせいで棒に振ってきた郁男。
しかし最後の最後、本当に人生をやり直せる救いの手が差し伸べられる。
それはあの人ではなく、“身内”であってやはり良かった。
その救いと郁男の嗚咽に、もう二度と自分自身と“身内”を裏切る事はしないと信じたい。
香取慎吾と言えば今でも少年のような明るさと人懐っこさの代名詞的な人物。
そのイメージを覆す、ダークでシリアスな熱演!
ギャンブルから抜け出せない闇、悲しみ苦しみ、暴力的な一面もあり、自暴自棄になって酔っ払って祭りで大暴れ…。
新境地開拓!…というより、元々これほどの実力あったのだ。間違いなく、キャリアベスト!
西田尚美、音尾琢真、リリー・フランキーら実力派が各々喜怒哀楽を体現。
その他脇にも悲哀を抱えた印象残る登場人物が。特に、郁男のギャンブル仲間のナベさん。
キャストで特筆すべきは、この二人。
まず、美波役の恒松祐里。郁男とは良好な関係だが、実の親子ではない。よって母の死後、一緒に暮らせない。祖父もガンを患っている。DVの実の父の元に戻るしかない…。唯一の安らぎは、幼馴染みの青年との他愛ない交流…。郁男も郁男で抱えているものあるが、美波も然り。
そして、勝美役の吉澤健。香取も素晴らしかったが、このベテランこそ本作のMVP!
口数少なく、頑固で、画に描いたようは堅物。
でも決して根っからの気難しいじいさんって訳じゃなく、不器用な優しさを見せる。
普通ならギャンブル狂いの娘の恋人なんて、別れろ!出ていけ!…と言う。
が、勝美は郁男に対し罵るような事は言わない。何故か…? 実は自分もかつて、郁男と同じだったから…。
ろくでなしのクズだったが、女房と出会って、やっとまともな人間になれた。
人は必ず再起出来る。郁男を信じ、決して見捨てず、自分の船を売って作った金を渡してまで。
あるシーンの「オイのせがれだ」。
またあるシーンの「償ってくれ」。
とにかくこの人に何度感動させられた事か!
さらには地元ヤクザの親分の恩人で、一人で出向いて郁男の窮地を救う。
しびれる漢っぷりまで!
本作で毎日映画コンクール助演男優賞を受賞。2019年度の国内助演男優賞は『愛がなんだ』『さよならくちびる』などの成田凌推しだったが、ちょっと考え直したいほど。
サスペンスやバイオレンスとは違う、白石監督の重厚なドラマ演出も素晴らしい。
『孤狼の血』『凶悪』『彼女がその名を知らない鳥たち』『止められるか、俺たちを』と並んで、また一つお気に入りの白石作品が。
次は『ひとよ』に期待!
勝美の台詞で、「津波が新しい海を作る」というのがあった。
本作の舞台は津波被害が酷かった石巻。
津波で全てを失った方々は大勢おり、この台詞は引っ掛かり、受け止め方も人それぞれだろう。
が、荒波の後に海は再び穏やかになるというのは聞いた事がある。
津波被害とは切り離して受け止めたい。
タイトルの意味は、風が止み、波が無くなり、海が再び穏やかになる事。
荒波のようだった郁男のこれまでの人生。
過ぎ去り、今度こそ新たな人生に確かな船を出してーーー。
スリーピースではないが。
まずは、ギャンブル依存症描写がとてもリアルだった。自分も同じ目に会う機がして、今まで関わってこないで良かったと思える。それ程、共感と強烈が共存していた。
特に自暴自棄になって、お金をツッコむシーン。ある意味、自傷行為に近くて、対象をギャンブルからすり替えたとすると自分にも起こり得る話だと感じた。
この物語で、香取慎吾と言えばドラマ「人に優しく」を連装させる。子供を拾う(助ける)立場を取るのか取らないのかの前半戦で、どちらにしても違うよなと思わせる展開。
最後まで観ると、逆に拾われるのかと思って腑に落ちる。
母殺しの犯人の話は、どんでん返しと言うよりもある程度予測出来る展開にしていたと感じた。
美容室開業の時に母は警戒してる印象だし、娘には軽々しく触ろうとするしで、どこか危ない印象を持った。そもそも、悪役顔の役者さんですし。
むしろ、事件が起こったことによる家族や地元の揺らぎと団結の話が重要なんだと考えた。
香取慎吾が泣きながら帰るシーンは、子供の様に泣いている様を見て、ロクデナシでダメなんだけど助けてあげたくなる
人ているよなとつくづく思った。
自分の身近な人にその様な人がいるので、尚更!
凄味がある
今まで白石監督の作品は4本鑑賞してますが、彼の作品は役者に演技力が伴わないと成立しない脚本、撮り方だと改めて実感しました。登場人物は過去をほとんど語らないので、表情や行動、仕草から彼らが今までどんな生き方をしてきたのかを観客が勝手に想像するしかないんですよね。
郁男はずっと底辺労働者で恐らく前科があるのではないでしょうか。亜弓の父親はそれを察してほっておけなくなった。転校した美波は放射能が原因で不登校になり、郁男は除染の仕事に行こうとする。震災後、原発事故の尻拭いは地元の人と日雇いが請け負っている。テレビは傷ついた人々よりもどうでもいい芸能人ゴシップを振りまき、東京はまるで震災の事は忘れてしまったかのようです。しかし、白石監督は決して私達に忘れさせません。そして日本に渦巻く負の感情と向き合いさせます。
口下手で器用に生きられない郁男の様な人間、東北の人々、この作品はこの国に住む全ての置き去りにされた人達の叫びを代弁しているようでした。彼らの叫びは薄っぺらいテレビの大音量では消すことが出来ないくらいに、凄味と重みがありました。
第二美波丸⚓
若くて元気なイメージだった香取慎吾さん
もうこんなお歳なんですね
これでもか、と言うくらい
どっぷりと競輪にのめり込んでいく様は
見ていてどんどん胸くそ悪くなり
かつ、それを助ける為に次々と手を差し伸べる
周りの人々に感心し...
郁ちゃんは旦那としては駄目だめなのに
お父さんとして年頃の娘との信頼関係は成立してて、ダメ人間でも誰かの役に立ってるって所に本人が気付いてない
勝美さんは、そういう意味で赤の他人の郁ちゃんをセガレとして受け入れる覚悟を決めてくれたんじゃないかな
本当に駄目な人間なんて居ない
と信じたいです...
二重生活の稲垣吾郎さんと同様に
香取慎吾さんも深みのある役者さんになってくれて、アイドル時代は感心ありませんでしたが、これからは注目してみたいと思います
殺人の要素がやや安易
『彼女がその名を知らない鳥たち』をつい先日ネットで観た際、とても良かったので急遽、この作品も観に行きました。また秀逸な演出と予想できない結末を香取慎吾という異色のキャスティングで観られるのかと思うと居ても立ってもいられず。
しかし『凶悪』を彷彿とさせる暗鬱なサスペンスかと思いきや、主軸は主人公の沈没と再生に置かれているとは思わなんだ。
そのせいか若干ストーリーに殺人事件の要素を持ち込んだのがやや安易に感じた。というのも、犯人のいかにもといった感じや、深く掘り下げられない動機などを鑑みるに、ただ「美波を消す為のいち要素」というような、歯車感、無理矢理感といった印象を受け、それが残念だった。
とはいえ、多くの人が感じたように俳優・香取慎吾の噂に違わぬ強烈な存在感、リアル感は素晴らしい。「陰」の役といえば遥か以前に『ドク』というドラマでベトナム人を演じた時くらいしか印象にないが、この一見して愛嬌たっぷりに見える男に演じさせると映えるんだなあ。闇を秘めた役柄が。
そして泥まみれにさせながらも微かな光明を宿命的に提示したラストは良かった。振り返ってみると用意周到に伏線を張りながら準備していたように思う。
極めつけは白石監督の独特かつ秀逸な演出、これらが絡み合ってつまらないはずはない。
それだけにあと一歩で最高の一作になったという気がして惜しかったなあ、と。
こいつは俺のせがれ
凪とは、山や海で吹き荒れる
風や波が
静まる状態のこと。
大きな時間の流れで見たとき
それは、いっときの事象で
ほとんどは、
多かれ少なかれ荒れている。
その時間の間隔は様々だけれど。
いっときの黄昏を
暮らすために
人々はたくさんの犠牲をはらう。
それを、
震災後の街で
切り取ったお話でした。
いい作品を見たとき、
未経験の内容でストーリーや映像に
感動したり、
自分の過去の経験や気持ちに
照らして共感したりします。
私にとって本作は、
後者でした。
ほんとに、
どうしょうもないがほっとけない
郁男を
香取さんが好演してました。
やくざの事務所で
払い戻されなかった金を
取り返しにいき、
拉致された彼を
取り戻しに来てくれた
亜弓の父の勝美が使った
せがれという郁男を示す肩書きに
泣きました。
死に逝く自分の後に
孫の美波を任せる覚悟に。
そのあと、
泣きながら勝美と美波に
連れられて歩く3人に。
小さい頃、
万引きした店に
母親に連れられて
謝りにいき
泣きながら二人で歩いた
田舎道と
かぶりました。
美波が郁男の手を優しく握って
いたのが、
彼女が郁男に対して感じている
気持ちなんだなと
すごく伝わりました。
エンドロールでは、
震災で沈んだ海底のピアノが
日常の崩壊の歴史写していました。
広島の原爆ドームのように
現在の私たちに、
この瞬間を
大切にしないと、
それは儚く壊れる可能性が
いつもあるんだということ
示しているように
思えました。
養殖地帯にて、
栄養不足で痩せた海が震災後に
よみがえった事を例えて、
現地の漁師から伝わった
津波のおかげで新しい海になったという
考え方に畏敬の思いです。
人が暮らす今の日常の幸せは、
過去の悲劇と再生の願いで
成り立っているという
自然界の輪廻を説いていると
思いました。
亜弓の殺害の動機や
勝美の死後の二人の暮らしが
ハッピーなのか?
など
もや~する所はあるんですが
作品が語ろうとする切り口が
凄すぎて
どうでも良くなりました。
香取さんが主演ということで
始め敬遠したのですが、
本レビューの評価が高かったのと
この作品を絶賛している方がいたので
観賞しました。
彼の演者としてのプライドや
作品のストーリーの奥深い語りに
圧倒されました。
おすすめ。
再生とは...
死んでいたものが生き返ること
まともな生活に戻ること
再び生まれること
…などと辞書にありますが...
ギャンブル依存症から抜け出せずにもがき苦しむ郁男が「再び生きる」までを描いた作品でした。
当たった時の高揚感、負けても次こそ取り返してみせるという根拠のない自信と焦りによって、賭け事という名の砂地獄へとはまって行くのが見てとれました。
鑑賞しながら何度もダメダメ〜!と思いましたが、善意で頂いたお金すら競輪に注ぎ込んでしまう郁男。魔が指す時の演出が分かりやすかったです。
亜弓が殺されるまではありきたりなホームドラマでしたが、そこからどんどん堕ちていく郁男の姿は痛々しいものでした。自暴自棄になる辺りは、ダダをこねる子供のようにも見えました。
紙切れ一枚で他人同士が家族になれる婚姻。
その紙がなければ「関係ない」赤の他人か。
どうしようもない奴なら見捨てるか。
では「無関係で遠い所の」被災地の爪跡を、もうどうしようもない惨状だからと諦めて見捨てるのか。
津波で流され海底を覆い尽くす遺品の山を見ると、そう戒められているようでした。
しかしながら、東日本大震災と亜弓の死というそれぞれ予期せぬ悲劇から立ち直る過程において、福島と郁男の再起をかけていると考えると、少し福島県に失礼だなと思いました。というのも、郁男の魅力がほとんど描かれていないからです。人気者の亜弓が好いたんだからと言われても、引っ越し前から覇気のない口調で、内縁関係にけじめもつけず、元々だらしない男に見えました。南の島のエピソードだけではキュンとしません。結局毎回ダメ男に引っかかる亜弓も見る目がないのかなと。もちろん「見捨て(るべきで)ない」対象者は、郁男だけでなく元同僚の渡辺や、末期癌の勝美、不登校だった美波でもあるので、福島=郁男ではありませんが、郁男の長所を盛り込んでくれればもっと同情したでしょう。その一方、震災前の福島県は問答無用で美しかったはずです。
また、被害を拡大させた原因が、福島の場合原発ならば、郁男の場合はその短気で血の気の多い性格と依存症です。原子力発電所や人格それ自体は悪ではありませんが、依存症は病です。なぜ依存していったのかという所まで描いていたら尚良かったと思います。
犯人がいるとすればこの人だろうと容易に検討はつきますが、郁男の堕落のきっかけと再出発の希望を与えるのが同一人物というのが残酷です。特に祭りでチンピラの暴行から郁男に救いの手を差し伸べるシーンでは涙が出ましたから…。
何度救われても堕ちてしまうギャンブル依存症。破滅を防ぐのは人情しかないようでした。
なんちゃってスズキカー(笑)
デンゼル・ワシントンの「フライト」のように依存症の怖さを描いた映画。慎吾君の行動はおいおい!と思うかもしれませんが、これが依存症なのでしょう。明るいイメージの慎吾君が、くたびれたダメダメ人間を熱演!
犯人探しより人間ドラマがメインですが、リリー・フランキーがあざとすぎて、怪しすぎる!気になって仕方がない!逆にミスリードだったら面白かったんですが。
震災の復興と主人公の再生を重ねてるんでしょうが、なんか安直すぎませんかね。
ヒト
時折この手の映画に出くわす。
韓国の作品に多いのかな…。
なんでこおいう物を撮ろうと思うのか理解できなかったのだけど、字幕を追うのと、異国の物語として観るのとはまた違う印象が残った。
物語は悲惨である。
何が悲惨って、主人公が真っ当な人生を歩もうとするたびに邪魔が入る。
思うようにいかない。
真面目に、普通に生きようとする気持ちも努力も踏みにじられていく。
自暴自棄にもなるだろう…。
極端なシチュエーションの羅列ではあるが、実際に起こりうる事の範疇であったりもする。
原発の後始末をするのは国を憂いた人達ばかりではなく、にっちもさっちもいかなくなった連中が送りこまれるのだ。
綺麗事ではない現実がある。
いくら上部を塗り固めても、漏れ出してくる膿はある。
とかくこの世は生きにくい。
それがスタンダードであるかのように。
そんな中でも、救いはある。
自分を傷つけるのも救うのも、結局は人間でしかない。
彼が最後に手にした蜘蛛の糸。
今までとは少しだけ意味合いが違う。
そんな小さなキッカケが、その後の人生に大きな意味を持つかのようであった。
この手の映画をすすんで観ようとは思わないが、この手の映画を撮ろうと思う動機は分かったような気がする。
物事の大小はあれ、自分を観てるかのようにも思える。そんな感想。
賭ケグルイ
「忍者ハットリくん」や「こち亀」をやっていた香取くんがこんな役をやるなんて…と感慨深いものがある。映画では木村拓哉の方が出演作が多いし、刑事役から時代劇まで幅広いが、こんな生活感がある役はやらないだろうな。まあ、ジャニーズ事務所を抜けたからこそできたとも言える。
ギャンブルへの執着に抑制が効かないし、ぶち切れ方もちょっと尋常じゃなくて、共感しづらい主人公だが、それでもどうにか心を寄せようとして見ていると、やがて訪れるラストの家族像にしみじみする。
水中カメラがなめていく津波にさらわれて海底に沈んだ街の残骸には、ずしんと不意打ちを喰らった。
亜弓さんとの愛が感じられない。
自分の理解力が足りないのかもしれません。
でももう少しお二人の愛が見えるシーンがあれば、きっと全てが落ち着くところに落ち着くと思いました。
駄目男なのに、彼女もいて、彼女の娘、彼女の親からも愛されるって、無理がありますし。
どんだけ良い男なのかの描写でもよかった。
その二者どちらもないことが、腑に落ちない原因だと自分は確証しています。
ラストの海底シーンまでちゃんと観て帰る人が少なかったのもそのせいかも。
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