凪待ちのレビュー・感想・評価
全325件中、61~80件目を表示
香取さんはいい役者である。
香取慎吾さんがダメ男の約を演じました。
恋人が殺されて犯人が身近で1番、親切にしてくれた人が犯人だったので面白かったですがダメ男をあんなけサポートしてくれるのは現実ないから違和感ありました。
荒れた海から必ずやり直せる
年に2~3本の多作家となり、時々作品にムラが出るようになった白石和彌監督。
でも、劇中のギャンブルさながら当たる時は当たる。こちらは当たりの方。
非常に心揺さぶられた!
稼いだ金は競輪へと消える極度のギャンブル依存症の郁男。
足を洗う事を決め、恋人の亜弓とその娘・美波と共に、亜弓の故郷・石巻へ。石巻で暮らす亜弓の父・勝美は漁師をしているが、末期のガンであり…。
勝美の世話してくれている親切な小野寺の紹介で、印刷所で働く事になったのだが…。
印刷所の同僚に誘われ、再びギャンブル。
そんな時、遊びに行った美波が夜遅くになっても帰って来ない。
一緒に捜すが、ヒステリック状態の亜弓と口論に。ギャンブルの事にも触れられ、ついカッとなり、「車を降りろ!」。
無事美波は見つけるが、しかしその直後、亜弓が殺されて発見され…。
白石監督と言えば、サスペンスやバイオレンスの名手。
が、それを期待すると本作は少々肩透かしを食らうだろう。
怪しい人物は何人か浮上するが、犯人は何となく察しが付く。犯人捜しのミステリーや動機も全く語られない。(ある程度予想は出来るが)
本作はサスペンスというより、悲しみ苦しみの骨太なヒューマン・ドラマ。
突然の大切な人の死。
自分のせいだと責める美波。自分が母親と喧嘩し、心配させてやろうと連絡しなかったから…。
勝美も重い口は開かないが、思っているに違いない。自分のガンのせいで娘が帰って来たから…。
でも誰よりも罪の意識を背負っているのは、郁男。
自分があの時、あんな事を言わなければ…。
最も許し難いのは犯人だが、自分にも責任がある。
その事で美波に激しく責められる。
警察からは犯人と疑われる。
職場でも怪訝の目。さらには職場で金が消え、それをギャンブルに使っているとまで…。
この新天地で人生をやり直そうと決めたのに、全てが悪い方向へ…。
さらに悪くしているのは、郁男がこの期に及んでもギャンブルから抜け出せないでいる事。
もはや悲しみから逃れる為…ってもんじゃない。
亜弓のヘソクリを見つけ、賭博場を仕切ってる地元ヤクザから借金をし、強いては絶対にギャンブルなどに使ってはいけない大事な金まで…。
ここまで来ると、異常な病気。
ギャンブルを一切やらない自分には到底理解出来ない。何故こんなにも底無し沼に堕ちていく…?
それは依存症の恐ろしさが分かってない単なる楽観的で傍観者的な考えなのかもしれない。
よくTVなどで依存症の恐ろしさを聞くが、依存症になってしまったら、もう自分一人の力ではどうする事も出来ないのだ。
郁男は何度もギャンブルを断ち切る機会があった。
しかしその度に…。
ギャンブルで失ったものをギャンブルで取り戻そうとする。
それって、借金を借金で返そうとするのと同じ生き地獄。
郁男は自分自身がろくでなしのクズでバカで、どんなに罵られても仕方ない人間である事を充分分かっている。
大抵なら中盤辺りで本当に自分自身を見つめ直し、更正しようとするのだが、郁男は…。
こんな自分などのたれ死ぬべき。
一緒に居たら必ず不幸にする。
去る…いや、逃げ出す。
何もかも捨て去ろうとする。
再出発のチャンスを何度も自らの愚かな行いのせいで棒に振ってきた郁男。
しかし最後の最後、本当に人生をやり直せる救いの手が差し伸べられる。
それはあの人ではなく、“身内”であってやはり良かった。
その救いと郁男の嗚咽に、もう二度と自分自身と“身内”を裏切る事はしないと信じたい。
香取慎吾と言えば今でも少年のような明るさと人懐っこさの代名詞的な人物。
そのイメージを覆す、ダークでシリアスな熱演!
ギャンブルから抜け出せない闇、悲しみ苦しみ、暴力的な一面もあり、自暴自棄になって酔っ払って祭りで大暴れ…。
新境地開拓!…というより、元々これほどの実力あったのだ。間違いなく、キャリアベスト!
西田尚美、音尾琢真、リリー・フランキーら実力派が各々喜怒哀楽を体現。
その他脇にも悲哀を抱えた印象残る登場人物が。特に、郁男のギャンブル仲間のナベさん。
キャストで特筆すべきは、この二人。
まず、美波役の恒松祐里。郁男とは良好な関係だが、実の親子ではない。よって母の死後、一緒に暮らせない。祖父もガンを患っている。DVの実の父の元に戻るしかない…。唯一の安らぎは、幼馴染みの青年との他愛ない交流…。郁男も郁男で抱えているものあるが、美波も然り。
そして、勝美役の吉澤健。香取も素晴らしかったが、このベテランこそ本作のMVP!
口数少なく、頑固で、画に描いたようは堅物。
でも決して根っからの気難しいじいさんって訳じゃなく、不器用な優しさを見せる。
普通ならギャンブル狂いの娘の恋人なんて、別れろ!出ていけ!…と言う。
が、勝美は郁男に対し罵るような事は言わない。何故か…? 実は自分もかつて、郁男と同じだったから…。
ろくでなしのクズだったが、女房と出会って、やっとまともな人間になれた。
人は必ず再起出来る。郁男を信じ、決して見捨てず、自分の船を売って作った金を渡してまで。
あるシーンの「オイのせがれだ」。
またあるシーンの「償ってくれ」。
とにかくこの人に何度感動させられた事か!
さらには地元ヤクザの親分の恩人で、一人で出向いて郁男の窮地を救う。
しびれる漢っぷりまで!
本作で毎日映画コンクール助演男優賞を受賞。2019年度の国内助演男優賞は『愛がなんだ』『さよならくちびる』などの成田凌推しだったが、ちょっと考え直したいほど。
サスペンスやバイオレンスとは違う、白石監督の重厚なドラマ演出も素晴らしい。
『孤狼の血』『凶悪』『彼女がその名を知らない鳥たち』『止められるか、俺たちを』と並んで、また一つお気に入りの白石作品が。
次は『ひとよ』に期待!
勝美の台詞で、「津波が新しい海を作る」というのがあった。
本作の舞台は津波被害が酷かった石巻。
津波で全てを失った方々は大勢おり、この台詞は引っ掛かり、受け止め方も人それぞれだろう。
が、荒波の後に海は再び穏やかになるというのは聞いた事がある。
津波被害とは切り離して受け止めたい。
タイトルの意味は、風が止み、波が無くなり、海が再び穏やかになる事。
荒波のようだった郁男のこれまでの人生。
過ぎ去り、今度こそ新たな人生に確かな船を出してーーー。
スリーピースではないが。
まずは、ギャンブル依存症描写がとてもリアルだった。自分も同じ目に会う機がして、今まで関わってこないで良かったと思える。それ程、共感と強烈が共存していた。
特に自暴自棄になって、お金をツッコむシーン。ある意味、自傷行為に近くて、対象をギャンブルからすり替えたとすると自分にも起こり得る話だと感じた。
この物語で、香取慎吾と言えばドラマ「人に優しく」を連装させる。子供を拾う(助ける)立場を取るのか取らないのかの前半戦で、どちらにしても違うよなと思わせる展開。
最後まで観ると、逆に拾われるのかと思って腑に落ちる。
母殺しの犯人の話は、どんでん返しと言うよりもある程度予測出来る展開にしていたと感じた。
美容室開業の時に母は警戒してる印象だし、娘には軽々しく触ろうとするしで、どこか危ない印象を持った。そもそも、悪役顔の役者さんですし。
むしろ、事件が起こったことによる家族や地元の揺らぎと団結の話が重要なんだと考えた。
香取慎吾が泣きながら帰るシーンは、子供の様に泣いている様を見て、ロクデナシでダメなんだけど助けてあげたくなる
人ているよなとつくづく思った。
自分の身近な人にその様な人がいるので、尚更!
ろくでなし
いろんな意味で作りがデカい香取慎吾が社会の枠からはみだす。吉澤健爺、ノミ屋寺十吾、ゲロ黒田大輔、金髪佐久本宝、リストラされる宮崎吐夢と脇が多彩で見どころは多い。
いくら演者が頑張っても、ギャンブル依存、アル中、キレると暴力に走る主人公、幾度と手が差し伸べられても落ちていく話は同情の余地なく、これを赦す周囲にも寄り添えぬ所。あの突っ張りは失格にすべき。報われてはならぬ。依存症は病気であって、心の弱さや環境に結びつけすぎるのもどうかと思う。
香取慎吾、頑張ったネ
香取慎吾がちょっと太ってだらしない感じが、役にすごく合っていた。これでもかというぐらい更生しない主人公を見るのが辛くも感じたが、そのぎりぎり感がギャンブル依存症の重さを伝えたのかな。半世界のゴローちゃんもよかったし、新境地で頑張ってるネ。十分役者で、食っていけるのではないか。映画はとても良かったけど、見逃したのか、犯人のリリーフランキーの動機が分からない、誰か、教えて下さい。
人生の荒波を2時間の映画内で観せたいのは分かるが、、、
娘付きの恋人・亜弓と石巻に移り住む事になった郁男の破滅と再生の物語。
開始30分までは少し古臭い邦画って感じで期待は薄でした。
しかし、一つのある事件から真面には観れる様に。
周りの不条理、決めつけ。運までも主人公に味方しないとは。
大袈裟さは映画とすれば一歩許す脚本部分であるのだが、(再生含め)やり過ぎはリアリティーが薄くなる。
ここが私のこの映画の高評価にしない部分。
また人生の荒波を面白く観せたいのが分かるが、一部演出に?と疑問も。
以下個人的疑問部分でありシラけた。
・全て自分のせいと悲観していたのに、郁男が個人の真実を話すと急に自分を行いを忘れて郁夫に当る三波。
・情ある人から金を借りて全て借金清算後、余った金で借りた金まで競輪「一点勝負」にて取り戻そうとする郁夫。普通はやらないな。。。
・競輪審議結果「失格(一瞬じらす)・・・とはなりません。」そんな口調で結果通りの着順でした(結果覆しません。)とアナウンスするかね?(これが1番シラけた。)
ダメ人間を見せようと頑張り過ぎたかな。
家族じゃないのに家族ぐるみの様な周りのサポートも表に光り損。
最後の反省ヤクザも要らんし。(金返すな)
残念。
白石監督らしい演出
ある意味これがジャニーズの呪縛から離れて、自分の足で歩き出した一歩目なのかもしれない。
そんなことを思いながら鑑賞しました。
元々、影のある訳あり男は香取君の得意な役柄だと思うけれど、
昨今の演者に多いジェームズ・ディーンタイプ(内向的演技)とは一線を記して、
自分がどう観られるかというテーマに於いて、
キャラクターが観客にどう映るかに重視している香取君は、
やっぱり才能豊かな役者さんになったなあと感心しました。
ただ、声がね。
クズにしては明るく高すぎるのよ…w
そして脇を固める演者さんたちも、
ああ、白石監督らしい演出だなあと。
元々、白石和彌監督はとってもバランスの良い映像を作り上げる人だと思ってて、
この絵にこのキャスティングと、いろいろ拡げていたんでしょうね。
白石作品が安定して見えるのは、 それだと私は思ってて、
かつ、観客の目線を特に気にしている人にも思っていましたので、
今回も、安定の白石作品でした。
これから、名前のない地図に、たくさんの名前が増えていくにつれ、
手放したものの大きさを痛感するのでしょうが、 どうか負けずに歩んでいってほしいと思っています。
名画座二本立てで鑑賞
郁男、なんて駄目な人なの!
どうしたら良いのかって観点から見てた。
小野寺の献身さに、ここまで心を尽くして向き合わないと、相手に響かないのか...と思った。そう思わせる二人の演技は、やはり凄い。
香取慎吾は体が良いし、労働でバリバリ稼げそうなのに...と思わせるところも、この役にぴったり。
日本映画屈指のゲロシーン
「いいエロシーンといいゲロシーンがある映画はいい映画」という持論があるんだけど、黒田大輔が大量に吐きながら謝るシーンは日本映画屈指のゲロシーンなのでは!最高すぎてこっちまで吐きそうになった。香取慎吾にもあそこまで吐いてほしかったなあ。
香取慎吾は身体がでかくて、何考えてるか分からず急に暴力を振るう役がよく似合ってた。でくのぼう感というか。「愛しのアイリーン」の安田顕と似たキャラ設定だけど、でかいから暴力がよく映える。
映画のテーマ自体には正直最後までそれほど興味を持てなかったけど、黒田大輔、リリーフランキー、宮崎吐夢、音尾琢真とか、小劇場とかサブカル界隈出身の役者たちの演技合戦としては見ごたえ充分。「怒り」で素晴らしかった佐久本宝君が出てたのも嬉しかった。
白石監督の映画だけあって、深みがあって、色濃くて最高です。 破滅的...
白石監督の映画だけあって、深みがあって、色濃くて最高です。
破滅的な生き方をする主人公に絡み合う人間模様が、沁みます。
各々の心の中を読みながら鑑賞すると、とても面白い映画だと思います。
満足度は高いです。
香取慎吾が解散後こんなことになっていたのか。。
序盤の、就寝中に酔っ払って帰ってくる郁男に呆れ、そこに父が突如として海へ出ると言い出す場面。あと、美波との連絡が取れない中、郁男が未だギャンブルをしていることがわかってしまう場面。この辺りの亜弓の何かが切れてしまう寸前の描写がものすごいリアルで、この先に何が起こるのか不安を掻き立てる。
郁男は愛されている。が、そこに甘える自身の不甲斐なさが許せない。変わりたいと思っている。その不甲斐なさの描写が、どうしようもないのだが、何故か観ているこっちも彼を突き放すことが出来ない。彼が金を手に入れ、次の場面が「あの場所」だった時思わず「なんで。。」と声を出してしまった。これは香取慎吾のキャラ越しに郁男を観ていることが大きく、このキャスティングは大成功だと思う。何とか立ち直って欲しい。。そう思わせる。亜弓もそうだったのだろう。
登場人物の全てが、自分の意図しない不遇と葛藤する中で唯一と言って良いだろう、しっかりとした、そして不気味な程の良心を見せる小野寺。何故彼があれほど郁男に親身(気)に接したか。スクリーンに映っている彼の良心的行動が、大きければ大きい程、解釈のベクトルが逆方向に突き進む。
引っかかるところがあるとすれば、金銭的な部分で何度も救われる点。これは実際にはあり得ない。
ネタバレしてないよね笑
ギャンブラー
普通、こんなクズ男がいたら見放されると思うが、なぜか嫌いになれない魅力がある主人公。
ギャンブルに行く場面で何度も止めたくなる。
あの世界の中で、今は心を入れ替え、ちゃんと生きていて欲しいとまで思ってしまう。
香取さんの熱演
脚本、演出ともに酷い出来だ。
親しいギャンブル好きが競輪場で顔を合わせて、昨日は楽しみで眠れなかった、なんて言うか?
人がいいギャンブル依存症の男、という人物設定を明示するためだけの、死んだセリフ。
同じように、娘が家を飛び出す動機をわかりやすく提示するためだけに、まるで仕組まれたかのような現実感のない安っぽい親子ゲンカのシーン。
キリがないから、以下省略。
プロの仕事か?これが。
下手だけど、ひたすら熱演した香取さんに☆
元国民的アイドルの演技
香取慎吾さんのギャンブル依存症のクズ人間ぶりの演技に驚きです!SMAP解散前であれば、それなりにプロモーションかけて、大きく話題作になった作品であったと想像すると切ないですが、今後もこういった役に挑戦して役者としての幅を広げて日本を、代表するような俳優になってほしいです。
良かったけど、いまひとつ
郁男は変われたのかな?
クライマックス後の船のシーンでは、彼が本当に変わったのかいまいちよく分からなかった。似たようなことをそれまでにもしてた気がして。
でもこうやって文句言ってますけど、凄え楽しみました。観て良かったです。
お爺さんの言葉、沁みました。追いかけっこからのオチ、最低最高でした笑
そしてエンドロール、ここでこの作品の裏テーマが分かるので、最後まで席を立たずに観てほしいです。
香取慎吾の表情がそこまでダメ人間にみえない
とても良い映画だとは思うのだが、ギャンブルにハマる人間の自分への甘さみたいのが香取慎吾からはあまり感じられなかった。眼光鋭いと言うか。リリーフランキーと役を入れ替えたらちょうど良かったかも。
観れば観るほど味わい深い
初めて観た時は郁男が堕ちていく姿が衝撃的で何ともやるせない気持ちになりましたが、回数を重ねるうちに優しい気持ちで郁男を見ている自分に気づきました。何度観ても泣けます。理不尽な目に遭ったり、生きていくのが大変な世の中だけど、支え合っていければ、僅かでも希望を見出すことが出来るかもしれないと思わせてくれる映画でした。クズ男を演じ切った香取慎吾さんの演技が素晴らしい。吉澤健さん、宮崎吐夢さんなど脇を固める役者さん達も味があって素晴らしかった。また、恋人の娘役を生き生きと演じた恒松祐里さんの今後の演技に注目したいと思いました。
香取慎吾の演技に引き込まれた
今まで、正直言って何を演じてもアイドル香取慎吾が隠れず、オーバーな演技だな〜と思っていましたが、もう本当に見直しました。素晴らしい演技です。なぜもっと地上波のテレビで宣伝や、特集が組まれないのだろう?と不思議なくらいです。忖度されなければ、映画賞ものです。これからもっと、香取慎吾さんの人間味の増した味わいある演技をドラマや映画で観たいです。
全325件中、61~80件目を表示