「完璧なストーリー」凪待ち ToyoTajimaさんの映画レビュー(感想・評価)
完璧なストーリー
主演の香取慎吾さんは、序盤心優しい何処にでもいそうな男を演じる。ただ少しだけギャンブルが好きな普通の男が、話が進むにつれ奈落の底の底まで落ちていき…という展開。物語の合間合間には誰かしらから救いの手が差し伸べられ、立ち直るチャンスは幾度かあるのだが、本人の心の弱さからか負のスパイラルはとどまる事なく更に加速していく。次第に自暴自棄になり心身共ボロボロになっていく主人公の姿は、観ている側からしても非常に耐えがたく痛みすら感じるほどだった。中盤からうっすらと事件の真相が見え始めるのだが、気持ちの上では「頼むから、そうならないでくれ!」と祈り始めていた。しかし物語は否応なく最悪の事態へと進んでいくと同時に、完成形に近づいていく。実に見事な展開。
主役の香取さんはもちろん、全ての演者さんが完璧に役割を果たされていて、本当に素晴らしかった。私の中で印象に残ったのは、武藤十夢さん。リアルなギャンブル中毒者の様が凄かった。あと西田尚美さん。娘が行方不明になった時の切羽詰まった母親の、剥き出しの感情がひしひし、ビシビシと伝わってきた。
これほどまでに圧倒された作品はそうそうなかったと思います。白石監督とキャストの皆様スタッフの皆様に感謝申します。ありがとうございました。
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