「こいつは俺のせがれ」凪待ち くりさんの映画レビュー(感想・評価)
こいつは俺のせがれ
凪とは、山や海で吹き荒れる
風や波が
静まる状態のこと。
大きな時間の流れで見たとき
それは、いっときの事象で
ほとんどは、
多かれ少なかれ荒れている。
その時間の間隔は様々だけれど。
いっときの黄昏を
暮らすために
人々はたくさんの犠牲をはらう。
それを、
震災後の街で
切り取ったお話でした。
いい作品を見たとき、
未経験の内容でストーリーや映像に
感動したり、
自分の過去の経験や気持ちに
照らして共感したりします。
私にとって本作は、
後者でした。
ほんとに、
どうしょうもないがほっとけない
郁男を
香取さんが好演してました。
やくざの事務所で
払い戻されなかった金を
取り返しにいき、
拉致された彼を
取り戻しに来てくれた
亜弓の父の勝美が使った
せがれという郁男を示す肩書きに
泣きました。
死に逝く自分の後に
孫の美波を任せる覚悟に。
そのあと、
泣きながら勝美と美波に
連れられて歩く3人に。
小さい頃、
万引きした店に
母親に連れられて
謝りにいき
泣きながら二人で歩いた
田舎道と
かぶりました。
美波が郁男の手を優しく握って
いたのが、
彼女が郁男に対して感じている
気持ちなんだなと
すごく伝わりました。
エンドロールでは、
震災で沈んだ海底のピアノが
日常の崩壊の歴史写していました。
広島の原爆ドームのように
現在の私たちに、
この瞬間を
大切にしないと、
それは儚く壊れる可能性が
いつもあるんだということ
示しているように
思えました。
養殖地帯にて、
栄養不足で痩せた海が震災後に
よみがえった事を例えて、
現地の漁師から伝わった
津波のおかげで新しい海になったという
考え方に畏敬の思いです。
人が暮らす今の日常の幸せは、
過去の悲劇と再生の願いで
成り立っているという
自然界の輪廻を説いていると
思いました。
亜弓の殺害の動機や
勝美の死後の二人の暮らしが
ハッピーなのか?
など
もや~する所はあるんですが
作品が語ろうとする切り口が
凄すぎて
どうでも良くなりました。
香取さんが主演ということで
始め敬遠したのですが、
本レビューの評価が高かったのと
この作品を絶賛している方がいたので
観賞しました。
彼の演者としてのプライドや
作品のストーリーの奥深い語りに
圧倒されました。
おすすめ。
くり様
こんばんは。凪待ち観たんですね〜。
アイドルではない香取慎吾さんが頑張っていましたね。
せがれ
この言葉に泣けました。
みんな居場所を見つけて
再生していくんですね。
白石監督の話も聞きました。
ラストの船シーンは
霧が偶然出たそうです。
これから、どうなるのか?モヤモヤします。