「主人公補正が生々しさの邪魔をする」凪待ち 克晴さんの映画レビュー(感想・評価)
主人公補正が生々しさの邪魔をする
稲垣・草彅両氏は脱退前からわりと多彩な役柄をこなしていたのに対し、香取君だけは見てて可哀想になってくる変な役柄ばっかりでしたが、本作では20才前後の頃に魅せた確かな演技力を再び見せてくれました。
ギャンブル依存症のクズがさらにロクデナシに堕ちていく様を丹念に描き、見てて辛くなるほどでした。
ずっしりと重い世界観はさすが白石監督というところでしょうか。
ただ、良作だというのは断った上で、話に入り込みにくい点があったのも事実。
まず主人公以上のガチクズが何人も出てくるので、主人公まだマシじゃんという思いがどうしても出てくるところ。
次に、クズな主人公にそれでも手を差し伸べる人が何人か出てくるけど、その根拠が弱いところ。
最後に、いくら主題ではないとはいえ、殺人犯の動機などが全く明かされず何で殺されたのかモヤモヤするところ。
最後以外はつまるところ「主人公だから」以上の理由が見当たらず、せっかくのリアリティの邪魔をしていた印象です。
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